通底しているのはハウツーではなく精神論。著者の成功譚なのだが、眉唾感も紛紛として漂う。よくよく目を通せば小金持ちと言うにはいかにもケチケチ。生活は決して楽とは言えない。海外の生活に慣れることができれば、生活水準を極端に下げなくとも日本より安価に、そこそこ暮らせるというだけのもの。加えて著作された時期
...続きを読むと現在では為替水準がまるっきり異なる。6倍の価格差があるようにも書かれているが、少なくとも今は違う。贅沢をしなければ月3万円で暮らせるというが、相当の緊縮生活であり、安全・治安を考慮すればどうかとも思う。それでも、お金との距離感というフレーズだけは心に滞り残った。たくさん稼いでたくさん消費して満足感を得るというのは効率が悪いと言う。おっしゃるとおりである。であればわざわざ危険な海外に出ていく必要もない。人情味のある田舎で贅沢さえしなければ日本だって十分に生きていける。海外生活よりは、下山の時代、日本でいかに生き抜くかということを考えさせられた。