秋田の杜氏、高橋藤一氏の日本酒造りに対する姿勢や考え方について、ノンフィクションとしてまとめた本。
2009年に出た本で、この本の中では高橋氏はそろそろ後進が杜氏としてきちんと経験を積めるように一線を退こうと思っている、とおっしゃってましたが、氏が杜氏を務める齋彌酒造店のホームページを拝見したとこ
...続きを読むろ、まだ現役で頑張っておられる様子(笑)なにがあったのかは分かりませんが、呑兵衛としては美味しいお酒を醸してくれるのなら、これほど嬉しいことはございません。
冒頭は、酒造りの基本的な工程についてさらっと触れてるので、この辺を知っている人はしれっと読み飛ばしてしまってOK。この倉ならではのユニークな点も紹介されてますが、決して紙幅は多く割かれていません。
後半からが俄然、面白くなってきます。
高橋氏の酒造り(そして、そこに至るまでの酒米造り)に対する姿勢や考え方だけでなく、この倉ならではのユニークな工程(端的に言うと日本酒造りで必須とされる工程をいくつか省いて、自然の力に任せている)が細かく紹介されてます。むしろ、100ページ目を超えたあたりから読み始めても良いんじゃないか、という気さえします。
日本酒が好きな人なら、特にこの倉で醸された「由利正宗」や「雪の茅舎」が好きな人なら、手に取ってみる価値は十分にあります。