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  • クレームvs公務員 ――「住民の声」というジレンマ

    クレームvs公務員 ――「住民の声」というジレンマ

    ビジネス・実用

    5.0
    1巻1,122円 (税込)
    窓口、電話、家庭訪問、公共交通、病院などの医療・介護施設、児童相談所など、公務員が働くところではたいがい起きている。 「気持ちはわかるけど、正直しんどい」のはなぜ? 【以下はカスタマーハラスメントに該当しますか?】 窓口に来た住民の話は要領を得ず、職員はなかなか理解できませんでしたが、話を聞いていると、その申請の対象外になりそうであると判断し、その旨を伝えました。住民は納得いかなさそうに帰っていきました。翌日再度来訪し、昨日と同じようなやりとりをしたところ、だんだんと口調がきつくなりはじめ、フロアに響き渡る声で「お前じゃ話にならん。上司を出せ」と言いはじめました。しばらくなだめる一方でしたが、ようやく上司が来て再度話を聞いたところ、別の制度が適用されることがわかり、その申請をして住民は満足して帰っていきました。 (詳細は第1章に掲載) === 【目次】 第1章 迷惑行為・悪質クレームの実態解明 1 カスハラとは何か 2 迷惑行為・悪質クレームの実態 3 現場の職員はどうしてほしいのか 4 さらなる迷惑行為のバリエーション――不特定多数による少量の加害 第2章 カスハラとはいかなる問題なのか 1 「カスハラ」の言葉の登場 2 カスハラの定義 3 カスハラの例示 4 カスハラのジレンマ 5 カスハラ問題の特徴 第3章 行政のカスハラは特殊なのか 1 行政の特徴とは 2 どのように住民の意見を聴くのか 3 組織と職員個人のせめぎあい 4 行政のカスハラの3つの課題 第4章 不当な要求に対してどう対処してきたのか 1 反社会的勢力などによる不当な要求 2 それぞれの自治体での対応 3 不当要求行為の対策とカスハラ 4 外国における不当な要求への対応 第5章 自治体はカスハラにどう向き合っているのか 1 カスハラ対策の目的 2 カスハラ対策の手段 3 実際にはどう動くのか 4 自治体のカスハラ対策に関するその他の論点と課題 第6章 民間企業のカスハラ対策を後押しする 1 東京都のカスハラ条例 2 行政現場への示唆 第7章 カスハラ対策 次なる航路に向けて 1 自治体にとって「カスハラ」とは何なのか 2 カスハラ対策へのガイド 3 対策の先にある新しい住民との関係 ===

ユーザーレビュー

  • クレームvs公務員 ――「住民の声」というジレンマ

    Posted by ブクログ

    ■第1に「カスハラを理解するには一筋縄ではいかない」。要するにカスハラには色々なものがあり、安易に定義を狭めてはいけない。特に住民や現場だけの問題と捉えてしまうのは悪手。第2に「迷惑行為や悪質クレームとカスハラとは分けて理解すべき」。「就業環境への害」になるかどうかがポイント。
    ■自治労が2023年2月に発表したマニュアルでは、カスハラを4つの類型に分けた上で、複数の例を示している。
    ①明らかに必要性のない言動
    ②目的を大きく逸脱した言動
    ③手段として不適当な言動
    ④当該行為の回数、行為者の数等、その様態や手段が社会通念に照らして許容できる範囲を超える言動
    ■カスハラのジレンマ
    ①正当性/不当性を巡るジレンマ
     住民のクレームが正当か不当かは一見区別がつかない。話を聞いてみないと分からない。苦情対応の初動においてこの点は最も重要なジレンマになるし、迷惑行為や悪質クレームの行為においてこの点は最も重要なジレンマになるし、迷惑行為や悪質クレームの行為者を簡単には排除できない理由の一つとなる。
    ②住民と上司のジレンマ
     現場の職員が住民にとって望ましい対応方針を思いついたとしても、それを周囲の職員や上司が理解してくれるとは限らない。そうした対応を「甘い」と判断されたり、「苦情対応が下手だ」と非難されることがある。住民の要望をその場で修めるための「現場の判断」と安易な妥協を許さない「上司や組織の規範」が対立することもある。上司の命令と住民対応との間で現場の職員が板挟みになってしまうこともある。
    ③現場と組織のジレンマ
     どれだけ組織的な対応を試みても、結局現場で判断しなければならない領域はなくならない。これは汎用性と具体性のジレンマとも言える。マニュアルや基準として示すことのできるものは、当然一般的・汎用的なものになる。ところが実際に来訪する住民は多種多様である。現場の職員がマニュアルに基づいても個別具体的なケースに上手く対応できなければ、マニュアルは役に立たないと言われるだけ。組織的な対策は現場で役に立たず、現場だけでは解決できないジレンマである。
    ④原因を巡るジレンマ
     表面上は迷惑行為や悪質クレームに見えても、そこに「行政が真に解決すべき問題」が内包されていることがある。行政の手続上の不備や難しさ、制度に問題があるのであれば、そのクレームは聞き入れるべきものといえる。ただし、現場の職員にはそれが自分に対する攻撃に見えてしまう。
    ⑤行政というジレンマ
     そもそも行政は住民対応から逃れられない。そのため「カスハラはなくならない」。
    ■行政のカスハラの3つの課題
    ①専門性の極めて高い分野におけるカスハラ対策。
    ②負担の大きい対応業務とカスハラとの境界線をどう引くか。
    ・低強度・高頻度の接触
    ・マルチチャンネル攻撃
    ・担当職員と周囲の認識のギャップ
    ・長時間の拘束
    ・孤独の表出
    ・重層的・複雑な困りごと
    ・管轄の境界線上の調整
    ・社会運動
    ③行政改革におけるアウトソーシングの問題
    ■カスハラか否かが曖昧な状況では、
    ・安易なカスハラ認定は避ける
    ・責任を個人が抱え込まない
    ・住民対応が業務であることを再確認
    ・制度や仕組みに問題があると考える
    ■2026年4月、民間事業者でもカスハラ対策が義務化されることを踏まえ、「人事院規則10-17」が示された。2026年10月1日の施行となっている。
     そこでは、3つの要素をすべて満たすものをカスハラとしている。
    ①職員の職務に係る行政サービスの利用者等からの言動であって、
    ②職員が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えるものにより、
    ③職員が精神的若しくは身体的な苦痛を与えられ、職員の人格若しくは尊厳が害され、又は職員の勤務環境が害されること
    ■東京でタクシーに乗ったとき、運転手にカスハラのことを聞いたら「タクシー業界では「NHK」というキーワードがあると言われた」
    N:寝る
    H:吐く
    K:キレる
    ■本書が最も伝えたかったのは次の2点。
    ①カスハラには多様性という特徴があること
    ②負担と被害の境界線をどう引くかという問題があること


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    2026年10月07日

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