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19世紀後半、伝説の魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)の世界の扉を開き、世界は一変した。ジンの魔法と科学の融合によりエジプトは急速な発展を遂げるが、アル=ジャーヒズはなぜか姿を消す。それから40年後、カイロに彼の名を名乗る謎の男が現れ、彼を崇拝する人々を焼きつくした。エジプト魔術省の女性エージェント・ファトマは、恋人の女性シティらと共に捜査に乗り出す。ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞の4冠に輝いた新鋭の第一長編!/解説=渡邊利道
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Posted by ブクログ
舞台は1912年のエジプト。と言っても1872年頃に、ジン(精霊)の世界への扉が開かれ、魔法と科学の融合で急速な発展を遂げ、ヨーロッパの列強と並び立つエジプト。第一次世界大戦の直前の緊張感あふれる時代でもある。エジプト魔術省のエージェント・ファトマが主人公。周囲の顰蹙を買いながらもヒジャブではなくス...続きを読むーツを着こなす彼女の相棒は派手なヒジャブをつけるハディア。異教徒である謎の恋人シティ。イスラム世界の中での女性たちの活躍を読むのが面白いのだが、ファッションもおしゃれだし、ジンもかっこいい。ジンは総称でイフリートやその他いろいろな精霊を含むらしく、用語集が欲しいところ。それよりも映像化して欲しいと、素敵な表紙絵を見ながら思う。前日譚の短編などもあるようで、それらも出版されるのを希望。
『SFが読みたい!2024』の海外長編部門の第1位。SFというかスチームパンクか。ファンタジー色も強い。 舞台になるのは、1912年のエジプトはカイロ。伝説の魔術師アル=ジャーヒズがこの世にジン(精霊)を呼び戻してから40年になる。エジプトは科学と魔法の融合により欧米をしのぐような発展を遂げてい...続きを読むるのだが… スーツに身を包む主人公ファトマは、エジプト錬金術・魔術・超自然的存在省(すごいネーミング)の若き捜査官にして同省初の女性エージェントである。その相棒となる新米捜査官ハディア、勇猛かつ妖艶な恋人シティ(どちらも女性です)とともに事件を追う(イスラム世界である)。 敵役はアル=ジャーヒズに成り済まして暗躍する謎の黄金仮面人(江戸川乱歩風怪人)である。ジンや機機械仕掛けの天使や屍食鬼(グール)が普通に存在する社会であり、スチームパンク的なテクノロジーが活躍するカイロのが素敵だ。 2段組で400頁越えの長さだが、読者を飽きさせない。前日譚にあたる中短編があるというので、そちらの訳を待ちたい。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」 うひょ〜 とんでもないの来たー! はい、2024年「このSFが読みたい海外篇1位」の『精霊を統べる者』です スチームパンクにファンタジーにアラビアにといろいろごちゃ混ぜなのになぜかスッキリした世界観 でもってマジ構成がエグい 次...続きを読むから次へと展開が変わるとてつもないスピード感、使い古された表現で申し訳ないが、まさに謎が謎を呼んで止まらないよ〜 そんでもって根底に流れるテーマは、偏見から逃れられない愚かな人々に向けられた怒りなんじゃないのかなって思うのです 差別って何から生まれるんだろう?って問いに答えるのは難しいけれど、差別がなぜ続くのかという問いへの答えのひとつは、それが当たり前だと疑いもしないところなんよな 「差別から生まれる支配との闘争の物語」『精霊を統べる者』とはそんな物語だったんじゃないかと思うのです
違う世界のエジプト、特にカイロを舞台にジンや天使ではない機械の天使が闊歩しエジプトの神々たちや神殿の信徒たちも加わる20世紀初め、ジンを支配する指輪によってもたらされた厄災を解決すべく頑張る魔術省のファトマたちの戦いを描いていて、何もかもが面白く、ページ数は多かったけど一気読み。
こいつは文句無しの星五つ。特に後半、ページをめくるのももどかしく、まさに“貪るように”読み切った。ジンと総称される精霊(例のランプから出てくる青い魔神のような!)と人間が日常的に共存する19世紀のエジプトが舞台の歴史改変的スチームパンクSFといった風情だけど、まぁその世界観の魅力的なこと。 クールだ...続きを読むけど、どこか生真面目な主人公、魔法省女性エージェントであるファトマが、恋人の蠱惑的な女性、シティに手玉に取られたりする場面や、相棒の新人ハディアの意外な一面(いや、多面か)に触れて目を丸くする場面など、クスリとさせられる場面も多くある。 全編通じて物語はとても映像的で、これはいつか映画化するんじゃないかというか、するべきという気持ちが読み進めるごとに大きくなった。スタイリッシュなファトマのファッションや、ジンのCG表現など、想像するだけで楽しい。主人公は誰だろう? とにもかくにも、本棚に納めておくのが嬉しい、超絶おすすめの一冊となった。
