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SNS等に溢れるあいまい情報に飛びつかず,その不確実性に耐える力が輿論主義(デモクラシー)の土台となる.世論駆動のファスト政治,震災後のメディア流言,安保法制デモといった二〇一〇年代以降のメディア社会を回顧し,あいまいさに耐えられない私たちにネガティブ・リテラシー(消極的な読み書き能力)を伝授する.
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Posted by ブクログ
• 世論(セロン)と輿論(ヨロン)という使い分けは非常に明快であり、今までなぜ知らなかったのかというくらい腑に落ちた。世論とは、移ろいゆく国民感情の総和であり、輿論は理性的な熟議により形成される公論である。ルソーの一般意志と言う概念に近いのかもしれない。本書では、以下の通り、分類されているため、付記...続きを読むしておく。 輿論=Public Opinion→世論=Polular Sentiments 可算的な<デジタル>多数意見定義類似的な<アナログ>全体の気分 19世紀的・ブルジョア的公共性理念型20世紀的・ファシスト的公共性 活字メディアのコミュニケーションメディア電子メディアによるコントロール 理想的道義による合意=議会主義公共性情緒的参加による共感=決断主義 真偽を巡る公的関心(公論)判断基準美醜を巡る私的心情(私情) 名望家政治の正統性価値大衆民主主義の参加感覚 タテマエの言葉内容ホンネの肉声 佐藤氏は、輿論と世論の違いを時間耐性であるとも捉える。世論は移ろいやすいが、輿論は熟議によるものであるため、耐性がある。さらに、私の個人的な解釈であるが、熟議であるために、時間的かつ空間的な思慮の射程の広さも輿論と呼べるポイントであると考える。『大衆の反逆』においてオルテガは、大衆の時間的かつ空間的な意識の希薄さを取り上げていた。現代でも、大衆的な言説はあるが、私個人としても判断のポイントは、どれだけ長い時間の公共性を踏まえて考えられているかである。そうした意味で、敬愛する中島岳志氏の死者も含めた民主主義を志向すべきであり、それが即ち立憲主義であるという主張とも近いものがあるのではないかと思う。日々、コミュニケーションの中で、人間の認知能力の限界を超えて、どれだけ長い射程で物事を考えられるか、合意形成が図れるか、と言うポイントが重要であると感じる。歴史上、それは宗教の役目であったが、近代合理主義の世の中で、今一度人々に長く、広い射程で物事を考えさせるための議論の基盤はどこにあるのか、考える材料になる。 また、世論調査の功罪についても、明解であった。小泉政権以降、世論調査が一種の政治の成果のバロメーターとみなされた。民主党政権におけるマニフェストという概念の打ち出し、そして現在まで続くバラマキ政策等、極めて政治が輿論ではなく世論を重視するようになってしまった政治風土の変節は憂慮するべき事態であろう。皆、可処分所得が減っていって辛いのはよくわかるが、人口減少社会の中で日本が誇る国民皆保険や社会保障、治安、さまざまな社会的共通資本をどのように後世の残すか、真剣に議論すべきであろう。それは、世論だけを見ていては絶対に達成し得ない。また、海外を見れば、トランプ政権は完全に政治をマーケティングに換えてしまったと感じる。これまでも、そうしたきらいはあったものの、大統領自身がタテマエを言うことを辞めてしまった節がある。もとより、大統領制を持つアメリカ政治は、世論をターゲットにすることも重要であったが、政治をマーケティング化することは、まさにトクヴィルの慧眼による警鐘であった「多数者の圧政」を助長するものになってしまう。民主主義は少数派に対する寛容や配慮を欠いた瞬間に、大衆主義に成り下がる。そうした政治態度そのものをトランプは破壊していることに自覚的なのかわからないが、一市民としては憂慮する。 • ニュースの遅延報酬と即時報酬 ウィルバー・シュラムは、人々がニュースに求める期待を「快楽原理による即時報酬」と「現実原理による遅延報酬」に分ける。スポーツや娯楽、スキャンダル等の読んで面白い記事は即時的な快楽をもたらすニュースである。一方、政治、経済、文化関連に記事は時に退屈である。しかしながら、こうした味気ないニュースこそ、人々を日常の現実に向き合わせ、やがて現実世界での成功に導く。より良き社会への発展には、この遅延報酬のニュースが必要不可欠である。遅延報酬と言う概念は、まさに教育に当てはまる。高い知性は退屈な学習訓練なくしては生まれることはない。現在は、YouTubeやSNSのビジネスモデルとしてアテンションエコノミーと呼ばれる時代となったが、まさにアテンションを稼ぐことそのものが自己目的化されたメディアにおいて、情報はすべて快楽原理によって提供されていると考える。特にSNSの時代だからこそ、この二分法は心に留めておきたい。 • あいまいさに耐えること能力 ネガティブリテラシーとは、あいまいな情報を受け取った時に、あいまいなまま留め置き、その不確実性に耐える力である。より具体的には、SNS等の情報を必要以上に読み込まず、書き込まないだけの忍耐力である。二分法の判断を得意とするのはデジタルなAIである。人間は、人間だからこそ、判断しないという宙ぶらりんな状態に耐えて、やり過ごすという知的態度を取る耐性思考を今こそ追求すべきであろう。なお、こうした言説を内田樹氏は、「知的肺活量」とも呼んでいる。わからない文章や概念を読んだとき、学んだ時に、わからないながらに判断を保留しながら、読み進める様をゴールの見えない潜水に例える。潜水するためには肺活量が必要であり、こうした曖昧さ、わからなさに耐え抜くことを一つの知性のバロメータとして捉えている。
タイトルからネガティブ・ケイパビリティに関する内容を想像していたが、メディア情報を受け取る際にネガティブリテラシーを発揮すべきという内容だった。多くの頁は輿論と世論に関する議題に割かれている。
時間をかけることの重要性を説いているが、メディアやその受け取り手にこの本は届くのであろうか。届かないのであれば意識作りだけでなく、合意形成の仕組み作りが大切となる。そのようなことを考えた
『輿論と世論』刊行後の新聞雑誌等へ掲載された論考をまとめたもの。テーマは引き続きメディア・社会を対象としたもの。「報道の自由度ランキング」や「デモ化する社会」を巡る論説には著者ならではの角度と距離感を感じる。SNSをはじめファスト化する社会環境に対しては「やり過ごす力」としてネガティブ・リテラシーを...続きを読む提唱している。
東日本大震災後の論考なども含めて今の、ファスト世論への視点に富んでいる。ちょっと上から目線ではある。
流し読み。 公的意見としての輿論と、大衆感情としての世論をキーに、これまでのような情報の受け手としてだけではなく、発信者となり得る今、性急な判断をせず、どうでも良いものをスルーする、本当に考えるべきことを熟慮する。 内容としては前書き後書きにあるその程度だが、輿論、情報という語への注意喚起には注目。
2025.07.23-2025.10.04 この本を読み切るのにかなり苦労した。というのも、「ネガティブ・ケイパビリティ」を連想するタイトルに惹かれ心理学的な内容かと思い購入したところ、しっかりとデモクラシーやメディア論から取り上げて考える内容となっており、理解が追いつかない部分が多かったのである...続きを読む。これは私の基礎的な知識が十分ではなかったためで、メディア論や政治学などの知識があればすんなり読めると思われる。 そんな難しい本ではあったが、この夏東京国立近代美術館で見た『コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ』において、この本の内容を読んでいたからこそ、展示品の背景に躓くことなく、楽しむことができたと思っている。読んである本と、たまたま行った美術展がリンクする経験というのは初めてだったが、戦前戦中戦後という時間軸、前線と銃後という階級と環境、日本と世界という場所など多面的な軸での情報発信やその意図を、三章まで読んでいたことで、学術的視点と共に実物に触れ、体験することができた。 p191-l8 そもそも、サイバーシティズン(電脳市民)がどれほどクリティカルシンキング(吟味思考)をマスターしたところで、情報の真偽がそう簡単に見分けられられると考えるべきではない。私たちが何かの専門家になるということは、別の何かの専門家ではないということを意味する。あらゆる領域で情報を見分ける能力など、たとえ情報分析のプロフェッショナルであっても個人的には持ち合わせていない。 p195-l5 イエス/ノーの世論調査、すなわちON/OFF、白/黒のデジタル思考への抵抗力を高めること、あいまい情報の中で事態に耐える人間力こそが、AI時代に求められるリテラシーだからである。 多くのハッとさせられる文章があったが、中でもこの二つはとてもじっとりと張り付いた。私には心当たりがあった。 それは、コロナ禍において、外出自粛の際に外出している人への疑心暗鬼や不満(当時は怒りだと感じていたが、あれは我慢を強いられているのにずるい、という気持ちだったに違いない)を、IGの個人の鍵アカウントのストーリーで流したことである。 内容を端的に言えば、「身勝手な行動一つで、基礎疾患や既往症のある誰かの家族を薬のない病気に罹患させることになるのだから、遊ぶ、などの行動は控えるべき」ということを長文でお気持ち表明していた。当時それを見た友人たちはドン引きしたに違いない。 これはあいまいさに耐えられなかった結果である。死者や罹患者の数字だけが跳ね上がり、日常生活が制限され、緊急事態宣言という今まで体験したことのない緊張感に、私は恐怖し、耐えられず、結果私の行動によって誰かの不安を揺さぶったのだ。本当に恥ずかしい限りである。 この本を読んで、そんな自身のあいまいさに耐える人間力のなさに心が重たくなった。あの頃より、今は「耐えるを忍ぶ」力が時間経過と共についた、と思いたいが、たくさんの情報に溢れている今日で、あいまいさに耐えることはひどく苦しい。 けれど、未熟な人間なりに、速さやセンセーショナルさに飲まれず、その勢いを飲み込み、ぐっと腹に溜める力を鍛えたいと思った。
