戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ

戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ

小説・文芸
2,090円 (税込)

10pt

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ひとりの青年が、とまどい、ゆらぎ、つまずきながら、夫になり、父になる成長物語。その率直さに胸を衝かれる。男性が本書から学ぶことは多いだろう。——上野千鶴子

このひとの書くものはブレない。それはたぶん、自分の立ち位置と付与された力を厳しすぎるくらいに点検することを忘れないからだ。——信田さよ子

フェミニズムから受け取った重たい宿題。これからの〈俺たち〉へ。

男らしさや男性性にまつわる当事者研究として各メディアで話題となった『さよなら、俺たち』に続く最新ジェンダー・エッセイ集。ジェンダーの先にある人間の生き方、幸福を探求する。

人生の価値は、人生の豊かさは、どれだけ何かに心を揺さぶられたかでおそらく決まる。ジェンダーとは生き方や在り方に直結する問題で、私たちの言動や感受性のOS(オペレーション・システム)として機能しているものだ。そこに変化を加えようとすれば、当然ながらいろんなところがギリギリ軋む。そのストレスや不快感はバカにならず、反動的なエネルギーが生じたって不思議ではない。だからこそ思う。俺たちは頭で考えてるだけでは変われない。そのためには何かに圧倒され、言葉を失い、放心状態になるような体験を重ねることが重要で、内省も責任も、ケアも覚悟も、抵抗も希望も、きっとそういう時間から生まれるはずだ。もちろん本やドラマだけじゃない。恋愛にも、子育てにも、仕事にも、旅にも、生活にも、友達とのお茶にも、そんな感動は宿っている。「昔のほうがよかった」「ずいぶん息苦しい時代になった」「あの頃に帰りたい」って気持ちは誰の中にもあると思うけど、進んでしまった時間を、変化してしまったものを、元に戻すことはもうできない。それでも毎日は続くし、何かに心を震わせながら生きていくことは全然できる。さよならした時間に戻ることはできないけれど、男らしさの危機が叫ばれるこの時代を、俺たちはこれからも生きるのだ。
(「戻れないけど、生きるのだ」)

1 〈男〉とフェミニズム──シスターフッドの外側で
2 我は、おじさん──男性優位社会と中年世代の責任
3 被害と加害と恥と傷──泣いてる〈俺〉を抱きしめて
4 平成から遠く離れて──生産性の呪いと自己責任社会
5 家父長制への抵抗──結婚と家族、ジェンダーの呪縛
6 これからの〈俺たち〉へ──beingの肯定

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戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    5月9日の朝日の記者コラム「多事奏論」にて著者が取り上げられていた。著者は2019年から同誌の「悩みのるつぼ」での回答者で評判を博しており、またその前から「桃山商事」というユニットで、恋バナ収集という名の女性からの相談を受けているうちに、現在はジェンダーやカルチャーや社会の問題についての相談を受けるユニットに変貌されているようだ。男性がジェンダーの問題を語ったり、フェミニズムを語ると、優等生的になるが、著者はそれを書籍の感想という形でソフトに包みながら、そして悩みながら吐露することで、男性自身の問題を語っている。そして現在がdoing(これも男性的なことだが)に偏っている世の中において、beinngの価値について、これもさまざまな引用で語る。コロナを経て、世の中はさまざまな問題に気づ気、大きなものとしては、ケアへの気づきだったと思うが、ケア中心の世界を目指す流れと、これまでの流れを「強引に」進める流れが、股裂き状態のようになっている。現在、我が国の首相は憲政初の女性であるが、いまのこの状況だから生まれたとも言えるかもしれない、ただその方向性は時代の逆流でしかなく、今後、どのような方向で進むのか、とかいうことを脈絡もなく本書を読んで思いついた。

    0
    2026年05月10日

    Posted by ブクログ

    雑談ユニット『桃山商事』の清田隆之さんのエッセイ。2020年~2024年に清田氏が書いたものをまとめた1冊になっている。
    この目まぐるしく変わり、どんどん厳しくなる社会とそこで育児や仕事や個人であることに悩んだり、苦しんだりしながらも、時に本やドラマに心を震わせながら、社会とそこに生きる自分を見つめたもので、とても読み応えがあるものだった
    過去の加害された経験や能力主義的な価値を内面化して、自縄自縛に陥っていたことを振り返る文章は清田さんの声で届くようで、それはたしかに清田さんが思い悩んだから書けた文章なのがわかって、ところどころ泣きそうになってしまった
    それぐらい切実な語りだった。システヘテロで高学歴の部類で、配偶者も子どももいて、清田さんはマジョリティと言われる属性を持っているが、だからこそより弱い人たちが虐げられるような社会でどう生きていくべきか、何を考えるべきか、そのためには何が必要かを示すロールモデルのひとつでもあるように思う。男性のこういう痛切な語りがもっとなされるといいなと思う

    0
    2026年04月20日

    Posted by ブクログ

    弱さを認める。開示する。連帯する。生きるとは、感動すること。感動するために生きる。終盤にかけての感情の昂ぶりが文字を通して感じられて、静かな熱に最後は泣いてしまった。
    自分の周りの男性達にもぜひ読んでもらいたい、何を感じるか知りたい。

