神社とは何か (講談社現代新書)
by 新谷尚紀
しかし、水田稲作を基本的な生業として定着させていった社会では、恵みの基本である水に対して、その水源への感謝と管理と祭祀、そして水利についての管理と維持などの技術は必要不可欠のものとなったと考えられる。それをよく示すのが、水田稲作を普及させ定着させた社会で誕生した「稲の王」の遺体を葬るための巨大な墳墓、すなわち古墳の築造と、それと密接に関連している水源祭祀と水利灌漑技術の持続的な活用であったと考えられる。磐座祭祀の早い例である三輪山遺跡の三輪山麓には数多くの古墳が築造されているが、それらはいずれも三輪山麓の水源祭祀と水利灌漑技術の持続的活用と不可分の関係にあったものと考えられる。