カフェオレ・ライターのBLナナメ斬り

カフェオレ・ライター×電子書籍ストア BookLive! コラボ企画!
レビューサイト「カフェオレ・ライター」で鋭いレビューを展開中のライター・マルコさんに、BookLive!で人気のBL作品をナナメ斬りしていただきました。

レビュアーマルコ(カフェオレ・ライター)

マルコ(カフェオレ・ライター)

フリーライター・コラムニスト。運営するレビューサイト「カフェオレ・ライター」にてBL、漫画、ゲームなどの話題を中心に、鋭いレビューを展開している。『このBLがやばい!』(宙出版)の創刊号から、渾身のBL帯辛口レビューを連載中。BL帯の壮大なる魅力にいち早く気づき、BL帯評論家としての地位を確立した。

今回のレビュー作品

カフェオレ・ライターのBLナナメ斬り!!

    • キレパパ。

      キレパパ。

      完結

      とびっきりキレイなパパの千里は、一人息子の里樹が可愛くて仕方ない。そんな千里にとって、里樹の親友・俊介は目障りな天敵!!でも、そんな俊介の好きな人が気になりだして…!?

      マルコ's Review


      タイトルだけ見て一瞬「キレるパパ」のことかと思い、なんという怖い話だ……! と怯えながらページをめくったのですが、実際は「キレイなパパ」、すなわち30代なのにものすごく若く見える超美形パパのことだったので胸をなで下ろしました。そんな超美形パパは一人息子の里樹がかわいくて仕方なく、里樹を狙う同級生たち(♂)を毎日のようにあの手この手で追い払っています。……そういう意味では「(息子を狙う悪い虫に)キレるパパ」といってもいいのかもしれませんけども。

      なお、爽やかな笑顔で手作りケーキ(下剤入り)を振る舞いながら、心の中で「まったく追い払っても追い払っても次から次へと湧きやがって…このうじ虫どもめが…!!!」とキレまくる冒頭のシーンは必見です。

    • われら宝裸コーポレーション

      われら宝裸コーポレーション

      完結

      業界きっての大手アダルト玩具メーカ「バイブの宝裸」の新開発商品情報が盗まれた!!究極のバイブ製作に命を懸ける企業戦士・岡島と藤島がライバル会社の倉庫へ乗り込み・・・・岡島と藤島の2人の愛と冒険がここに集結!!

      マルコ's Review


      ページをめくって、いきなり目に飛び込んでくる「これが宝裸本社ビルだ!」の文字と、そびえ立つ巨大なバイブにまずは度肝を抜かれます。いくら業界きってのアダルト玩具メーカー「バイブの宝裸(たからら)」だからって、何も本社ビルまでバイブ型にしなくても。……とまぁ、そんなことを冷静に言ってられるのも最初だけ。すべてのページにツッコミどころが用意されており、どんな達人でも拾いきれなくなります

      第一話は、ライバル会社に新商品の情報が流出してしまい、それを主人公の藤島と岡崎先輩の二人で調査する――というストーリー。

      個人的に大好きなのは、ライバル会社の倉庫に潜入する際、岡崎が勘でパスコードを「8122626(バイブブルブル)」と打ち込んだら本当に開いた場面と、倉庫内にある新商品が宝裸のパクリであることを確かめるために実際に自分の尻で試してみる場面と、その後、倉庫をバイブ爆弾で爆破する場面ですね。……というか、爆弾は別にバイブ型にする必要ないのでは……。

      他にもお互いの形をかたどって作った世界に二本とないバイブを交換し合い、藤島が「婚約棒(エンゲージスティック)みたいだ」と感激するシーンや、岡崎がライバル会社に乗り込んでライトバイブセーバーを振りかざすシーンも捨てがたいところです。

      ……ただまぁ、一番の驚きは、ここまで書いてきたツッコミどころが全部、30ページしかない第一話に詰め込まれているという恐るべき密度ですけどね!

    • 春を抱いていた

      春を抱いていた

      完結

      岩城と香藤は人気AV男優。そんな2人にチャンスが訪れた。映画のオーディションに呼ばれたのだ。ところが「主役を決める為に、2人でSEXしていただきたい」と監督に言い渡され…!? 主役をかけたこのSEX勝負…絶対に負けられない!! メガヒット作品、電子書籍で登場! (本作品は電子書籍化にあたり再編集したもので紙書籍と一部内容が異なります。)

      マルコ's Review


      人気AV男優の二人、岩城と香藤が主人公という時点で面白そうだなと思っていたのですが、冒頭の映画のオーディションで、いきなり監督から「主役を決めるために、お二人でSEXしていただきたい」と言われる場面が衝撃的すぎて「これは紹介しなければ!」と奮起してしまいました。「いただきたい」とかそんな軽いノリで言われても!

