あらすじ
絵を学ぶためドイツ留学していた君塚瑠美は、両親の突然の自動車事故死で帰国し、26歳で全国展開するビアレストラン・チェーン「アンバー」の社長に就任。透ける肌、高貴な顔立ち、豊満な胸で瑠美は、62歳の副社長小島を翻弄、明晰な頭脳で事業を拡大、さらに財閥の御曹司兄弟を誘惑し、新事業のために若い男たちを次々に虜に……。長編官能小説。
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猛女、獅子奮迅だが
急死した親のリリーフで、飲食チェーン企業の経営に乗り出した若い女性社長が主人公。読み始める前のイメージは男勝りの主人公が次々と異性を征服していくというものであったが、ちょっと予想とちがった。パワフルな女性にはちがいないが、そのエネルギーは自社に就職志望の若い男のコたちを自分のオモチャにするこに向けられる、というスジ(男のコの調教シーンはもう少し抑えられなかったか)。かとおもうと70男のまるで従属的な副社長の局部表現があったりと、特に後半は主人公と不釣り合いな世代との絡みが目につき、正直気分が萎えた。壮年の男との逢瀬もあり、また主人公の友人の美女も登場してある程度見せ場をつくるものの、主人公のキャラクターの作り込みもあと一歩(具体的には、気の強いところは伝わってくるものの、単にそれだけで、性格の細かい部分は読んでいてハッキリしない)で、主人公と対照的に作品は全体的にパワー不足。藍川作品は他の作家に比べても名作が多いと思うだけに、余計に不完全燃焼感が強かった。