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Posted by ブクログ
とても美しい小説だと思う。
〝物作り〟に置いても〝恋愛〟に置いても。
てつおとそのこ。
出会い恋に落ちる。ささやかでも幸せな結婚式。甘い新婚生活は、やがて煩わしさを伴いはじめ、別れる理由はないにしても気持ちはどうしようもなく外へと向かう。恋愛小説にはありきの…秘密、後ろめたさ、息苦しさ、疑い、虚しさ、絶望。
狂気にも思える〝物作り〟への執着。それは今の世界のひとつひとつが誰かの情熱によって作り出した物であると言うこと。
起承転結がはっきりとして、スラスラと読みやすい。ありふれたエピソードと言う人もいるだろう。だけど読めば読むほど色濃く深い。切ない。悔しい。儚い。と私は思う。
『僕』側からだけで描いているのに、園子の心の揺らぎも哀しみも我慢も同性として、もの凄く分かる。
人は結局、失う時にしか大切なものに気がつけないものなのかもしれない。
疑似恋愛を生業としながら、本物の愛に気が付いた僕。
最後のひと言で涙腺決壊。
今年の6冊目
2020.3.17
Posted by ブクログ
ラブドール職人の、妻との出会いから別れまで約10年にわたる結婚生活と、その後を描いた小説。
妻に出会ってすぐに夢中になった時期もあれば、結婚後間もなくして、妻への興味を無くし、家庭を顧みず他の女性に走る時期も描かれている。
クズ男としてトコトン情けない主人公なのだが、夫婦の形を取り戻していく様子や、妻に先立たれた後、狂ったように仕事に打ち込む姿は、クリエイターとしての爆発力と推進力を感じた。
そして、悩みを孤独に抱え、自分に興味を失った夫を待ち続ける妻が美しすぎる。冒頭の一文で、読者は妻の運命を知ることになるのだが、美しく薄幸なイメージを抱いたまま読んでしまった。でも、このような夫婦の修復というか、後悔の無い終わり方もあることに感動した。後悔して亡くなった登場人物もいたので、対照的である。
主人公が最後の海岸で回想にふけるシーンは、寂しくも圧巻のエンディングであった。奥さんへの償いという意味も含めて、その爆発力と才能を、夫婦が生きた証である、究極のドール作りに捧げてほしいと思う。
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