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優しくて気品があって花が好きで、困っている人を見捨てない、そんなおとぎ話に出てくるようなお姫様になりたい、亡くなった母のようなお姫様に、いつか。子供のころからそう願い、幼いころには幼馴染から「だったら俺はそれにふさわしい立派な王子になる」と言われて、なぜか売り言葉に買い言葉からケンカ別れした記憶はあるが、今では、自分が本当はたいした人間ではないと思いながらもお姫様を演じ、学院で“東の花”と謳われるようになったリリアル。同時に、“田舎の花”と陰口をたたかれていることを知りながら、それでもお姫様を演じていないありのままの自分を受け入れてくれる、運命の人との出会いを考えたりもする。ある日、学院に王位継承権第1位のクレイン王子が編入してくるが、初対面のはずの場で「双子がいたりしないか」「似合わない真似はやめろ」などと罵倒され、リリアルは「あの王子に私がお姫様だって絶対に認めさせてあげるわ!」と闘志を燃やすのだった。一方、クレイン王子にはクレイン王子の事情があり…と始まる、タイトルからも一目瞭然の、意地っ張りな2人が譲れない一線の攻防戦を繰り広げるラブコメが本作です。素直になれない幼馴染の2人がすれ違う…なんて、どう考えてもおいしいじゃないですか! どちらが先に折れるのか、もしくは、どちらも折れないままに近づいていくのか。周りから「ヒューヒュー!」とはやし立てる気持ちでぜひ読んでいただきたいです。
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咄嗟に出る昔の名前
孤児院にクッキーを差し入れるリリアムさん。毎週末、来てくれていると院長のシスターが言うのを聞いても、やはりこの辺はしっかりしています。
王子という身分を隠すため、咄嗟にクートの名前を出して……この辺は上手いです。
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