原子力ムラの中枢にいた西村茂生氏。動燃(JAEA)の総務部次長であった彼がもんじゅ事故のあった後の1996(平成8)年1月13日の早朝に変死体で見つかる。
彼が残したダンボール7個分にも及ぶ資料を読み解くうちに原子力ムラの闇が露わになっていった。
3.11以降も続く旧態依然とした原子力ムラの対応は
...続きを読むこの資料を読み進めるうちにその体質がハッキリとする。
組織を守るために原発を稼働させるためにこのムラの中では驚くような工作や組織だった細かな指示が各所に徹底されている。その恐ろしいムラの構造がこの西村ファイルを徹底的に調査、取材して暴いた渾身の真実が書かれた一冊である。
本文の中に書かれたこの部分が原子力ムラを言い得ている。
【福島第一原発事故をめぐる対応を見ていても分かるように、「原子力ムラ」の根本にある旧態依然とした体質は今も何ら変わっていない。
それどころか、いまだに原発事故の現場では高線量の放射線がまき散らされ、行き場の無い汚染水が増え続け、最終的な廃炉のめども立っていない状況だというのに、この悪夢のような大惨事をもはや忘れてしまったかのように、再稼働話が浮上している。民主党から政権を奪還した安倍晋三率いる自民党は、これまで日本の原発政策を強く推進してきた“戦犯”としての反省など微塵もなく、安全やモラルよりも経済を優先させて原発再稼働を大前提としたエネルギー政策に突き進んでいる。「成長戦略」という名のもとで安倍首相自らが海外への原発輸出を積極的に進める姿には、国としての意識の低さを感じざるを得ない。
そして、こうした「原発維持」の流れを強力に後押ししているのが、政官財ががっちりとタッグを組んだ「原子力ムラ」の面々だということはいうまでもない。】
このムラの力学を彼らがどう結びつきどう活動していたのかがこの西村ファイルが全てを解き明かしてくれたと言ってもいいだろう。それ程の闇を全て明らかにさせたとてつもないファイルをこの本は暴いている。
なぜ地方が原発を受け入れるのか?そこにはありとあらゆる法整備によって受け入れる自治体にお金が落ちるようになっているからである。
原子力施設の地元には、国から「電源三法交付金」が支払われる。
電源三法交付金は74年に制定された電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の三つの法律に基づいて地方自治体に交付されるもの。要は、安全へのリスクがある原子力施設を受け入れる代わりに、地元にお金を落とそうという制度である。その原資は、我々の電気料金に上乗せすることで捻出されている。
こう言う税金や電気料金を使った目に見えないお金が実は原子力発電には余計に掛かっており、決して安価な電気ではないと言うことである。
その額はもんじゅなどを抱えている福井県を例にとってみても毎年200億円以上の交付金が支払われている。
原子力ムラは組織でやらせや選挙活動、恫喝といった表に出ないものも含め恐ろしいほどの活動をしている。それらがこの西村ファイルには克明に書かれており、それを読み解いたこのチームは素晴らしい情報を暴露してくれたこととなる。
この本に書かれたことはそれこそ一人の命と引き替えに暴かれた闇の一部であり、原子力ムラはもっともっと深い闇があるのでは無いかと思う。こう言うほんを本に国民はこの原子力ムラという組織を監視し続けていかないといけないと思う。