雑食といわれるヒトであるが、実は肉食動物である。
たんぱく質はアミノ酸で構成されるが、植物やバクテリア類は体を構成するたんぱく質に必要なアミノ酸20種類を自分で合成できるが、動物には自分で合成できないアミノ酸がある。いうところの必須アミノ酸である。
必須アミノ酸バランスをバランスよく摂取する方法とし
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1.肉食 自分と体タンパク質の構成が似ているものを食べるのが一番効率が良い
2.ウシのように反芻胃に嫌気性バクテリアを共生させアミノ酸を合成させる。この場合バクテリア自体も動物性タンパク質として摂取できる。いわゆる草食である。
3.体タンパク質の構成が異なる植物を大量に摂取し、余分なエネルギーを捨てる
2のバクテリアを利用して植物から効率よく必須アミノ酸を摂取できるのが草食動物だとするとヒトは肉食動物だというのが著者の提示である。
植物だけで栄養摂取をしようとすると、タンパク質のバランスが動物と異なる植物だけで必要栄養を摂取しようとすると構成が少ないアミノ酸を必要なだけまかなえる量の植物を摂取する必要がある。過食にならざるを得ないのである。ウマが走り回るのもハツカネズミが車輪の中をひたすら駆けるものあまった栄養を消費するためである。
本書では、ヒトを生き物として捕らえ、いかなる進化を持って生きながらえ繁栄してきたかを解き明かす。
ヒトは何を食べる?/ 裸である理由/なぜ群れるのか/何歳まで生きるか/ 何年哺乳すればいい?/ヒトにとっての哺乳ビンとは?/ ヒトは不老長寿か/
一夫一婦制をとった理由も食物の摂取戦略によるものである、哺乳瓶により授乳期間が減ったことによる人口の増加、生殖年齢を超えた個体の存在がもたらすも等等生物としてヒトを考えることで見えてくる人類の営みを興味深く読むことができる良書である。