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二〇〇五年から始まった日本の人口減少。一〇〇年後には半減と予測されている。北・西ヨーロッパに端を発し、いまや世界人口の半分を覆った少子化は、なぜ進むのか――。急激な人口減少が社会問題化するなか、急速に脚光を浴びる人口学だが、戦前の国策に与したと見られ、近年まで疎んじられてきた。本書は、人口学の入門書として、人口の基礎的な考え方、理論、研究の最前線、少子化のメカニズムなどを平易に解説する。
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Posted by ブクログ
マイファースト人口学。 人口の動向についての数値の裏に深い思索があることが理解できた。また、やたらに不安感を煽ることなく人口について書き連ねる著者の態度は素晴らしい。
日本の人口はついに減少に転じた。少子高齢化も問題である。出生率や平均寿命についてはよく聞くが,正確に理解している人は多くない。戦前とくらべ平均寿命が三十年以上も延びてるから今の老人は格段に長生きになった,というような誤解,今の中年は不摂生してるから平均寿命は今後どんどん短くなるというような俗説があ...続きを読むる。知られざる学問である人口学について,一般に理解を広める啓蒙的な一冊。読んでいて目から鱗であった。ちなみに平均寿命の伸長は,幼児死亡率と,結核による青年死亡率の急減に負うところが大。大正期の日本人は三人に二人しか成人できなかった。 人口変動の原因は,出生・死亡・移動である,という誰でもわかる大原則から説きおこされる。このうち移動は特殊なので,本書では触れない。扱う範囲は,出生・死亡という生物的現象と人口の関係である。単純な話のようだが,これがなかなか奥が深くてびっくりする。まず人口学の基礎について述べ,それを土台に,社会学的・生物学的見地もまじえて現在の人口動静を分析する。以下,人口学基礎の一端を紹介したい。 統計の魔術で,人口にまつわる逆説めいた現象がたくさんある。例えば,先進国は後進国より人口あたりの死亡率が高くなることが多い。理由はちょっと考えればすぐ理解できる。後進国では出生率が高く子供が多いが,医療の普及により幼児死亡率は改善しつつある。一方先進国は出生率が低く,高齢化により全人口に占める高齢者の割合が高くなり,死亡率が高くなってしまうのだ。また,A州はB州より死亡率が高いのに,人種別で見ると,A州はB州より白人の死亡率,黒人の死亡率,いずれも低い,ということも成り立つ。なぜかは皆さんちょっと考えてみて下さい。 このように,年齢や性別等の属性毎の人口比率が異なると単純に比較をすることはできない。そこで,標準化をすることになる。人口構造に応じて標準化された指標としてもっとも有名なのが平均寿命。次が合計特殊出生率だ。 平均寿命は,出生時の平均余命,つまり,今産まれた新生児が平均何年生きられるかだ,といわれる。しかし,個々人の出生死亡を追跡調査して割り出した数字ではもちろんない。いったいどうして計算するのか?それは,例えば最近一年間の各年齢毎の死亡率のデータを得て,そこから芋づる式に算出するのである。つまり,現在の各年齢層の死亡率と同じ死亡率を,あたかも今年産まれた人間が今後一生かかって経験すると考えて,無理矢理出した値なのだ。平均余命も同様。百年もたてば,我々の世代が平均して何年生きたのかは,統計上明らかになること確実だが,それでは意味がない。今議論をするために,このようにして数字をひねり出すのだ。 合計特殊出生率は,どのくらい出生があるかをあらわす標準化された指標。単純に年間の出生数を人口で割ったものは粗出生率といい,人口構成を全く反映していない。次に,十五歳から四十九歳の女性人口(いわば出産可能人口)を分母とした指標(総出生率)を考える。しかし,これでも不十分。年齢毎の人口構成が反映されないからである。そこで,十五から四十九,各年齢毎に出生率を出し,これを足しあげる。するとようやく女性一人が一生に産む子供の数に相当する合計特殊出生率が得られる。 日本では人口を維持する(女性一人が平均して娘を一人産む)ために,合計特殊出生率が2.07必要である。何故2.0でないのか。これには二つの理由がある。一つは出生男女比が半々ではなく男が5%ほど多く産まれること,もう一つは合計特殊出生率では母となる人の死亡率を考慮に入れていないからである。ただ,ここまで考えてもまだ充分ではなく,平均寿命と同様,世代間の出産行動格差は反映されない。晩婚化の昨今,合計特殊出生率は実質より低く出ることになる。