    0
    2025年04月26日

    Posted by ブクログ

    今まで男性に感じてた違和感、なんで意地になるのかとか全然楽しくなさそうなのにとか責められてると思って不機嫌になるのかとかが少しわかった気がする
    対リアル男性だけじゃなく創作の男性像にも使えそう

    家族もdoingな家庭あるよなって思った

    0
    2026年04月21日

    Posted by ブクログ

    ややまわり道の多い文章で始めはめんどくさい、と思っていたが、読んでいるうちに不思議とすんなりと読めるようになっていた。自分がマジョリティ側にいること、それに気付かなかった愚かな自分と慢心しないように細心注意を払う著者の丁寧な人となりが文章の中に現れていたからだと思う。マジョリティ男性から多々傷つけられ、憤りを覚えていたが、そういう男性にも抱えるものや傷ついてきた故の、プライドや責任があるのだとよく分かった。(だからと言って許せるものではないが)男性同士の関係性がbeingではなくdoingなことや男のファンタジー消費はとても納得。清田さんたち、桃山商事さんのことを、もっと知りたくてポッドキャストお気に入り登録しました。

    0
    2026年02月24日

    Posted by ブクログ

    清田さんのコラムはいくつか読んだことがあって、いつかちゃんと本も読みたいと思っていました。コラムをまとめた本だったから、読みごたえは少なめだったかもしれないけど、清田さんの真摯なお人柄がよく伝わってきました。同世代の東京出身の男性がこんなふうに解像度を上げるんだと感心しながら読みました。
    数年前の本だけど、よかれと思って~も読みたいと思いました。元夫がよく言っていた言葉だからです。

    0
    2025年08月16日

    Posted by ブクログ

    男性としてフェミニズムをどう考えるかを、真剣に考えられていて好感を持ちました。
    紹介されている本はどれも読みたくなります。

    0
    2025年07月02日

    Posted by ブクログ

    不思議な感じのする文章だ。常に自己を省みながら、周囲に目を配りながら書かれる文章はミソジニーや家父長制の感触とは無縁。断定的ではなく、叩くとやんわりと跳ね返って来るような…従来の男性的・女性的の二元論的には捉えきれない不思議な感覚がある。

    「感動」や「ときめき」がこの本のテーマ。
    過去に流れ去ってしまう『その一瞬』。感じ続けることの出来ない『その熱い想い』。
    そういったことを繰り返し経験し、それでも過去に囚われることなく考え続ける。
    そんな些細なことを大切にしている人なのだと思う。

    著者は自分のことをフェミニストと呼ばない。
    (若しかしたら間違ってるかも)
    それは、口で何と言っても自分が男性であり、今の社会では男性性から抜け出すことが不可能な存在であることへの形容し難い居ずらさ、生きづらさに依るものではないか、この本を読んでいるとそう思う。
    《…家父長制をぼろ糞に言い、ホモソーシャルな温室で暮らす馬鹿どもをけなし、ミソジニーなオッサン共を遺物と切り捨てる…》
    そんなことは実は男性自身にはなかなか出来ない相談だ。言えば「あんたもその1人」と自分の首を絞めるだけ。
    そんな中で奮闘する著者を応援するフェミニストが相当数いるのは心強い限り。

    恥ずかしながら、著者のような勇気はとても持ち合わせては居ないが応援したいと思う。

    0
    2025年06月13日

    Posted by ブクログ

    桃山商事という集団のことも作者の清田隆之さんのことも全く知らない。
    むしろ上坂あゆ美さんとの対談を見て「苦手かも」って思ってた。だけど対談前に本を買ってしまってたから、半ば「仕方ない」気持ちで読んでみたら面白かった。
    フェミニズムとかジェンダーとか、今までいろいろ感情を揺さぶられてきた話題だけど、かといって自らが強い思いで語りたいとも思わないし遠ざけてた。でもこの本では清田さん自身も悩み、迷い、決めかねていることを言語化してあって、とても読みやすかった。エッセイの中に出てくる本を全部読みたくなるような魅力的な言葉で紹介してくれるところも好き。

    0
    2025年06月02日

    Posted by ブクログ

    ここまで開陳していいんだという本。清田さんの中で1番大切にしていることの一つに弱さを認める、さらけ出すということがあると思うけど、そのことが前面に出ている。読んだ本や作品が多く紹介されていたのも個人的には理解しやすかった。

    一方、恋愛において、始まり方や終わり方の分析が他に比べておざなりになっているのでは?と思うところもあった。もちろん、あまり詳細に分析しないことのメリットもあるとは思うのだけれど、もう少しそこは突っ込んで欲しかった。始め方終わり方にも、ジェンダーの問題は多く関わっているのではと思うので

    とは言いつつ、最後の「もう恋愛をすることはないと思うけれど」はすごくよかった。恋愛だけじゃなくて、「特別な感情体験」として、経験していくこと、それによって恋愛に依存する必要はないのではという提言はすごく納得感のあるものだった。

    0
    2025年04月16日

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