作品一覧

  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻946円 (税込)
    二〇〇五年から始まった日本の人口減少。一〇〇年後には半減と予測されている。北・西ヨーロッパに端を発し、いまや世界人口の半分を覆った少子化は、なぜ進むのか――。急激な人口減少が社会問題化するなか、急速に脚光を浴びる人口学だが、戦前の国策に与したと見られ、近年まで疎んじられてきた。本書は、人口学の入門書として、人口の基礎的な考え方、理論、研究の最前線、少子化のメカニズムなどを平易に解説する。

ユーザーレビュー

  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    Posted by ブクログ

    マイファースト人口学。
    人口の動向についての数値の裏に深い思索があることが理解できた。また、やたらに不安感を煽ることなく人口について書き連ねる著者の態度は素晴らしい。

    0
    2017年08月26日
  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    Posted by ブクログ

     日本の人口はついに減少に転じた。少子高齢化も問題である。出生率や平均寿命についてはよく聞くが,正確に理解している人は多くない。戦前とくらべ平均寿命が三十年以上も延びてるから今の老人は格段に長生きになった,というような誤解,今の中年は不摂生してるから平均寿命は今後どんどん短くなるというような俗説がある。知られざる学問である人口学について,一般に理解を広める啓蒙的な一冊。読んでいて目から鱗であった。ちなみに平均寿命の伸長は,幼児死亡率と,結核による青年死亡率の急減に負うところが大。大正期の日本人は三人に二人しか成人できなかった。
     人口変動の原因は,出生・死亡・移動である,という誰でもわかる大原則から説きおこされる。このうち移動は特殊なので,本書では触れない。扱う範囲は,出生・死亡という生物的現象と人口の関係である。単純な話のようだが,これがなかなか奥が深くてびっくりする。まず人口学の基礎について述べ,それを土台に,社会学的・生物学的見地もまじえて現在の人口動静を分析する。以下,人口学基礎の一端を紹介したい。
     統計の魔術で,人口にまつわる逆説めいた現象がたくさんある。例えば,先進国は後進国より人口あたりの死亡率が高くなることが多い。理由はちょっと考えればすぐ理解できる。後進国では出生率が高く子供が多いが,医療の普及により幼児死亡率は改善しつつある。一方先進国は出生率が低く,高齢化により全人口に占める高齢者の割合が高くなり,死亡率が高くなってしまうのだ。また,A州はB州より死亡率が高いのに,人種別で見ると,A州はB州より白人の死亡率,黒人の死亡率,いずれも低い,ということも成り立つ。なぜかは皆さんちょっと考えてみて下さい。
     このように,年齢や性別等の属性毎の人口比率が異なると単純に比較をすることはできない。そこで,標準化をすることになる。人口構造に応じて標準化された指標としてもっとも有名なのが平均寿命。次が合計特殊出生率だ。
     平均寿命は,出生時の平均余命,つまり,今産まれた新生児が平均何年生きられるかだ,といわれる。しかし,個々人の出生死亡を追跡調査して割り出した数字ではもちろんない。いったいどうして計算するのか?それは,例えば最近一年間の各年齢毎の死亡率のデータを得て,そこから芋づる式に算出するのである。つまり,現在の各年齢層の死亡率と同じ死亡率を,あたかも今年産まれた人間が今後一生かかって経験すると考えて,無理矢理出した値なのだ。平均余命も同様。百年もたてば,我々の世代が平均して何年生きたのかは,統計上明らかになること確実だが,それでは意味がない。今議論をするために,このようにして数字をひねり出すのだ。
     合計特殊出生率は,どのくらい出生があるかをあらわす標準化された指標。単純に年間の出生数を人口で割ったものは粗出生率といい,人口構成を全く反映していない。次に,十五歳から四十九歳の女性人口(いわば出産可能人口)を分母とした指標(総出生率)を考える。しかし,これでも不十分。年齢毎の人口構成が反映されないからである。そこで,十五から四十九,各年齢毎に出生率を出し,これを足しあげる。するとようやく女性一人が一生に産む子供の数に相当する合計特殊出生率が得られる。
     日本では人口を維持する(女性一人が平均して娘を一人産む)ために,合計特殊出生率が2.07必要である。何故2.0でないのか。これには二つの理由がある。一つは出生男女比が半々ではなく男が5%ほど多く産まれること,もう一つは合計特殊出生率では母となる人の死亡率を考慮に入れていないからである。ただ,ここまで考えてもまだ充分ではなく,平均寿命と同様,世代間の出産行動格差は反映されない。晩婚化の昨今,合計特殊出生率は実質より低く出ることになる。反面,出産を終えた世代の多い今の日本の人口構造では,今突然合計特殊出生率が2.07に回復しても,しばらく人口は減りつづける。これを日本は負の人口モメンタムを持っているという。人口にも慣性があるらしい。
     前半の基礎編も充実しているが,後半の分析編もおもしろい。各地域・文化圏における,経済構造・社会状況・性規範・家族観,そしてその歴史的推移など,多面的視点から人口の未来が論じられている。人口学については全く知らなかったが,研究も盛んでなかなかしっかりした学問のようだ。国策,いや世界政策の根本だから当然かな。はっきり述べられてはいなかったが,人口爆発について学界の大勢は楽観的らしく(「開発は最良の避妊薬」),少し安心した。人口増→食糧難→戦争というマルサス的図式はもはや時代遅れか。
     ただこの図式で食糧をエネルギーに置き換えると,あるいはエネルギーと食糧は表裏一体・転換可能なこと(バイオエタノール等)を考えると,ほっとしてばかりはいられない。食糧消費は概ね人口に比例するがエネルギーは浪費も可能だし。

