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「わたしという女は、子しか産むことのできぬ女なのか」「ひとふりの刀の重さほども値しない男よ」……。男尊女卑の因習、家の規範、愛なき結婚、第二次世界大戦、70代での夫との訣別……薩摩士族の娘であるキヲは、明治から昭和にかけて世のならいに抗い、「独立」の心を捨てずに生きた。自らの母をモデルに、真の対話を求め続ける一人の女性を鮮烈に描いた名著。
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Posted by ブクログ
解説でも書かれている通り、決してうまい小説ではなく読みにくいけど、主人公の行動原理は生涯一貫しているので、ある意味でとても分かりやすい。 いわゆる家父長制にとことんまで抗う主人公だけど、その刀の切っ先は男だけでなく女にも向けられている、そんな小説。フェミニズムとか超越している。
強い女、剛い女、それが読後の第一印象。 薩摩士族、それも城下士族ではなく外城士族の娘として生まれたキヲ。西南戦争に西郷方として従軍した父により、厳しくキヲは躾けられた。 強い自意識を持って育ったキヲであったが、父の言いつけにより自らの意思を全く聞かれることなく結婚を決められてしまう。しかし、...続きを読む婚家との折り合いが悪く最初の結婚は短いうちに終わる。次の結婚は相手に望まれてのものではあったが、夫に甲斐性を見出せず、キヲは自ら田畑を耕し、行商をし、生計を立てていく。愛情のない夫婦生活ではあったが、次々の出産と子育てに彼女は追われる。キヲは、男尊女卑の因習、家の拘束、姑と嫁との諍いなど、多くの困難の中にあったが、安易に妥協することなく、自らの意思を押し通していく。己にも厳しいが、他人に対しても容赦しない。 そして自分がこれまで汗水たらして作り上げてきた家産を、何の相談もなく夫が子供夫婦に与えたことを知って、とうとう夫との離婚を決断する、ーひとふりの刀の重さほども値しない男よ。ーとの言葉を残して。それは70の齢のことであった。 ザイ(平民)に対する差別意識など現代の眼で見れば承服し難いところはあるが、明治から敗戦に至るあの時代に、これだけ強烈に自己の独立をかけて生き抜いた人がいたことに驚嘆。
明治〜昭和初期に鹿児島で男尊女卑にも負けず、自分の信念を通し生きた女性の物語。 主人公のキヲは幼い頃より『嫡男』のように厳しく育てられ、が、その一方ではあくまでも『女性』として『家』のために嫁がされる。 キヲの心の揺れ、悩み、そして決意。 とにかく、キヲの芯の通り方が半端ではありません。 読む...続きを読むたびに自分が強くなれる気がする^ ^
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