反面,出産を終えた世代の多い今の日本の人口構造では,今突然合計特殊出生率が2.07に回復しても,しばらく人口は減りつづける。これを日本は負の人口モメンタムを持っているという。人口にも慣性があるらしい。 前半の基礎編も充実しているが,後半の分析編もおもしろい。各地域・文化圏における,経済構造・社会状況・性規範・家族観,そしてその歴史的推移など,多面的視点から人口の未来が論じられている。人口学については全く知らなかったが,研究も盛んでなかなかしっかりした学問のようだ。国策,いや世界政策の根本だから当然かな。はっきり述べられてはいなかったが,人口爆発について学界の大勢は楽観的らしく(「開発は最良の避妊薬」),少し安心した。人口増→食糧難→戦争というマルサス的図式はもはや時代遅れか。 ただこの図式で食糧をエネルギーに置き換えると,あるいはエネルギーと食糧は表裏一体・転換可能なこと(バイオエタノール等)を考えると,ほっとしてばかりはいられない。食糧消費は概ね人口に比例するがエネルギーは浪費も可能だし。
人口学の統計技術的な説明から、少子高齢化の各要因の分析、人口減少社会が望ましいことかどうかまで、幅広く紹介された良質の教科書。世界各国の統計資料から日本の人口動態・静態が比較・考察されており、欧米の都合のいい数字を持ってきたような政策論議とは一線を画している。個人的には、合理的選択モデルで少子化の要...続きを読む因を説明する経済学的説明が、洗練された説明として通っているとは寡聞にして知らなかった。
平均余命や出生率の計算の仕方とともに、少子高齢化の原因や対策が人口学の観点から書いてある。 若いうちが妊娠しやすいとか、非婚晩婚が進んでるとか、まあ、当然書いてある。 あるんだけど、そもそも非婚晩婚少子化の要因はなんなの?という点について、世界的な比較や理論とともに、東アジアのジェンダーや男尊女卑、...続きを読む男性の長時間労働、働く女性への支援不足(子どもを持つことの「機会費用」が高い)など書かれていて、とてもまともな本。(偉そう…) 日本は1960年代から人口置き換え水準割ってたとか、フランスは1世紀、北欧も80年くらい家族政策をやってきてやっと出生率が上がっている、とか、ヨーロッパの出生率の1.5以上以下を区切るラインは経済的なものでなく、伝統的な家族制度やジェンダーのイデオロギーが残っているかどうかの文化的なもの、だとか。 「ドイツ語文化圏や南欧・東欧諸国と対比して、フランス、イギリス、ベネルクス、そして北欧諸国は伝統的に自由主義、個人主義、反権威主義そして反全体主義への志向が強い。女性や子どもに「やさしい」という特徴もある。このような文化的あるいは政治的次元を理解しなければ、フランス流の出生促進政策のいいところを形式的に取り入れても、出生率が2.0まで回復するかどうかはわからない。」P268 うむ。 少子化って、今この数年の20〜30代女性たちが生まないから起きてることじゃないんだよね。
人口学の入門書として、人口の基礎的な考え方、理論、研究の最前線、少子化のメカニズムなどを解説。 標準化や異質性といった概念など、難しくてよくわからない部分もあったが、全体的に、人口学、またそこから導かれる少子化のメカニズムについてわかりやすく論じられている。 第6章の「結婚の人口学」や終章の「人口減...続きを読む少社会は喜ばしいか」が特に興味深かった。 産後の不妊やハテライトという民族など、「へぇ」と思うようなトピックスも結構あった。 本書を読んだうえでの少子化への政策対応への含意としては、人々の価値観を政策でいじるのは基本的に難しいということ、育児費用の低減+保育施設の増強が基本的な政策的選択肢であることといったことが挙げられる。著者は、日本では非婚化・晩婚化が少子化の要因となっていると指摘しているが、国や自治体が婚活支援をする動きについては、行政の役割の観点から個人的には疑問がある。また、著者も指摘しているが、人口減少社会を前提に社会の制度設計をしていく必要があると感じた。 ただ、本書の内容については、ステレオタイプな「最近の若者論」に基づいて議論しているような部分があること、少子化の受験戦争原因説、個人の思想・信条に踏み込みかねないようなマスメディアの役割への期待など疑問に思う点もいくつかあった。
