Posted by ブクログ
【入れ替わりの面白さ考察7】期間限定性と近いけれど、可逆性。というか、元に戻ることが既定路線な感じ。
「とりかえばや」に対して氷室冴子氏が「男になってみたいという平安姫君の願望は、『とりかえばや』の主人公に自己投影することで叶う。主人公のように外の世界に出て、屋敷に篭ることなくあちこち出歩く。そして最後はもとの女に戻り、姫君たちも『ああよかった』で今の自分の立場に安心するのだ」的な解説をしていてまったくそうだよなあと思ったんだが、元に戻れるからこそ楽しめる冒険というのもあるのです。
と思ったら本作はそこと真逆の方向で落ち着くというある意味新しさ。「ああやっぱり今の自分がいちばんだ」という「今」が「入れ替わり後」になってしまったという例。最後なので理屈も捏ねず素直な感想を述べますがよかった…本当によかった…わたし千本木くんの幸せだけが気になってたんだよ。この結末で良かった。本当ありがとうございます、入れ替わりものフォーエバー(完)