Posted by ブクログ
2013年07月17日
スポーツ関連のノンフィクションを数多く手掛けた著者による一冊。
渋い引き際を飾った著名人10名の物語を描く。
江夏豊, 寺尾常史, 本田宗一郎&藤澤武夫, 堀田力, 鐘ヶ江管一, 池永正明, 荒井注, 小出義雄
引き際の有様は九者九様であり、限界まで食らいついての引き際(江夏,等)もあれ...続きを読むば、自然体でさらりとした引き際(荒井注,等)、覆せない挫折による引き際(池永,等)もある。その点で、「男の引き際」とはあるものの、特定の生き方を押し付けるものではない。
個人的な好みとしては、本田宗一郎とその名参謀である藤澤武夫が経営から引退を決めた際のやり取りにグッときた。
...ところで、この手のドキュメントは視点による美化(?)が付きものである。例えば荒井注は、ドリフ引退半年後に芸能界復帰を行い顰蹙を買っている(本文では一切触れられていない)。本田宗一郎は、最新技術についていけなくなった果ての引退、とも取れる。
なので、本書による一面をもって人物の全体を評価することはできない。しかし、まぁ、その一面が格好良いことは確かで、素直にその渋さを味わうのが宜しい読み方だと思う。