うみべのストーブ 大白小蟹短編集
  • 完結

うみべのストーブ 大白小蟹短編集

880円 (税込)

4pt

俵 万智
「小蟹さんの澄んだ心の目。そのまなざしを借りて私たちは、忘れそうなほど小さくて、でもとても大切な何かを見つめなおす。たしかに降ってきたけれど、とっておけない雪のように。」

雪のように静か。冬の朝のように新鮮。
自分の気持ちに触れることができるのは、こんな時かもしれない。

[収録作品]
●「うみべのストーブ」
運命のように出会ったえっちゃんとスミオにも、ある日訪れた別れ。傷心のスミオを海に連れ出したのは、隣で彼を見守り続けていたストーブだった…。
「ふたりが…お互いに、好きだったこと 私はちゃんと覚えてる 何度だって思い出すよ」
連載時のカラーを再現し、2色刷で収録。

●「雪子の夏」
トラックドライバーの千夏が雪の日に出会った、雪女の雪子。夏のあいだは消えてしまうという雪子に夏を見せてあげたい。忘れられない夏の物語。
「誰もあたしのことを 思い出してくれなくなったら こんなぼんやりしたまま 永遠に消えちゃうの?」

●「きみが透明になる前に」
ある日事故で透明になってしまった夫。彼の姿が見えないことにほっとしている自分はもう、彼を愛していないのだろうか…。見えないものに触れる、夫婦の絆のかたち。
「ねえ泉 ありがとう 僕を見つけてくれて」

●「雪を抱く」
パートナーとの間の妊娠を知り、複雑な気持ちの若葉。大雪で家に帰れなくなったある日、偶然出会ったコウコと朝までの時間を過ごす。女性の身体をめぐる物語。
「わたしの身体が わたしひとりだけのものだったことなど 一度でもあっただろうか」

●「海の底から」
仕事で忙しい毎日を送る深谷桃は、かつてのように小説を書くことができない。いまの自分はまるで海の底から上を見上げているようで…。創作に向き合うことができないでいる生活者の苦悩の物語。
「悔しい 書かなくても幸せでいられるのが」

●「雪の街」
はなれていた親友の突然の死をきっかけに訪れた、昔住んでいた町。思い出のファミレスで出会った森田という男と、死んでしまったスーちゃんのことを思い出しながら、雪道を歩いていく。
夜の黒さと雪の白さは、彼らの弔いを静かに描き出す。
「鈴木さんがどこかで 元気でいてくれるといいなって ずっと思ってました」

●「たいせつなしごと」
単調な仕事に明け暮れる毎日のなかで、いつのまにか自分の心は動かなくなっていた。いつかどこかのゲートが開いて、別の世界へ行けたなら…。暮らしのなかにある光を見つける小さな物語。

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うみべのストーブ 大白小蟹短編集 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年03月26日

    ほんとうによかった。こんな漫画があったんだね。知らず知らずのうちに冷え切っていた心をゆっくり温めてくれる、優しさというか重みがあって、まさにストーブのような作品だった。特に「きみが透明になる前に」と「雪を抱く」が大好き。登場人物たちがみな、心に嘘をつかず、目を背けず、納得のいくまで自分と向き合ってい...続きを読む

    1

    Posted by ブクログ 2023年03月11日

    心が凹んでいれば空気が入り、冷え込んでいたら温めてくれ、行き先を見失っているのなら光が行き先を照らしてくれる、そんな本でした。素敵な本でした。

    1
    購入済み

    こんな感情を味わって

    2023年02月17日

    流されて流されて忙しくしている毎日に、ふと訪れて欲しいエピソードの数々。決して訪れはしないけど、読んで立ちどまる機会になればいいな。

    #エモい #癒やされる #切ない

    1

    Posted by ブクログ 2023年02月09日

    素晴らしい漫画でした!!

    この漫画、とにかく掴みがうまい!
    短編の最初の1ページで、どんな人なのか、どんな性格か、どんな境遇かが、なんとなく掴める。すごすぎる。

    漫画のストーリーも、包容力のある優しさで溢れていて、どの話も好きだった。
    優しくありたいな、と何回も思わされる

    1

    Posted by ブクログ 2023年01月13日

    読みたい読みたいと思っていたがなかなか手に入らなくてようやく読むことができた。どの話もどこか私たちの生活と地続きのところにあるような気がして、胸がじんわりあたたかくなった。

    1

    Posted by ブクログ 2022年12月17日

    寒さの中にいるのは前提で、
    凍えそうな時に手を差し伸べてくれる人とか
    言葉をくれる人とか、
    自分にあった環境に出会えた時、あったかいと感じるのかなあ。もしくは、あったかかったな〜って。
    きっと、そういう瞬間があるから極論人は死なないのかもしれないな。そう思える本でした

    1

    Posted by ブクログ 2022年12月14日

    良い。世知辛い日常で負った、本人も気づかない様な引っかき傷。それに寄り添う様な優しい言葉、そしてファンタジー。行き場のない悲しみが癒やされる。
    冬の、暖かくした部屋でのんびり読むのに最適。ホットミルクやホットココアを横に携えたい。

    1

    Posted by ブクログ 2024年04月12日

    なんて素敵な物語たちなのだろう。
    あたたかい気持ちになる短編集。
    物語とリンクした短歌にも心を奪われた。

    0

    Posted by ブクログ 2024年03月25日

    これは俺の経験から来てるんだけど、すごい奴っていうのはそいつに何か例えば才能みたいのがべたっとくっついているんんじゃなくて、何か欠けてる場合の方が多いんだ。

    p164こんなセリフをおもいだした。この話の完成度が飛び抜けてるきがする。

    正直この話以外はまあまあよかったくらいだった

    0

    Posted by ブクログ 2024年03月20日

    大切なことを思い出させてくれる物語でした。
    きづいているつもりで、きづいていなかった
    自分の大切にしたい気持ちが、
    そこにありました。
    ありがとうございました。

    0

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