あらすじ
恋は地獄、恋は人を殺す。「恋したい」なんて、もう言えない。女が本当に知りたい「性」と「生」。--藤田香織(書評家)風俗嬢に堕ちた教え子と潔癖な教師が逢瀬を重ね、“魔所”といわれる古寺を訪れる「鳴神」、再会した幼馴染みとのセックスに籠絡され、夫殺しに荷担する不倫男の末路「恋塚」。性と愛の地獄に嵌まり、時には生死を顧みぬ男女の業を、団鬼六賞作家が生々しくも艶やかに描く傑作六編。
「恋したい」なんて、もう言えない。恋は地獄、恋は人を殺す。
女が本当に知りたい「性」と「生」。--藤田香織(書評家)
醜悪で滑稽な恋をする者たちを嗤う連中の腹の中は、恋に狂う人間たちへの羨望で満ちている。恋で死ぬ―これほど我儘な幸福を味わえることはないのだ。--花房観音
風俗嬢に堕ちた教え子と潔癖な教師が逢瀬を重ね、京都の“魔所”といわれる古寺を訪れる「鳴神」、再会した幼馴染みとのセックスに籠絡され、夫殺しに荷担する不倫男の末路を描く「恋塚」。性と愛の地獄に嵌まり、時には生死を顧みぬ男女の業を、団鬼六賞作家が生々しくも艶やかに描く傑作六編。
感情タグBEST3
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花房観音『恋塚』講談社文庫。
まるで人間の本質を描いたかのような一筋縄ではいかない官能短編集。『鳴神』『恋塚』『菊花』『蛇女』『枕本』『懸想文』の6編を収録。いずれの短編も、愛慾に溺れ、踏み入れてはいけない場所へと堕ちていく男女の姿が描かれる。
面白いが、怖い世界だ。
Posted by ブクログ
性にまつわる短編集。いずれも京都にあるお寺と、そこに関係する物語を連想させる形式。
セックスの描写は結構きつめ。でも、男性が描く性欲中心のものとは異なり、感情がうごめいている感じがする。エロいんだけどどこか切なくて、どこか愛に溢れてる。
男と女は違うなんてことは考えず、世の男はこの本を読んで、女性の欲望と情について触れるべきだろう。
Posted by ブクログ
六話からなる短編集。最後の「懸想文」は花房作品では異例のセックスをしない男女の話。「性」だけではなく「生」が描かれていて、一番心に響いた。藤田香織さんの解説にも共感。花房作品を読んでいて、いつも感じていた事。女友達とは軽い物は別として、性に関して踏み込んで、自分の経験を赤裸々に語り合ったりはしない。でも、『疑問や不満や欲望、打算や計算や駆け引き、どこまでをどんなふうに誰とするのか、できるのか。それは普通のことなのか、当たり前のことなのか。花房作品には、そんな「本当に知りたいこと」が、いつも描かれている。』