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手の中に握ったブリキ缶が、からころと音を立てた。
私は、あの日からこれを開けていない。
まだあの夏の思い出が、ここに詰まっているような気がして──ずっと、手放せずにいた。
「懐かしいな……」
これは大切な宝物だ。それをなでるだけで、自然と昔を思い出し、笑みがこぼれる。
毎年夏が訪れると、どうしても思い出してしまうのだ。
遊び、笑い、共に過ごした日々を。
友達というものから逃げるように帰った田舎で、出会った少女との数々思い出を。
──まるで泡沫のような、数日間の話を。
※本作は黒崎香蓮の個人誌作品の電子書籍版となります。
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