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Posted by ブクログ
落合氏自身が自分の老年期や老後などをどのように考え、見ているか、そしてどのように生きていく方針なのかという話が色々述べられているのかなと想像していたが、大分違う話だった。
哲学的な話に関してはとても面白い。
養老孟司氏との対談が冒頭にあるが、ほとんど対談になっていないような文章である。
「落合氏が質問をする→養老氏が一言程度返す(かなり言葉が少なく、本質的な回答になっていないことが多い)→落合氏が膨らまして解釈し後を続ける」というムードで対談が終わるため、養老氏の考えが全然引き出せておらず消化不良な印象が強い。
まぁ対談は導入である。
本編の方ではデジタルネイチャーを前提として、老いの概念や実際の介護状況、老いる環境がどのように変わっていて、今後どのように発展していくかの見通しが語られている。
現状様々なテクノロジーが導入されていて、実績は確かに着実に積み重なっていると思うが、私が2025年末現在までで見聞きする限り、テクノロジーの普及度合は不十分で、まだまだ途上という認識である。
そもそも周知のとおり、介護現場は極端に働き手がいない。
改善やツール導入の希望があっても、現場に奔走していて未来のことを考える余裕がない。今目の前の人のために走り回らないといけない。
またテクノロジー云々の前にそもそもPCを使いこなせる人が少ない。ヘルパーも経営者も平均年齢が如何せん高い。
介護業界の将来性が見えるのであれば若い人も来ようが、経済的に厳しすぎるこの世の中、収入が少ない仕事には流れにくい。だからこそロビイストが待たれるのだが、「誰かがやってくれないかな」みんながヒーローを待ち望んでいる状況である。
介護保険料の大半を払い出す国・自治体が中心にまず方向性を定め、また経営体力があり、またスケール大きく動ける大手事業者がまず動かないと、普及はまず進まないだろう。
AIの急激な進展を踏まえると、本書後半で述べられている希望、「地産地消」や「テクノ民芸」というのは遅かれ早かれやって来るものだと思うが、介護においては猶更「安全性」が求められる点がやはりボトルネックになって進展を妨げるだろう。
エレベーターのドアやボタンを人感センサーや音声認識で操作することなど容易いはずだが、安全性への懸念と、導入コストのせいで未だ全く進んでいない。
そう考えると、音声でベッドや昇降機の上げ下げを操作できるようになるのもまだまだ先だろう。
実際に各家庭を見てきた身としては、ウォッシュレットもない古い家屋や狭い階段で上がる他ない古い木造アパートに住む独居の老人・障害者は少なくなく、そうした人たちはよほどコストが安くない限りツールを導入しようとしない。出来ない。そもそも情報も入ってこない。
こうした現場へのトリクルダウンが起きるには圧倒的なコスト低減が必要で、その高すぎるハードルをどう下げるのが一番の課題だ。
生成AIが一気に普及したのは、何といっても非課金で使えるからだ。
実費支出が少なければ、AIでもロボットでもみんな使うと思う。それだけのマインドは既に備わっている。
そう考えると、経済状況が上向くか、テクノロジーの圧倒的コスト低下か、政府または企業による実装費用の肩代わりがあってようやく訪れる未来だろう。
Posted by ブクログ
落合さんと養老孟司さんの対談が読めるのが貴重。印象に残ったのは人の手による「温もり」を感じる介護が必ずしも必要だろうかという問いかけ。70が近い母も他人に下の世話をされるようになる前に逝けたらいいんだけどと話すことがあるが、確かに人ではなくかえって機械に助けてもらったほうが気楽だということは介護のなかにはあると感じた。
氏の本を読むのは初めてだったが、老いだけでなく身体障害など健常者とおなじようにできないというマイナスイメージをテクノロジーによって克服してきた事例が多く紹介されていた。
介護職の悪いイメージ(汚い、きつい、危険の3K)も技術の進化で払拭していける、年を取って思うように動けなくなっても豊かに生きていくことは可能である。という未来への希望を感じさせてくれる本だった。
耳慣れないテクノロジー技術の紹介が続き、読んでいて少し疲れたことから星3とした。
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