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Posted by ブクログ
人間の複雑さ、らしさが垣間見える。正義感から動いた人はもちろん、気まぐれ、罪悪感、お金、それらが入り混じり人は動く。
ドイツ人と結婚したことでドイツ人特権を与えられていたにもかかわらずユダヤ人のために偽造身分証を作り続けて捉えられた者。ユダヤ人シングルマザーから生きるための求婚を受けて、結婚したが、妻子が終戦近くにゲシュタポにつこまり、その間に自分との子が生まれてすぐ死んだことを終戦後に聞かされ、その際には妻には新しい恋人がおり、離婚した者。匿われたお陰で前後渡米し、90歳近くまで生き、大往生寸前にベルリンに孫含めて一族で恩人に会いに行き、そこで初めて辛い過去と恩人への恩義を一族に伝えた者。
人間の挙動とは本当に複雑に決定される。簡単に線を引いて分けることは理解を簡単にするが、なかなか現実はそのように単純ではないことを教えてくれる。
Posted by ブクログ
■信念に基づいて行動する勇気
ナチスによる独裁政権下での思想と言論の統制、ゲシュタポによる弾圧、そして隣人による監視、密告の恐怖。そんな息苦しい暗雲立ち込める状況で、自らに危険が及ぶリスクを承知で立ち向かった人たちがいる。人種や身分、貧富を問わず。
歴史というジャンルの特性として、大きな潮流を俯瞰する必要性から国家や軍、政府といった単位、いわば人間の集合体でその思想や行動、また善悪が語られることが多く、それは歴史を理解するうえで非常に重要なことだと思う。
しかし、虫の目で市井の人々の思想や行動、生き方に目を向けると、鳥の目では見えなかったものが見えてくる。例えばこの本では人種や身分を超えた人間の尊厳をかけた闘い。宗教あるいは信念に基づいてどう生きるか。…うーん、ちょっと大げさかもしれない。もっとシンプルに考えて、困っている隣人に手を差し伸べることができるか、黙って見て見ぬふりをするか。あるいは進んで悪に加担、迎合するか。
僕は作中どの人物になりえただろうか。弁護士カウフマンは自身の立場を利用し、堂々と、それでいて慎重かつ巧妙に闘いを挑み、大勢の人々を救った。そこまでの勇気や能力はないけど、弱者を目の前にしたとき、彼を救うための確かな行動を起こせる人物でありたいと思う。
Posted by ブクログ
ナチス政権下で1941年10月にユダヤ人の強制連行が始まると、一部のユダヤ人は収容所移送を逃れるため地下に潜伏した。その数はドイツ全土で1万人から1万2千人といわれ、約半数に近い5千人が生きて終戦を迎えたという。ゲシュタボが監視の目を光らせる中で、それが可能だったのは、彼らのために隠れ場所や食物、衣類を提供し、身分証明書を偽造し、あらゆる非合法手段を講じて匿った救援者がいたからこそだった。
こうした行動に関与したドイツ市民は少なくとも2万人いたと考えられている。
本書では、この「沈黙の勇者たち」に焦点を当て、救援活動の実態、善意と身に迫る危険との葛藤を、多数の当事者の証言や手記、聞き取りから生々しく描く。ドキュメンタリーとして、また、スリリングな再現ドラマの形で、強く胸を打つ場面が満載されている。伝わってくるのは、相互不信が極限にまでおし進められる中、「他者を信じる」ということひとつを頼りに命をつなごうと人間同士が連帯する崇高な姿である。
本書には、数多くのユダヤ人潜伏者とドイツ人救護者が登場するが、特に印象に残った人物について記しておく。
〈ユダヤ人潜伏者〉
・クラカウアー夫妻
1943年1月から2年3か月にわたり、移動総距離2千キロ以上の潜伏生活を続けた。その間、60軒以上の家に匿われ、夫婦に手を貸した救援者は延べ200人を超えた。
〈ドイツ人救援者〉
・フランツ・カウフマン
貴族階級出身のドイツ人妻を持つユダヤ人弁護士。1942年夏から身分証明書の偽造を開始し大量の偽造身分証を流通させる。活動の協力者は総勢400名を数え、国内最大級のユダヤ人救援ネットワークを構成した。だが、信頼していた協力者の裏切りから1943年8月19日に逮捕され、1944年2月17日、強制収容所で射殺された。 全体を通して、最後に記しておきたいのは、「潜伏生活」がいかにエネルギーを要する行為であったかという点。幾つもの潜伏先をいかに確保するか、また、匿う側にとって周囲にいかに怪しまれず小さい子どもも含めた複数の人間を保護できるか
まさに命懸けでリスクに対処する日々の連続。それに耐えた双方の人々の精神力、信頼力、連帯力に感服するとともに、恵まれた暮らしをしている自分を戒め、人間としての高揚を目指す機会にしなければと痛感した。
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