インドビジネス ラストワンマイル戦略 ＳＤＧｓ実現は農村から

松本勝男

取り残された人々に成長の鍵がある。

インドの成長力が脚光を浴びていますが、人口の約 7 割、9億人以上は未だ農村に暮らしており、行政サービスや民間企業の活動から取り残されています。この取り残された農村にこそビジネスチャンスが眠っているのです。大手民間企業に加え、農村が抱える社会課題に焦点を当てた社会的企業や NPO が、創意工夫を凝らして持続的なビジネスの実現に挑んでいます。本書は、これまで日本では伝えられてこなかった農村ビジネスの実態やラストワンマイルの克服方法、また、困難を乗り越えた起業家らの活動をインタビューや写真で活写。インド進出を目指す中小も含めた日本企業にとって、SDGs 達成にも貢献する新たなビジネス構築に大きなヒントを与えます。
筆者は2021年8月末までJICAインド事務所長として都会から農村まで現場を歩き回り、本書ではその最新の成果をもとに記述しています。日本企業目線で解説しており、情報性の高い内容となっています。

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: ビジネス・経済 / 経営・企業
• 出版社: 日経BP
• 掲載誌・レーベル: 日本経済新聞出版
• ページ数: 344ページ
• 電子版発売日: 2021年09月15日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 25MB

[ブクログ · ★★★★☆]

インドという国をざっくり理解するうえで役に立った。ラストワンマイル戦略の対象が主に社会的弱者に限られるため、自分が日頃インドの富裕層を相手に仕事をしていることもあってか、学ぶことが多かった。特に「トイレをたくさん置けば衛生観念が良くなるだろう」に潜む大きな罠とか、インド特有の要因による施策の失敗について触れられていたりとか、単なる特殊事例の羅列に止まらない奥行きを感じる。

当たり前だけどインドのカテゴリーって途上国なのね。空港と大都市の事務所と外資系ホテルばっかり行き来してんだからそりゃこんなコメント出るのも無理ないけど、現地の代理店行った時はいい意味で衝撃だったわ。ムンバイの都心部を車で走ってみたときに先進国か途上国かで聞かれたらすげえ悩むと思う。ただ間違いなく人はいるし勢いもある。日本の過程と違うのは、その人口が鉄とか繊維とか車とかの製造業に傾いていかないところなんだよな。これはまぁ世界情勢とも関わるところだし地理的にも広大だし、宗教上の問題もからしても仕方ないんだけど。

あと地域のカースト制度が日本の部落制度と構図がそっくりすぎてびっくりした。政治にも影響を及ぼすのは当然としても、その差別が消えない理由が悉くおんなじ。日本はそりゃ確実に薄まってるけど宗教起因ともなるとその傷跡はなかなか消えなさそう。

それにしても、中国と比べてしまうとインド関連の書籍って本当に少ないのね。これから増えていくのかもしれないけど、今の自分の活動が相対的に将来的に市場価値があるものになると信じて仕事をしていこうと思いました。