作品一覧

  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻1,155円 (税込)
    アングロ・アメリカン型の経済システムは本当に普遍的なのか? 多様なシステムの共存が経済利益を生むような「進化」とは? そして日本はどう変革すべきか? 企業組織から国際関係まで、ゲーム理論、情報理論等を駆使して「多様性の経済利益」を追究する新しい経済学=「比較制度分析」の考え方を第一人者がわかりやすく解説する、最適の入門書。(講談社学術文庫)

ユーザーレビュー

  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    Posted by ブクログ

    青木昌彦が先月(7月15日)亡くなったと知った。青木もそうだが、廣松渉、西部邁、柄谷行人など1950年代に「ブント(共産主義者同盟)」に関わった人々には結構有名人が多い。廣松、柄谷は終生(柄谷は存命だが) 「左翼」を貫いたが、西部、青木は早々と「転向」した。西部は今や保守論壇の重鎮となり、青木はアカデミズムのメインストリームで国際的にも高い評価を得た。昔の左翼は随分頭が良かったものだとつくづく思う。

    本書で青木が論じてることは現象としては実はありふれた常識的なことだ。 前近代的な共同体の残滓に見えた日本企業の組織原理が、決して「遅れた」ものでも非合理的なものでもなく、情報処理システムとして極めて効率的で理にかなったものであること、と同時に一定の限界をも有することを、安易な文化論に逃げ込まず、経済学のタームで鮮やかに説明してみせた。

    新古典派経済学は完全情報を前提に取引費用がゼロの世界を想定する。実際には情報は不完全(非対称)で取引費用は無視できない。そこで経済主体は一定の生産手段を市場から調達するのではなく内製化する。これが企業発生のメカニズムであるが、同じように長期的なコミットメントを通じたコーディネーションコストの節約は、経済活動の様々な局面で見出すことができる。日本的な雇用慣行や、メインバンクの継続的なモニタリングによるコーポレートガバナンスもそのヴァリエーションとして理解できる。

    企業は競争環境に最適な組織原理を選択するし、個人は支配的な組織原理に適合的な自己投資をする。組織や個人に化体した投資価値は市場での売却(調達)が困難なため、一旦そこに補完関係が成立すれば粘着性を持ち、歴史的初期条件に依存した固有の進化プロセスをたどる。これが経済システムの多元性の基礎となり、同時に環境変化への構造的な不適応を生む要因ともなる。ここに政策介入の余地が生じるのだが、青木は経済産業省のシンクタンク(RIETI)の所長を務めるとともに、多くの国際金融機関に関与し、産業政策に理論的拠り所を与える仕事にも力を注いだ。ノーベル経済学賞の期待もあっただけに残念だ。心よりご冥福を祈る。

    0
    2023年12月29日
  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    Posted by ブクログ

    青木昌彦氏は、京都大学とスタンフォード大学で教授職にあった高名な経済研究者で、もしかしたら日本人で初のノーベル経済学賞を受賞するのではないかと言われていた方であるが、残念ながら2015年に亡くなられた。
    本書の題名にもなっている「比較制度分析」は、青木氏が始めた経済理論・経済分析の方法論である。本書自体は2008年の発行であるが、本書の元本は、1995年に発表された「経済システムの進化と多元性-比較制度分析序説」というもので、青木氏が、比較制度分析の論文を書き始めて、すなわち、理論・方法論の初期の頃に書かれたものである。
    大学院で修士論文を執筆中なのであるが、論文の中で用いる分析方法として、「新制度派組織論」という理論体系を借用しようと考えている。一方で、青木昌彦氏が属していた学派は、「新制度派経済学」と呼ばれているものであった。ポイントは「新」ということと、「社会学と経済学」の違いである。
    「新」があるということは「旧」があるわけで、「新制度派組織論」も「新制度派経済学」も、「(旧)制度派」からの流れを受け継いでいるものであるが、学問分野として、ある時点で、社会学と経済学に分かれたのである(というのが私の理解であるが、本当にそうなのかな、というのはまだまだ勉強途中)。
    修士論文には「先行研究」といって、自分が論文の中で書こうとしているテーマに関しての先行文献・先行論文を整理したうえで、自分の研究は、それらに何を付け加えようとしているのかをクリアにしないといけない、という作法がある。上記の通り、自分は「新制度派組織論」をベースにした論文を書く予定なので、「新制度派組織論」に関しての先行研究を整理して論文に記述する必要がある。そして、「新制度派組織論」の系譜は上述の通りなので、学問の流れとして、「(旧)制度派」や「新制度派経済学」にも触れる必要があるかもしれない、と思って本書は手にとってみたものである。さらには、もしかしたら、自分の分析視角として、「新制度派経済学」の理論も織り込めないかも確認したかったということもある。
    しかし、上記の通り、青木昌彦氏の「比較制度分析」の初期の著作であり、発展途上であったこと、そして、そもそもが難解である事、から、そういったことが出来るのかどうかの判断は出来なかった。

    0
    2025年04月26日
  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった!特に8章がいい。

    めも
    ダグラス・ノース「公式・非公式のゲームのルール」

    制度とは、人々の間に共通に了解されているような、社会ゲームが継続的にプレイされる仕方である。(ナッシュ均衡の反映)

    それは可能か?

    共通の了解・・・他のプレイヤーがどういう行動をとるかについての予想というニュアンス

    仕切られた多元主義
    モジュール化

    一般市民にとっては多元主義は夢のまた夢なんだよな。。。

    0
    2013年04月15日
  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    Posted by ブクログ

    新古典派的な経済観で行けば、競争的な市場こそが単一で最適な経済制度であって、それにどう近づけるかが課題で、だから、日本もグローバルスタンダードにあわせるべきだという意見。一方で、そうした姿勢に反対する立場も、そうした経済観をある程度認めたうえで日本の市場は特殊だからという意見だったり、そもそも経済的な視点の外からの反対だったりする。
    どちらにせよ、経済制度という観点では最適な市場は一つしかないということは一致してる。

    それに対して、この比較制度分析では、日本は特殊だとは見なさないし、だからといって新古典派的な経済制度が唯一の最適解だとも考えない。そもそも経済制度はもっと多元的で、さまざまな形のものが併存可能だと見なしている。だから、日米欧のどの制度も絶対化されず相対的に検討される。

    そして、それぞれの制度は、個々の事象が相互に補完しあって全体として一貫した経済システムが出来上がる。だから、ほかの国ではうまくいってるからと言って単純にその部分だけを輸入して自国の制度に組み込もうとしても、それはうまく行かない可能性が高い。元々の制度自体が個々の事象同士の微妙なバランスの上に成り立っている以上、それを一部分でも壊せば全体として機能不全に陥ってしまうかもしれない。

    とはいえ、状況が変われば、制度自体もそれに対応できないことには経済はうまく回らなくなってしまう。そのためには、事象同士の相互作用を解明してする必要があると思う。”序説”だしし、10年以上前に出た本ということもあって、この本ではそこまで深くは踏み込めていない。

    それでも、日本の経済制度を考える上では気づきの多い本だと思う。普段新古典派的な単一の経済観になれてしまっている頭には相当に新鮮で面白い。青木先生の主催するVCASIもこの比較制度分析の延長上にあるわけだから、10年経った今ではかなりの成果が蓄積されてるはず。そういう成果をもっと知れる機会があればいいんだけど。

    0
    2010年07月09日
  • 比較制度分析序説 経済システムの進化と多元性

    Posted by ブクログ

    制度概念の検討をと思って読み始めたけれど、やや専門的過ぎて、他分野の人間には読みにくいところも多かったかな、という印象。

    0
    2014年04月09日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET