【感想・ネタバレ】緋色の刻のレビュー

あらすじ

大学准教授夫人の綾崎乃梨子には秘密があった。この三年間、二十六歳年上の陶芸家と逢瀬を重ね、至福の性に酔っていた。娘の家庭教師を務める大学生・悠斗がひそかに乃梨子に心を寄せ、外出時に尾行されていることなど知るよしもなかった。

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よく練れている

(2024/9/16更新)女盛りのヒロインと高齢の男のロマンス。藍川作品の定番シチュエーションのひとつであるが、本作はまずヒロインのキャラクターが確立されており、当人の嗜好や行動が正しくその設定に沿ったものであるためブレがなく、格調を高くしている。一児の母でもあるヒロインは聡明でしっかりした性格。言動も上品であり、彼女の揺れ動く内面、細やかな人間関係が丁寧に紡がれ、それとプレイとのギャップに読者はそそられる。筋立てもよく練られていて、荒唐無稽な展開に飛ぶことなく、あくまで現実世界の延長のような物語はこびで、これも読者にとって安心して読める材料である。欲を言えば、ヒロインを魅力的に引き立てるための男があまりに年上で、ハッキリ云ってパワー不足。作品の活力まで殺がれてしまうようで、性愛小説に求められる、読み手の気分を腹の底から盛り上げるような勢いに欠ける。但し、トータルではこれぞ藍川作品、というクオリティが担保されている。以上勘案して星は4つとする。雅な藍川作品の文章をじっくり味わうことができるため、一読をお勧めする。

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2024年09月16日

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