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横浜でTVレポーターの女性と、会社員の男性が殺された。事件を探る横浜テレビの藤本紅子と被害者の遺児、浜路智子。二つの事件の接点を求めて、名探偵(ルポライター)・浅見光彦は外人墓地を訪れたが、そこには……!? 横浜を舞台にした童謡「赤い靴」と「青い眼の人形」に隠された秘密! 山下公園、金沢八景……旧(ふる)くて新しい街・横浜でくりひろげられる美しいミステリー。
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Posted by ブクログ
3冊目となる浅見光彦。順番どおりに読みたいなぁと思いながらも色々な事情により飛び飛びになってしまっている。この本とは横浜で出会った。旅先でできれば何か本を買いたい。でも今回は予算的に難しいかと思っていたところに横浜の古本屋で偶然見つけた「横浜殺人事件」。今までで一番運命的な出会い方をした本だった。...続きを読む残念ながら横浜にいる間に読み終えることはできなかったが、ついさっき行ったことのある駅の名前がちらほらでてきて読んでいて楽しかった。こういうことがあるから旅先の古本屋って最高なんだ。 横浜で殺された2人の男女。浜路恵一は人形誘拐の片棒を気づかないうちにかつがされ口封じのために殺された。誘拐を企図した谷本と実行犯の小此木は時期をみて人形の持ち主をゆする気だった。しかし、小此木は「赤い靴を履いた女の子を知りませんか?」と聞かれ誘拐した人形を連想してしまい、疑心暗鬼になって山名めぐみを殺害してしまった。「赤い靴」と「青い目の少女」のイメージがだぶるというところを基点とし、それがただのイメージではなく意図されたものだという史実が明らかになる。どちらも同じ作者が同時期に発表しているからだ。ここらへんの知っていたらゾクッとするような知識を不可思議な殺人事件と合わせるところが上手だなぁと思う。ただ、何となくイメージがだぶるよね、ではなくその裏までしっかり伝えるのとで小此木の疑惑に説得力が生まれる。 結末はかなりビターエンドに近い。犯人にまでたどり着くものの犯人の方が一枚上手で浅見光彦らはまんまと出し抜かれてしまう。しかし、出し抜いた谷本、小此木をさらに出し抜いたのは中盤に疑われていた大迫だった。半端ないって。実行犯人小此木を殺し身の代金が返ってきたことで谷本の計画も泡沫と帰した。しかしその一方小此木が死んだことで殺人事件の立件も難しくなり真実は闇のなかに葬られてしまった。言ってしまえば今回の勝者は岡松物産ということになる。 この結末が許されるのは浅見光彦ならではなのかもしれない。解説にもあったが浅見光彦はどこまでも等身大でどっちつかずなカメレオンだ。決して話のわからない人間ではないが、真相究明については貪欲で、でもこれといった正義感もない。だから今回の結末であっても悔しいだろうけどそれで罰を受けたり救われた者がいるからこのままでいいかと溜飲を下げることができるのだろう。真実を闇に葬ったことでまた誰かが不幸になれば、そのときに浅見光彦は立ち上がるに違いない。 もう一つ。浅見光彦の推理法について。西之園萌絵に近いものなんだろうか。得られる事実が限られるからこそとんでもない推理まで何でもかんでも想像しておいてそこから方針を決める。科学捜査を否定しイマジネーションに頼る推理法と言えよう。こういった推理法になるのは時代背景も原因な気がする。当時は警察の捜査能力が科学捜査でぐんぐん上がってきて「無能な警察」を作りづらかったんじゃないだろうか。
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横浜殺人事件
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内田康夫
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