作品一覧

  • あずかりっ子
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    『ほんのささやかなこと』著者が描く、ある少女のひと夏 赤ちゃんが生まれるまで、ひと夏の間、親戚の家に預けられた少女。怒らず優しく接してくれる親戚との生活は初めて知る愛に満ちていた。だがこの夏もやがて終わりの時が――映画「コット、はじまりの夏」原作。感情の深みを驚くほど静かに描き出す著者の代表作
  • ほんのささやかなこと
    4.3
    1巻2,420円 (税込)
    1985年、アイルランドの小さな町。寒さが厳しくなり石炭の販売に忙しいビル・ファーロングは、町が見て見ぬふりをしていた女子修道院の〝秘密″を目撃し――優しく静謐な文体で多くの読者に愛される現代アイルランド文学の旗手が贈る、史実に基づいた傑作中篇

ユーザーレビュー

  • ほんのささやかなこと

    Posted by ブクログ

    クレア・キーガンは「Walk the blue fields」と「Foster」は原書で読んでいて、読むのはこれが3作目ですが、これまで読んだ3作品の全てが本当に素晴らしい。

    丁寧な日常の描写の中にふと差し込まれる違和感と、主人公が自らの生い立ちを振り返って、後悔をしないための選択をするまで、彼の感情の流れを読みながら一緒に追体験できるような臨場感のある描写がすごく良かった。

    この先、彼には多くの困難が待っているはずだけど、それでもなお、その選択は「後悔しないための決断」というよりも、彼が彼である以上そうするしかなかったもののように感じられた。

    しかし、この出来事が1980年代だというの

    0
    2026年03月31日
  • ほんのささやかなこと

    Posted by ブクログ

    衝撃。1996年に施設が閉鎖されるまでこんな非人道的なことが国家規模で暗黙の了解でまかり通っていたなんて。2013年にようやく政府が公式謝罪したなんて。しかもこんな重大なことを記録に残すフィクションやノンフィクションがほぼ存在しないなんて。並行して読んでいるアトウッドの小説の世界とも完全にダブり、映画も現在上映中のようだからぜひみておこうと思う。犠牲になった女性たちの鎮魂のためにも。
    ある平凡で幸せな一家の穏やかで誠実な父親の勇気と正義が風穴を開けるがその後この一家はどうなるのか。彼自身も未婚の母親の子供だったにも関わらず母親の雇い主である気概のある女主人のおかげで悪の施設に行かされることもな

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    2026年03月28日
  • ほんのささやかなこと

    Posted by ブクログ

    早くも、2026年の小説のベスト候補となる小説に出会ってしまった。

    日本語に不自然なところが多く、英語版と並行して読んだが、伝統的なアイルランド小説の流れを汲むと思しい散文的というか、1人称に限りなく近い3人称で思索の流れを中心に読者が主人公の思考に没入して類推していくことを強いるような文体で、翻訳が難しいところもあったのかと思った。

    内容は、強い衝撃を受けた『ドイツ亭』を思い出さずにはいられない。社会的な事象を、一人の人間のあり方として具体化して示すことで胸がしめつけられるような思いを抱かせる。ラストも救うでもなく絶望させるでもなく、読者をただ複雑な現実に放り出す。ウイスキーをぐいっと飲

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    2026年03月20日
  • あずかりっ子

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読みはじめてすぐ、アイルランド版赤毛のアンみたいなお話なのかなと思った。全然違った。
    「水が染み出すマットレス」のあたりで、キンセラ夫妻が大好きになっていて、そのあとはずっと、
    主人公や夫妻に傷ついてほしくなくて、幸せになって欲しいという期待と不安でドキドキしていた。

    主人公はおじさんとおばさんと一緒に過ごして、愛されて、手をかけられる経験をして、二人を好きになって、二人の喪失と哀しみの片鱗に触れる。かと言って、両親や兄妹と離れたいわけでもないし、まだ幼い彼女には自分の居場所を自分で決めることはできない。
    最後のシーンの大泣きには、二人から離れる(自分自身の)寂しさだけじゃなくて、自分がいな

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    2026年02月28日
  • ほんのささやかなこと

    Posted by ブクログ

    静かな物語です。
    けれど静かな中に、作者の強い思いが伝わってきます。ほんの少し前まで実際にあった「マグダレン洗濯所」をモデルにして、その非人道的な活動、実態を皆んなに知ってもらおうと小説のかたちで書かれたもの。
    カトリック教会とアイルランド政府が、手を結んで進めてきた社会の暗部に対し、主人公は自分たちの今の生活が、子供たちの将来も含めて厳しいものになるのをわかっていても、一人のキリスト教徒として見過ごせなかった。
    そのあたりの苦悩がよく伝わってきました。
    この作品に目を止めて、翻訳してくださった鴻巣さんに感謝します。
    ささやかな小説ですが、たくさんのものが詰まった本でした。良かったです。

    0
    2026年02月16日

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