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上野駅地階の食堂で、眼鏡の男が隣の客の古トランクをすり替える現場を目撃した加賀美は、男を尾行して空襲の焼跡と闇市が混在する街へ。男の奇妙な行動に隠された動機とは……「怪奇を抱く壁」。暗闇の中、被害者は如何にして射殺されたのか。地方出張中に遭遇した事件「霊魂の足」ほか、昭和21年、敗戦直後の混乱した世相を背景に発生した事件を、冷徹な観察と推理で解決していく加賀美敬介警視庁捜査一課長の活躍を描き、戦後探偵小説の幕開けを飾ったシリーズ全短篇を集成。関連エッセー二篇を併録。/【目次】緑亭の首吊男/怪奇を抱く壁/霊魂の足/Yの悲劇/髭を描く鬼/黄髪の女/五人の子供/【エッセイ】加賀美の帰国/「怪奇を抱く壁」について/解題/解説/末國善己
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年07月15日
加賀美捜査一課長全短編を収録。
国書刊行会『奇蹟のボレロ』から表題作だけ抜かしたのと同じ構成で、収録作はエッセイ以外すでに全部読んでいたので、久々の再読ということになるが、やはり素晴らしい。
冒頭の謎から惹きつけられる「怪奇を抱く壁」がベストだが、いま読むと「五人の子供」などもかなり泣けて、敗戦直後...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月17日
名こそ知っていたが、初めて読む角田喜久雄のミステリー、というよりも探偵小説と言った方が相応しいか。
本書は、警視庁捜査第一課長・加賀美敬介が登場する全短篇を一冊にまとめたものである。
シムノンのメグレをモデルにしたとのこと、そう言われると、確かに雰囲気が感じられる。市井の人々に向ける視線であ...続きを読む
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