最近公開された映画で「マーシー:AI裁判」というものがありました。これもAIが裁判官という想定でしたが、サスペンス的謎解き要素は面白かったものの、裁判官がAIである必然性があまり感じられなかった。それに反して、本書のAI裁判官は、コンピュータプログラムであることや、その作り手の人間が背後にいることなど、「AI裁判官」ならではの落とし穴がふんだんに盛り込まれていて、なるほどと思わせる箇所が多かったです。また登場人物(人間)の個性も面白かった。一番印象に残ったのは、ケース2で登場する、脳波義手を背中に10本つけている千手樟葉というキャラクターでしょうか。普通の人間を「二本腕」と格下扱いするのですが、本書の主題である「AI裁判官 vs ハッカー弁護士」とは別のところでも興味深い味付けがある印象です。