戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ

戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ

2,090円 (税込)

10pt

3.9

ひとりの青年が、とまどい、ゆらぎ、つまずきながら、夫になり、父になる成長物語。その率直さに胸を衝かれる。男性が本書から学ぶことは多いだろう。——上野千鶴子

このひとの書くものはブレない。それはたぶん、自分の立ち位置と付与された力を厳しすぎるくらいに点検することを忘れないからだ。——信田さよ子

フェミニズムから受け取った重たい宿題。これからの〈俺たち〉へ。

男らしさや男性性にまつわる当事者研究として各メディアで話題となった『さよなら、俺たち』に続く最新ジェンダー・エッセイ集。ジェンダーの先にある人間の生き方、幸福を探求する。

人生の価値は、人生の豊かさは、どれだけ何かに心を揺さぶられたかでおそらく決まる。ジェンダーとは生き方や在り方に直結する問題で、私たちの言動や感受性のOS(オペレーション・システム)として機能しているものだ。そこに変化を加えようとすれば、当然ながらいろんなところがギリギリ軋む。そのストレスや不快感はバカにならず、反動的なエネルギーが生じたって不思議ではない。だからこそ思う。俺たちは頭で考えてるだけでは変われない。そのためには何かに圧倒され、言葉を失い、放心状態になるような体験を重ねることが重要で、内省も責任も、ケアも覚悟も、抵抗も希望も、きっとそういう時間から生まれるはずだ。もちろん本やドラマだけじゃない。恋愛にも、子育てにも、仕事にも、旅にも、生活にも、友達とのお茶にも、そんな感動は宿っている。「昔のほうがよかった」「ずいぶん息苦しい時代になった」「あの頃に帰りたい」って気持ちは誰の中にもあると思うけど、進んでしまった時間を、変化してしまったものを、元に戻すことはもうできない。それでも毎日は続くし、何かに心を震わせながら生きていくことは全然できる。さよならした時間に戻ることはできないけれど、男らしさの危機が叫ばれるこの時代を、俺たちはこれからも生きるのだ。
(「戻れないけど、生きるのだ」)

1 〈男〉とフェミニズム──シスターフッドの外側で
2 我は、おじさん──男性優位社会と中年世代の責任
3 被害と加害と恥と傷──泣いてる〈俺〉を抱きしめて
4 平成から遠く離れて──生産性の呪いと自己責任社会
5 家父長制への抵抗──結婚と家族、ジェンダーの呪縛
6 これからの〈俺たち〉へ──beingの肯定

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戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    弱さを認める。開示する。連帯する。生きるとは、感動すること。感動するために生きる。終盤にかけての感情の昂ぶりが文字を通して感じられて、静かな熱に最後は泣いてしまった。
    自分の周りの男性達にもぜひ読んでもらいたい、何を感じるか知りたい。

    0
    2025年04月26日

    Posted by ブクログ

    清田さんのコラムはいくつか読んだことがあって、いつかちゃんと本も読みたいと思っていました。コラムをまとめた本だったから、読みごたえは少なめだったかもしれないけど、清田さんの真摯なお人柄がよく伝わってきました。同世代の東京出身の男性がこんなふうに解像度を上げるんだと感心しながら読みました。
    数年前の本

    0
    2025年08月16日

    Posted by ブクログ

    男性としてフェミニズムをどう考えるかを、真剣に考えられていて好感を持ちました。
    紹介されている本はどれも読みたくなります。

    0
    2025年07月02日

    Posted by ブクログ

    不思議な感じのする文章だ。常に自己を省みながら、周囲に目を配りながら書かれる文章はミソジニーや家父長制の感触とは無縁。断定的ではなく、叩くとやんわりと跳ね返って来るような…従来の男性的・女性的の二元論的には捉えきれない不思議な感覚がある。

    「感動」や「ときめき」がこの本のテーマ。
    過去に流れ去って

    0
    2025年06月13日

    Posted by ブクログ

    桃山商事という集団のことも作者の清田隆之さんのことも全く知らない。
    むしろ上坂あゆ美さんとの対談を見て「苦手かも」って思ってた。だけど対談前に本を買ってしまってたから、半ば「仕方ない」気持ちで読んでみたら面白かった。
    フェミニズムとかジェンダーとか、今までいろいろ感情を揺さぶられてきた話題だけど、か

    0
    2025年06月02日

    Posted by ブクログ

    ここまで開陳していいんだという本。清田さんの中で1番大切にしていることの一つに弱さを認める、さらけ出すということがあると思うけど、そのことが前面に出ている。読んだ本や作品が多く紹介されていたのも個人的には理解しやすかった。

    一方、恋愛において、始まり方や終わり方の分析が他に比べておざなりになってい

    0
    2025年04月16日

    Posted by ブクログ

    今年の個人的なテーマである「男性と孤独」の総決算的な一冊。
    他人には他人の地獄があることを認識し、自らの地獄(孤独)を引き受けた上で相互にケアする関係を築くことがどれだけ難しいかと思い知る一年だったし、この本を読んで改めて思った。

    俺たちは男によって煽られ傷つき疲弊してきた。それを女性に慰めてもら

    0
    2024年12月26日

    Posted by ブクログ

    主にコロナ禍で直接生身の人間と交流できない時期に、主に本やドラマや映画やTV等から感じたことを書くエッセイ。

    文章自体は普段と変わらないのになんか読みにくい…話のメインになる著作物のタイトル・作者が文中にしか書かれてないからかな。小見出しの横にでも 『源氏物語』紫式部 とか書いてくれればあとからあ

    0
    2025年11月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    独身未婚中年男性(アロマンティックだがアセクシャルではない)の自分が読んでみました。

    これは清田さんが悪いわけではないのですが、決定的に読者としての自分と清田さんの文章や考え方が合わないんだろうなということで星3つというか、例によって読み終わってモヤモヤしました。
    ただ、結局この手の話は結論が出な

    0
    2025年09月10日

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