6冊目です。 本書は人口学への入門書として最適の良書です。近年日本は少子高齢化であると喧伝されていますが、その基礎となる 統計的知識が必ずしも広まっているわけではありません。たとえばメディアなどでは合計特殊出生率という値がよく 用いられますがそれがどのように算出されているかを分かっている人は少数で...続きを読むしょう(合計特殊出生率とは女性の 再生産年齢のそれぞれの年齢別出生率を合計したもの)。このように人口学の基礎的な知識となる生命表などの解説から始まり 人口転換論などよりマクロな視点への解説、そして日本における少子化の考察というような流れになっています。 とくに興味深いのが出生率低下と死亡率低下はなぜ起こるのか、どういった要因により発生するのかということに対する 解説です。一般的には子供が生まれると家計が圧迫されるというような経済的要因により起こると考えるのが妥当のような気がしますが、 実際はそれ以外にも文化的変化といったこと(核家族など)によっても出生率低下が起こるのです。ですがこれらは すべての国にあてはまることではありません。確かに東南アジアなどでは経済が発展したことにより出生率が低下したのですが ここでは核家族化といった文化的変容は見られません。ところが北欧などヨーロッパ圏に目を移すと確かに経済的要因に より起こったということがあてはまる場合もありますが、実際はキリスト教的世界観からの脱却によって発生したという ことも重要な要因らしいのです。したがってすべての国に当てはまる確実な要因を見つけるの相当に難しくそこが人口学 を難しくしているかもしれません。 では、全世界の国に当てはまる法則はないのでしょうか。実はすべての国に当てはまるような理論があります。それが「人口転換論」という ものです。これはどの国の人口構造も多産多死→多産中子→多産少子→少産少子といった変化を辿るという考えです。これは確かにその通りで ヨーロッパやアジアどこでも成り立ちます。ところがこの理論は重大な欠陥をはらんでいます。それは具体的にどういった状況になれば このような変化が起こるのかわからないということです。つまりマクロ的な移動はわかっても定量的な議論ができないことになります。 さらに最大の欠点としてどのようなメカニズムで人口構造変化が起こるのかわからないことです。これらの短所を修正したものとして 「第二の人口転換論」という理論が誕生しました。これは人口構造は少産少死のあとは絶対に出生率が上昇することはなく以後は 低出生率のまま安定し、これは近年の脱工業社会・脱文明社会により変化をもたらしたとするものです。これは一見良さそうですが 実際はヨーロッパにしか当てはまらず他の国には適用できないようです(なぜなら本当に全世界で脱工業化が進んだかは疑問です)。 このように完璧な人口構造の変化を説明できる理論はないようです。 ですがいずれにしろ少子化が進んでいるのは間違いありません。そしてあまりにも低すぎる少子高齢化は問題です。したがってある程度 の人口は必要です。ではどうすれば人口が増加するのか。ですがその答えは一様ではなく、この政策をとれば絶対に出生率が増加する という方法はありません。たしかにフランスなどでは出産しやすい環境を作ることにより出生率は増加していますがそれは19世紀ごろから 長い時間をかけることにより達成されたものです。したがってフランスのまねをすればすぐに問題解決、ということにはなりません。 結局あらゆる方法を試すしかないのかもしれません。
大学時代の恩師がこの本に名前が出てくる某教授で、歴史人口学っていわれてもやっぱりわからなかったのだけど、社会学とのからみで重要な学問であることは確かで。
【由来】 ・2012/08/06 原先生から 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・P29、P37、P68、P120、P206 【目次】
ゼミで扱った人口学の入門書。ただ、入門書といってもかなり濃く、本当に理解するまでに時間がかかる。家族社会学との絡みでも必要性の高い学問だなーと。
人口学の入門書。人口学って、そんなものが学問として成立するのかとか、所詮経済学の一ブランチなんだろうとか、つまらないことを思いつつも、取り扱っている内容に興味を惹かれて読んでみた。とりあえず、本書を読んでみてわかったことは、人口学という分野に携わっている人間が重視するのは、手段でも結果でもなく、視点...続きを読むなのであるということ。それを念頭に読んでいけば、中々わかりやすいし面白いんじゃないかと。唯一、結婚率低下に関する考察については、てんで的外れだと思ったけど。
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人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか
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