★5 精霊や魔法など超自然的存在と共存する幻想的な世界、女性たちの戦いが鬼アツ! #精霊を統べる者 ■あらすじ 伝説の魔術師によって精霊との扉を開かれた世界。時は1900年代初頭、エジプトはギザの街、秘密結社の団長と仲間たちが黄金の仮面をかぶった謎の人物に焼き殺されてしまった。魔術省の女性エージェ...続きを読むントであるファマトは、新人のハディアや身体能力に優れた恋人シティとらと捜査を始めるのだった。 ■きっと読みたくなるレビュー 大好きな青崎有吾先生が大絶賛してたので、思わず手に取った一冊。また強烈な本を読んでしまったなぁ~、なんじゃこの傑作。 正史に一部基づきつつも、精霊や魔法といった超自然的な存在と共存するエジプトが舞台。ほぼエジプト史なんて知りませんでしたが、イギリスとの関係性や歴史の背景にある人種差別や弾圧、奴隷制など学ぶことが多い。 荘厳な歴史を感じつつ、主人公である魔術省のエージェントであるファマトを中心に事件の捜査が進んでいく。その中で人間たちの様々な宗教や団体が登場するのですが、決して人々は幸せになっている様子はなくむしろ自分たちを苦しめてるように見えるんです。 さらに、精霊、魔法、天使といった超自然的な存在がさらに事件を複雑にしてくる。特に精霊は敵なのか味方なのかよくわからず、主人公と同じように読み手も煙に巻かれちゃう。 ただこれらのスーパーナチュラルな存在がファンタジックながらありそうな設定なんですよ。描写も想像しやすいように書かれていて、迷子になることなく幻想的な世界に漂えます。 物語が後半に入ると問題が本格化してくるんですが、ここからはもう読む手が止まらない。黄金の仮面をかぶっているのは誰なのか、目的はなんなのか、世界はどうなってしまうのか。対決シーンなんか想像以上のアクションでドキドキするし、仲間たちとのやりとりなんて超激熱ですよ! そうそう、本作は登場人物が素敵すぎるんです。百合っぽい要素もアリアリで「女性たち」の戦いも読みどころなんです。 ●ファマト お洒落さん、真面目で行動力もあるし、機転の利く女性。彼女の弱い部分が見え隠れするところに感情移入しちゃって、どこまでも応援したくなる主人公。 ●シティ めっちゃCoolで妖艶なお姉さん。重要なシーンでさっそうと登場する様子がまるで王子様のようで、身をゆだねたくなる人。私も甘えたい(男だけど)。ファマトと恋人でありながらも、立場や価値観、隠し事があったりと距離感が絶妙で好き。 ●ハディア 新人女性エージェント、現代風な考えを持ちながらも信念は強い。先輩ファマトとの関係性が、まるでベテラン刑事&やる気満々新人刑事の二人組といったところ。価値観をぶつけ合うシーンは読む手に力が入った、カッコイイ! 久しぶりに壮大なファンタジーの世界に浸りました、スゴイ一冊。想像力をかきたてますし、日頃の疲れた脳みそが癒されるので、夏休みにぜひどうぞ。 ■ぜっさん推しポイント 力を持ちすぎることは害悪でしかありません。特に人種差別や奴隷制度といったものは、本当になくなって欲しい。本人の努力ではどうにもならないじゃん。 幻想文学とは言いつつも、本質的には実現世界の問題とあまり変わらないことに悲しくなりますね。人間ってどこまでも強欲だし非道な生き物、悲しい歴史は繰り返さないで欲しいわ。
アラビアンスチームパンクエンタメ小説。 (分かる人には魔法強めのアラビアン・ギア・アンティーク) 第一次大戦直前の魔法が開放されたエジプトが舞台。 主人公は三つ揃えと山高帽に身を包んだ短髪巻き毛の褐色の男装の麗人! その設定だけでモリモリ。 ジンの住む世界との扉を開放し、その魔法の力でエジプトを列強...続きを読むにのし上げた魔術師を称する人物が引き起こした混乱に、主人公が立ち向かう。 結末に向かって話が収束するように丁寧に伏線がはられており、エンタメとして読みやすい。 展開の組み立てはADVのノベライズを彷彿とさせる一本道感はあるものの、さらっと読むにはちょうどいい作品。
面白かった!硬派な感じかと思ってたら結構エンターテインメント。女たちの話、差別の話、共生の話、植民地の話、そういう点を入れ込みつつ楽しい仕上がり。少々理想主義すぎるというか、楽観的だけど、それもまた良いなと思わせる作品だった。
いつ読んだか忘れてしまったけど、登録しそびれていたので。 スケールの大きなファンタジーで、最終場面はぜひ映像で見たいなと思った
『SFが読みたい!2024』の海外長編部門の第1位。 間違いなく面白い!! SF色よりか、ファンタジー色のほうが強いかも。 主人公も相棒も、恋人(こっちも女性・・・普通ではなかったけど)も登場人物が全員格好いい。 全体に流れるスチームパンク、女性ながら、なかなかなハードボイルド。
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