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第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作!
“戦後復興のシンボル”力道山が他界して60年。
妻・田中敬子は80歳を越えた今も亡き夫の想い出を語り歩く。
しかし、夫の死後、22歳にして5つの会社の社長に就任、30億円もの負債を背負い、4人の子の母親となった「その後の人生」についてはほとんど語られていない──。
〈未亡人である敬子には、相続を放棄する手もあった。
しかし、それは考えなかった。
「そんなことを、主人は絶対に望んでないって思ったんです」
敬子は社長を引き受けることにした〉(本文より)
「力道山未亡人」として好奇の視線に晒され、男性社会の洗礼を浴び、プロレスという特殊な業界に翻弄されながら、昭和・平成・令和と生きた、一人の女性の数奇な半生を紐解く傑作ノンフィクション!
選考委員絶賛!
●辻村深月氏(作家)
「未亡人・敬子さんの人柄がくらくらするほど魅力的」
●星野博美氏(ノンフィクション作家)
「戦後日本の闇の深さを際立たせることに成功した。過去と現在がうまく共存し、そこから日本の変遷が透けて見えた」
●白石和彌氏(映画監督)
「アントニオ猪木や周りの人との関わりも、プロレスファンが読んでも堪らなかった」
(底本 2024年5月発売作品)
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Posted by ブクログ
確か…力道山が自分の半生を自分で演じた変わった映画の題名は「力道山物語 怒涛の男」だったような…ってことを思い出させるくらい、力道山の妻も「怒涛の女」でした。ただし、「怒涛の男」はマチズモの大奔流であるのに対して、「怒涛の女」はその激流に翻弄されるというより、乗りこなしていくサーフィンの達人のような人生なのです。淡白と言えるくらいの執着の無さと、すべてを受け入れる寛容性に眩しさを感じました。もしかしたら戦後日本の気分とは、こう言いう楽天性だったのではないでしょうか?逆に「力道山未亡人」という視点から見ることで戦後の男たちの欲望と謀略と野心の物語もくっきり浮かび上がります。そしてプロレス業界に埋め込まれたマスターナラティブに対しても異議申し立てがなされていきます。知ってるつもりだった歴史にも、えっ!そうだったの?が満載でした。特に1975年12月11日の武道館「力道山十三回忌追善試合」と蔵前国技館「アントニオ猪木対ビル・ロビンソン」の対立の経緯に対する考察には知的興奮を覚えました。それにしても「沢村忠に真空を飛ばせた男」の野口修にしても、「力道山未亡人」の田中敬子にしても、著者の視点人物の発見の新鮮さにはただただワクワクをもらえます。前作同様、本作も「右翼・興業・格闘技」の日本の地下水脈の物語なので、さらなる語り部や憑代も登場する予感がいっぱいです。プロジェクトXの「地上の星」ならぬ、アンダーグラウンド「地下の星」の星座をまた見せてください。
Posted by ブクログ
主役となる力道山の妻、田中敬子の人生の激動っぷりにおどろくが、あの時代のおおらかさにも驚く。たとえば力道山との結婚式や葬式には当然のように政治家もやくざも出席している。こんなものは同席しているだけでアウトとなるようなものだし、そもそも田中敬子の父親は警察署長である。いまとはまったくべつの力学で冠婚葬祭が行われている。
ただ、これはいまの時代と比べて、というより、このあと(だいたい1965の東京五輪あたりで)裏社会とのつながりは切られる方向に向かう。そしてそれは田中敬子の人生にも大きな影響を与えるのだが…なかなか大変なものだと思う。なにせ20代前半で何十億という負債を抱えるのだがら、並大抵の担力では潰れてしまうだろう。
しかし読んだ印象としては暗い気持ちにはならない。これはどこか、主役の田中敬子のあっけらかんとした明るさによって保たれている。良家のお嬢さん特有の育ちの良さがあるのだろうと思う。
Posted by ブクログ
「力道山未亡人」ではあるものの、力道山本人のエピソードも多く、猪木・馬場も登場するため、力道山の奥さんは全く知らないものの、日本のプロレス黎明期を知るための歴史書のようにも感じた。
ご本人の魅力的なお人柄は、文章からも伝わってくるが、全く個人的なこととして、本書の主人公、田中敬子と、漢字も含め同姓同名の知り合いがいること、地元が近いこともあり、家族が通っていた学校が出てくることなど、妙な親近感があった。
また、陰謀論好きとしては、力道山の死が、日本の朝鮮外交に影響を及ぼした可能性があるとの指摘は興味深かった。
著者の格闘技・プロレス関連のノンフィクションは、引き続きチェックしたい。
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