デモクラシーの訳として以前は様々なものがあり、尾崎行雄は輿論主義、という言葉を使った。 輿論と世論は違うもの。今はセロンと書いて、ヨロンと読む。 世論はファスト政治、メディアるげん、デモ、情動社会に結びつきやすい。 輿論は公議輿論というように公的意見、世論はポピュリズム。 ネガティブリテラシーとは、...続きを読む不用意に反応しない(書き込まない)忍耐力。曖昧な情報を安易な結論に結びつけず、そのまま留め置いて不確実性に耐える力。ネガティブケーパビリティ。 メディアの予測は、予言の自己成就を狙ったものが多い。 ニュースに何を求めるか。快楽原理による即時報酬と現実原理による遅延報酬。スポーツ、芸能、スキャンダルなどと政治・経済、文化関連の記事の違い。スポーツ新聞と日経新聞の違い。 人気タレントの立候補、給付金は前者。 小泉内閣以降、熱しやすく冷めやすい世論を反映しやすい。世論の反映によって、人々の期待感は常に引き上げられる。実際に期待通りのレベルに達することはない。そのため結果は常に裏切られる。 ローマ皇帝が支持を得たのも、道路と安全ではなく、パンとサーカスによるものだった。 失望を回避しようとすると、公約はパンとサーカスに集中しやすい。即時的快楽を優先する。マニフェスト選挙は有権者の消費者化をリードして、議会制民主主義の空洞化を招く。パンとサーカスの政治に陥りやすい。 メディアとは、もともと広告媒体の意味。 世論調査民主主義は、議会制民主主義と相容れないものではないか。世論調査は無難な世間の声に集約しやすい。それは民意といえるのか。しかも、マスコミが操作することは容易い。 ネット世論は、ネット小言、に等しい。マスメディアの世論調査に対する不信感。 輿論は公議輿論、世論は曲学阿世=世論に慮ること。 新聞のラジオ化=死刑としての世論、両画質を支配する=世論調査につながる。書籍のラジオ化=円本。 多数派の高齢者が、若者世代の意見を代弁することは、2重の意味で危険。本来のニーズからズレている可能性、若い人を思いやったという気持ちからそれに気づきにくい点。高齢者が世論の輿論化を目指しても、快楽原理に左右されている可能性がある。 クリティカルシンキンはどうか。批判的思考ではなく、批判するだけでなく時間耐性を要求する思考、という評価。多くの問題は時間によって解決される。熱しやすくさめやすい世論から距離を置いて反応に耐える態度が必要。 時間を必要とする輿論政治は大衆社会では困難になることは100年前から指摘されていた。「パブリックオピニオン」ウォールターリップマン。公共前に奉仕する知的な専門家に委ねられるべき、とした。大衆民主主義に対するペシズム、悲観論。 市民教育のレベルが上がれば公的な問題に正しく対処できる、というのは幻想。大衆という集団になると、クリティカルシンキングは批判ではなく非難になりがち。非難ではない吟味できる能力は、どのくらいの割合だろうか。 耐える力はAIが不得意とするもの。あいまいな情報に対してネガティブに反応することで、情報をやり過ごし安易な発言をしないことに結びつく。 脳はわかりたがる。読むことは考えることまで腐敗させる。(ニーチェ)。ショーペンハウアーと同じ。 リテラシーの向上に努力してきたのは情報が少なかった時代だからこそ。成熟した民主主義には、世論を輿論にまとめあげることが必要。 安倍政権がメディアに高圧的だったのも高い支持率を背景にしている。 放送禁止は放送局の自主的なもの。フロムの「自由からの逃走」の論理と同じ。メディアは戦前には陸軍から圧迫ではなく饗応されていた。権力への迎合は心地良い。 締切がある幸せ。卒業論文。締切がなければ、いつかやる、は到来しない。あとで学べばよい、というゆとりは社会階層の固定化をもたらしている。 読書術は読み飛ばし術であるように、見過ごすべきものを見極める技術が大事。締切がある人生も見過ごすものを見極める技術の応用でもある。 戦争は不安から始まる。征服欲や闘争心ではない。ウクライナ事変は満州事変と同じ。
目の前に溢れるあらゆる情報に対して、「リテラシーを身につけよう」という姿勢で立ち向かうことの限界を感じて、この本を手に取りました。 「耐えを忍ぶ」ネガティブ・リテラシーの大切さはその通りだと思いますが、アテンションエコノミー全盛のSNSがある中で、答えに飛びつかないことの難しさも感じました。
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