    0
    2011年10月26日
  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    二〇〇五年から始まった日本の人口減少。
    一〇〇年後には半減と予測されている。北・西ヨーロッパに端を発し、いまや世界人口の半分を覆った少子化は、なぜ進むのか―。
    急激な人口減少が社会問題化するなか、急速に脚光を浴びる人口学だが、戦前の国策に与したと見られ、近年まで疎んじられてきた。
    本書は、人口学の入門書として、人口の基礎的な考え方、理論、研究の最前線、少子化のメカニズムなどを平易に解説する。

    [ 目次 ]
    序章 人口問題―急増から激減へ
    第1章 人口学の基礎
    第2章 生命表とその応用
    第3章 少子化をめぐる人口学
    第4章 人口転換―「多産多死」から「少産少死」へ
    第5章 生殖力と出生率―生物的・行動的「近接要因」
    第6章 結婚の人口学―非婚・晩婚という日本的危機
    第7章 出生率低下と戦後社会―五つの社会経済的理論
    第8章 出生率の予測―可能性と限界
    第9章 将来の人口推計―未来をよむ人口学
    終章 人口減少社会は喜ばしいか

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

    0
    2011年03月28日
  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    Posted by ブクログ

    人口学の統計技術的な説明から、少子高齢化の各要因の分析、人口減少社会が望ましいことかどうかまで、幅広く紹介された良質の教科書。世界各国の統計資料から日本の人口動態・静態が比較・考察されており、欧米の都合のいい数字を持ってきたような政策論議とは一線を画している。個人的には、合理的選択モデルで少子化の要因を説明する経済学的説明が、洗練された説明として通っているとは寡聞にして知らなかった。

    0
    2009年10月04日
  • 人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    合計特殊出生率は、出産が可能とされる年齢の女性の軽金子供数。
    平均寿命が30年延びたのは乳幼児死亡率や20歳以前後の結核による死亡が減ったから。年寄りが30年長生きになったわけではない。

    70をパーセントで割ると、倍になる年数、半分になる年数が分かる。
    フランスは、普仏戦争で人口が少なかったため負けたという国民的強迫観念がある。1920年から出生促進政策をとっている。現在2.0になった、ドイツは1.3台。
    ヨーロッパの人口置換え水準は2.1人。

    少子化、高齢化、人口減少、にある関係。
    人口は出生、死亡、移動、の3要素で移動する。
    人口高齢者の定義は、さまざま。老年人口比率(65歳以上の老年人口の割合)=高齢化率。7%以上が高齢化。今は10%以上が実態を表している。

    高齢化の最大の要因は平均寿命の伸長ではない。年少者の死亡が減少すると平均寿命が延びる。その結果、人口ピラミッドは底辺が増えて若齢化する。高齢化の最大の要因は出生率の低下。
    粗死亡率は、人口構成によって変化する。=シンプソンのパラドックス。

    生命表は5歳ごとの死亡率から、定常人口ピラミッドがわかる。
    100人の母親から100人の女児が生まれるためには、205人必要。男児の方が多い。実際は子供の死亡もあるので2.07人が必要。合計特殊出生率をジュンサイ生産率で割った数字。

    開発は最良の避妊薬。
    人口転換では死亡率が低下する。出生率も低下した。
    子供の費用がかかる。
    経済が良くなっても悪くなっても出生率が低下する。
    近代化で、子供は老後の保障を安全にするものではなく、お金がかかるもの、になった。
    第2の人口転換論。
    適齢期の男女が結婚しなくなった。
    適齢期の男性は過剰。=女性の適齢期のほうが範囲が狭い。

    合理的選択の理論、相対的所得仮説、リスク回避論、価値観の変化と低出生率規範の伝播、じゃんだー間不平等論。
    東アジアの受験戦争。
    出生予測には社会経済的変数を入れられない。定式化できない。
    今すぐ人口置換え出生率になっても、すぐには人口は回復しない。元には戻らない。人口崩壊への道。
    超低出生率が当たり前となっている。日本は子供の希望数は2.4人だが、欧米では2人を切っている。

    0
    2023年07月17日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET