あらすじ
36歳の和香奈は会社社長の夫を膵臓癌で亡くした。四十九日の翌日、夫が生前に準備した贈り物が届いた。驚くほど精巧な大人の玩具。和香奈はすぐに淫具の虜になる。1週間後、夫が会社を託した伊豆見が線香を上げにきた。男盛りの47歳。伊豆見の辞去に淋しさを感じた。その晩、第二の贈り物が届く……。美しき未亡人の愛と性、傑作小説。
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甘美にしっとりと、そして・・・
藍川作品の代表的なシチュエーションのひとつである未亡人もの。夫との死別したヒロインのもとに郵送物があった。それは性玩具、いわゆるおとなのオモチャ。これだけをレビューに書くと滑稽な展開しか想像できないが、読むとコメディにあらず、しっとりと甘美で退廃的なメロドラマとなる。お笑い的な状況を見事にシリアスにストーリーに転化させ、読者の気持ちをかき立てるところに他の凡百の書き手と違う著者の力量を見る。ネタバレ回避でこれ以上内容に触れないが、性愛小説であるが同時に女性が美しい。容姿のことではない。ためらいながらも新しい世界に踏み込んでいく女が頗る魅力的に描かれていて、かつ万々歳ではないものの決してバッドエンドではない結末に、非常にすっきりした読後感となる。そして、愛読者にとって、終盤で嬉しいサプライズが待っている。氏のデビュー作『華宴』のヒロインと同一人物まちがいなしと思われる名前が登場します(詳細は読んでのお楽しみ)。当ブックライブの作品内容紹介に目を通して大いに興味をそそられていたが、読了して、期待を裏切らない出来に満足した。お薦めですヨ、この作品。