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よりよい“世界制作”のために、私たちの家を考えよう――。哲学の一分野である美学の中でも、とりわけ新しい学問領域「日常美学」初の入門書。本書では、芸術を中心とする旧来の美学界に「女性の領域」として長らく無視されていた「家」を中心に、掃除と片付け、料理、椅子、地元、ルーティーンを例として、日常の中の「美」を問い直す。新進気鋭の若手美学者が冴えわたる感性でまとめ上げた、センセーショナルな一作!
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Posted by ブクログ
「日常」というワードにほのぼの系を連想していたが、本書で展開する議論は想像を上回る骨太。生半可な態度では理解するのが難しいところもあり、日常美学は学問であることをまじまじと認識させられる。 美的=感性的を基軸に、日常に潜む美的経験や美的性質について検討していく。21世紀に生まれた新しい学問であるた...続きを読むめ、断定的な定説というものは少なく著者の主張が述べられていく構成となる。執筆期間にあたる著者個人的な出産・育児経験を下地に論理を構成しいるので、学問として突き放されるのではなく親近感が持てる。 「世界制作」というキーワード。 美術芸術はどこか崇高なもので日常生活から切り離された体験であるという一般認識は私にもある。しかし、個人が営んでいる日常に感性を働かせる意識を持つことで、個人から世界へと影響を広げ世界における認識を良い方向へ転換していこうという働き。 日常美学をきっかけとして、日々の暮らしを新しい視点で見直す。美的な経験を生みだす。忙しさにかまけてつい見逃してしまう些細な感情の揺らぎに自発的に耳を傾けて、ちょっと思考していこうかな、という思いに至るのです。
『近代美学入門』を面白く思った人に間違いなく勧められる入門書。感性に関し人文学知はどう発展に寄与したかを踏まえ、現代の美学によって私たちの暮らしに対する感性をどう評価できるか? という視点を得ることができる。著者も記すように、ていねいな暮らし推奨本というわけではないので、敬遠せずに(?)読んでほしい
日常美学について語った本。 日常美学とは、日々の暮らしを支える活動やモノを通じて、美を捉える学問。 印象的だったのは、ピカソのゲルニカについて。 ・現実社会を忠実に描く絵画としては、とてもいびつ、風変わりな絵画。 ・キュビスムの絵画として捉えると、典型的で優れた事例、美的な絵画。 →どのカテゴ...続きを読むリーで物事を見るかによって、美への捉えな方が異なるという考え。 また、バラを事例にした、美的性質という理論。 バラは華麗というが、どこがといわれると難しい。全体的とかしかいえない。 (例) ・深紅の色 ・くっきりと弧を描く花弁 趣味が洗練されると、対象に対する美的判断が適切になる。 つまり、趣味に秀でている人は、適切な美的判断できる人といえる。 日常美学は、新しい研究分野。 最先端の研究における理論をわかりやすく説明した本。
美とは何かを問うている。日常にも転がっている。汚い・きれいの問題ではない。新奇さがとても大事。新奇さにも美が潜んでいる。芸術は五感の視覚・聴覚と触覚・味覚・嗅覚とを分断してしまったとの表現にハッとした。美学はエステティックであり、beautyでもなければ、アートでもない。美学は物事の本質を切り出す作...続きを読む業なのかもしれない。
「椅子が美しい」と言う場合、その椅子が機能的に優れているから美しいのか、それとも椅子に付いている装飾などが綺麗だから美しいのか。このくだりを読んで、機能性が高い日用品=民芸品こそ美しいと述べた、(K村君が卒論で扱った)柳宗悦の民芸論を思い出した。柳宗悦は日常美学の先駆者か。
日常の哲学的美学。ネタはなかなかおもしろい。むしろ私は日常生活にはけっこう関心あるけど、あんまり哲学的な関心もってないのだな、と気づかされた。
芸術やら美術やら音楽やら、誰もがそれは美学があると認識されるものは研究対象となし得るが、まさか日常のなかにあるものを美学するという、一見難問とさえ思える事柄を考えている本書。 言語化するだけでもスゴい。 ただ、やはり難しい。日常を美学する概念を自分に馴染ませることが難しいんだと感じた。
家の中で過ごす何気ない時間にも美は宿る。日常の営みを見つめ直す視点を与えてくれる。掃除の手順や食卓の配置すら暮らしの美を構成する一部だという。 だが忙しさに追われがちな現代ではその美は見過ごされがちだ。だからこそ「家から考える」ことが心を整える第一歩になる。ありふれた風景に目を凝らせば静かな輝き...続きを読むが見えてくる。
芸術や美学、ふだん美しいと感じているものは社会的あるいは道徳的にそう思わされているだけかもしれない。自身の感性に向き合い、世界をつくる一員として感性の変化も含め、心地良いと思うものを流されず選んでいきたいなと考えさせられた。
最近読んだ書籍の中では、なかなかに難しい、読みにくい、哲学的な内容のもの、であったように感じる。 それにも関わらず、と言うかそもそもこの書籍を読んでみよう、と思ったのは、自分も「日常生活を美的に楽しんで(時として悩んで)いる」と常々思っているからである。 そのような動機で読み始めたわけであるが、...続きを読む時として頷ける、あるいは退屈する、記述があったにも関わらず、なんとか時間をかけて最後まで読み切ることができた。このような漠然とした感想しか書けない時点で、既に「読んだとは言えない」のではないかと言う批判もありそうだが、何点か、頷ける記述には出会うことはできた。具体的にここで書き上げる事はできないが、これまで自分が実践してきた一人暮らしのルーティーン、日常と新奇なもの、…などについての記述である。 また最終章で、そもそも私が最近、読書が好きになったきっかけでもある、「オーバーストーリー(リチャード・パワーズ著、木原善彦訳)」の引用がなされていたことも実に興味深かった。
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「ふつうの暮らし」を美学する~家から考える「日常美学」入門~
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青田麻未
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