      一応これにはわけがあって、映画の主役が「男にはしる2人のAV男優」なのです。……まぁ、だからってそれがオーディションで実演させられる理由になるかというと、そんなことはないと思いますけど。芸能界って怖いなと思いました。

      ちなみに本作にはスピンオフ作品も収録されているのですが、こちらは若干ストーカーチックな青年が俳優に恋焦がれ、最終的に記者に転職して合法的に追いかける道を選ぶという別の意味で怖い話となっています。

    • 少年よ、大志とか色々抱け

      少年よ、大志とか色々抱け

      完結
      永井三郎
      BLマンガ
      全1巻

      「鬱陶しい」「寄るな豚!!」ムサ苦しい男子寮に舞い降りた女神・カズマに殴られ罵られても、マサジは今日もめげずにアタック★ だって仲良くなりたいんだもん。努力の甲斐あってか(?)、カズマのツンツンオーラ半減、甘酸っぱいこの雰囲気はもしかして…!? 超健康優良児と超ツンデレ美青年&愉快な仲間たちが色々かます青春ラブコメ★

      マルコ's Review


      完全にタイトル勝ちですよね。ずるいですもん。こんなの絶対気になるに決まってるじゃないですか。……が、しかし本作のすごいところは、中身がタイトル負けしていないということ。びっくりしましたよ、風鈴の音も涼やかな夏の夜、穏やかな気持ちでページをめくったら、いきなり「昨日せんずりこいてそのまま寝ちった☆」とか「あっマサジのパンツもカピカピ~~~!!」とかですからね。そのときの僕の顔、解脱しかけたところで繁華街のど真ん中に連れて行かれた坊さんみたいな表情になっていたと思う。

      物語の舞台となるのは地方の公立高校の男子寮。2年生が生活する第2男子寮に、海外から超イケメン帰国子女のカズマがやってきたところからスタートします。後光すら差すほどのイケメンオーラをまとったカズマですが、何かと世話を焼いてくるマサジに対して一言。

      「鬱陶しい」

      ……そうなんです、カズマ、超性格の悪いヤツだったんです。しかし、めげないマサジはその後も何かとカズマにちょっかいを出しては「この薄汚い豚め」「この赤点汗クサ野郎」などと罵倒されまくり。そんな二人がどんな感じで惹かれ合っていくのかが一応メインストーリーなわけですけど、なにせ本作の95%くらいはギャグ成分でできているので、あまり堅苦しいことを考えずに読むといいと思います。

    • 男たちの愛島

      男たちの愛島

      完結
      九州男児
      BLマンガ
      全1巻

      就職活動中にうっかり遭難してしまった高野ツバメが流れ着いた先は…。なんと!! 同じように遭難したリーマンたちが暮らす孤島だった!! 『欲望』のみに忠実に生きる男たちと、あやしげなルールの中で、高野は貞操を守り通せるのか? スーツ族や半裸族、さらには孤高の種馬や謎の海洋生物など曲者がわんさか登場☆ 爆笑必至の、濃縮メンズ・サバイバルワールドへようこそ~~~★

      マルコ's Review


      まず「愛島」と書いて「アイランド」と読ませるその発想力に感心させられますが、ストーリーの方はさらにぶっ飛んでいて尊敬の念すら抱いてしまいました。どんなお話かというと、就職活動中にうっかり遭難してしまった高野ツバメは、同じように遭難したサラリーマンたちが暮らす孤島に流れ着きます。そこは、一年中気候が穏やかで、果実や海の幸がたやすく手に入るため、特に働かなくても生きていけるパラダイス。

      そんな島で暮らすサラリーマンたちは、唯一の業務であるオフィスラブに命をかけて生活しています。そうなると、就職活動中のツバメとしては当然(?)、どこかの会社に入ることになるわけですが、この地で「会社に入る」ということは、そこの社員の下半身の世話をすることを意味するのでした。……どうですか、この世界観。何をどうやったらこんなお話を思いつくのですか九州男児先生。

      なお、中盤からは半裸族孤高の種馬(比喩的な意味ではなく本当に馬)、さらに甘美な幻を見せる毒を持った謎の海洋生物など、下半身の機能にばかり特化した生命体も続々登場、種族を超えた愛が育まれていきます。……もう何か、今抱えているすべての悩みがたいしたことないように思えてきて、これはもう究極のセラピー漫画だと思いました。

    • 苺王子

      苺王子

      完結

      とある星の王族ベリー家・第一王子クラムは、嫁探しに地球に来た。出現先は苺大福の中……。佐藤一(24歳・メガネ)がひと口食べた苺大福から飛び出たクラムは、一に指輪をハメて婚約宣言するが、よく見れば一は男!? 指輪をハズすためクラムの嫁探しをすることになり……やがて2人にある感情が芽生えて☆ 「苺弟王子」も収録。

      マルコ's Review


      「苺王子」というタイトルに、表紙に描かれたデカい苺の絵。そして恥ずかしそうな表情のサラリーマンっぽい男と、自信満々な顔で寄り添う王冠を付けた男。……これはもしや、苺擬人化!? 違う意味での果実!? 「お前の苺がもうこんなにもストロベリー……」みたいな話ですか!? と、すっかりイロモノ路線のつもりでページをめくってみたら、わりと正統派なラブコメでした。

      とはいえ、設定はそこそこぶっ飛んでいて、簡単に説明すると、宇宙人の王子が嫁探しをするため苺に変身して苺大福の中に潜んでいたところ、たまたま出会ったのが地球人の男だった……というお話です。

      そもそもなんで嫁探しを地球でするのかというと、苺王子ことクラムが住む星には「子孫の繁栄と文化の向上を目的とし、他惑星から伴侶を得ねばならないという掟がある」からなんですね。あれっ、でもそうなると、文化の向上はともかく子孫の繁栄は難しいのでは……。

      ……というような無粋な疑問も読んでみるとちゃんと解決されていたので、苺王子、侮りがたしでした。

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