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    完結

    小さな会社は戦略が9割

    ビジネス・実用

    4.3
    全1巻1,980円 (税込)
    「社長が一番働く会社」は、なぜ儲からないのか? 借金2億円からの大逆転! 地方の小さな会社が売上200倍&上場を果たした「弱者の経営戦記」 「一生懸命やっているのに、なかなか会社が良くならない……」 現場で誰よりも働き、社員を想う経営者ほど、無意識のうちに「自分の努力不足だ」と自分を責めてしまいます。 しかし、努力しても報われない真の原因は、能力不足ではありません。 圧倒的な「戦略の欠如」にあります。 かつては売上のために事業を広げ、気づけば借金2億円の「何でも屋」として疲弊していたユニフォームネクスト社。 本書は、そんなどん底から劇的なV字回復を遂げた実体験に基づく経営実践書です。 大手の真似を捨てて「一点突破」へ。 【本書で得られる「知恵」と「ノウハウ」】 ・売上200倍を生んだ「やらないこと」の覚悟の決断 年商1億円の黒字事業をあえて捨て、飲食店ユニフォームに一点集中した「撤退と深掘り」の黄金律。 ・マイナスをゼロにするイノベーション 天才的な閃きに頼らず、大手企業と業界が放置してきた「お客様の小さな不便」を解決することで爆発的な成長を生む方法。 多角化の罠に陥らず、「圧倒的な一位」を獲得するための視点が養える一冊。 ◆目次◆ 序章:努力が報われる会社 第1章:小さな会社こそ戦略経営に目覚めよ 第2章:売上200倍にして地方から上場できた理由 第3章:イノベーションで成長の壁を超える 第4章:戦略を実行する「強い組織」のつくり方 第5章:社員が自ら動き出す「エンゲージメント」の正体 第6章:AI・DX時代に“戦略で勝つ中小企業”が生き残る 終章:戦略をやり切る経営者の条件

ユーザーレビュー

  • 小さな会社は戦略が9割

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    ネタバレ

    横井康孝『小さな会社は戦略が9割』

    統合詳細レポート v1.0

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    0|本書の全体像

    『小さな会社は戦略が9割』が一貫して伝えているのは、中小企業の経営課題の多くは「努力不足」ではなく「戦略不在」から生じているということです。

    社員が懸命に働いている。営業も動いている。社長も誰より長く働いている。それでも利益が増えず、会社が思うように成長しない。そのとき、多くの経営者は「もっと頑張ろう」「もっと営業しよう」「もっと人を採ろう」と考えます。

    しかし著者は、その方向そのものを疑います。

    戦略なき努力とは、限られた経営資源を広い戦場へ分散させる行為です。特に資金・人材・ブランド・知名度で大企業に劣る中小企業がこの状態に陥れば、社員の努力が成果へ変換されません。

    したがって最初に必要なのは、

    どこで戦うのか。何をやるのか。何をやらないのか。どこへ人・金・時間を集中させるのか。

    を明確にすることです。

    本書の論理を一本につなぐと、次のようになります。

    段階経営上の問い本書の答え
    目的何のために経営するのかお客様をつくり、増やす
    情報何を知らなければならないか顧客・市場・競合・現場
    戦略どこでどう勝つのか勝てる場所を選び、集中する
    競争何を目指すのか小さな市場でナンバーワン
    差別化なぜ選ばれるのか大手と違う独自価値をつくる
    組織どう実行するのか戦略に人・金・時間を整合させる
    教育誰を最初に鍛えるのかまず社長自身が学ぶ
    成長次の成長源は何か顧客価値を起点としたイノベーション
    実践知識をどう成果へ変えるか知る→やる→できるまで反復する

    本書は、単なるランチェスター戦略の解説書ではありません。最終的には、経営目的、競争戦略、資源配分、組織、教育、情報、イノベーション、実行までを一つの経営システムとして接続している点に特徴があります。

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    1|戦略の欠如と曖昧な経営

    中小企業の経営者と話すと、

    「社員には良い待遇をしてあげたい」
    「地域に貢献したい」
    「もっと売上を増やしたい」

    といった真面目な思いを持つ人は多い。

    しかし、その思いと実際の経営成果が一致するとは限りません。

    社員が忙しく働いているにもかかわらず、現金が残らない。売上目標を毎年追い続けているにもかかわらず、利益率が改善しない。人を増やしているにもかかわらず、会社全体の生産性が上がらない。

    こうした現象を、著者は単純な「努力不足」とは捉えません。

    根本には、

    「会社に戦略がない」あるいは「戦略が機能していない」

    という問題があると考えます。

    戦略とは極めてシンプルに言えば、

    自分たちはどこで戦い、どうやって勝つのかを決めること。裏返せば、どこでは戦わず、何をやらないかを決めること。

    です。

    明確な戦略がなければ、目の前の売上、顧客、案件、要望へ次々と反応することになります。その結果、人・金・時間が四方八方へ分散します。

    努力の量を増やしても、方向がばらばらなら会社全体の推進力は上がりません。

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    2|小さな会社ほど「戦略」が必要である

    一見すると、戦略が必要なのは大企業のように思えます。

    実際には逆です。

    大企業には、

    豊富な資金、多数の社員、高いブランド力、専門人材、長年の顧客基盤といった余力があります。多少判断がずれても、別の部門や資本力でカバーできます。

    一方、小さな会社には余裕がありません。

    一つの採用ミス、一つの商品開発の失敗、一つの大口取引の喪失、一つの設備投資判断が会社全体へ直撃します。

    だからこそ、中小企業は、

    「全部やる」のではなく「勝てる一点を選ぶ」

    必要があります。

    戦国時代に例えれば、大軍を持つ相手に小軍が正面衝突すれば負けます。しかし、場所・時間・相手を選び、一点へ全軍を投入すれば局地戦では勝てる可能性があります。

    これが小さな会社の戦略の基本思想です。

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    3|戦略とは「空想」ではなく、実現までの設計図である

    戦略という言葉は、しばしば目標や願望と混同されます。

    「5年後に売上3億円」
    「業界No.1になる」
    「100人採用する」

    これらは目標であって、戦略ではありません。

    登山で考えると分かりやすくなります。

    山頂が「目標」だとすれば、戦略とは、

    どの登山口から入り、どのルートを通り、どこで休憩し、どんな装備を持ち、どの障害をどう越えるか

    という具体的な登り方です。

    同じように経営でも、目標だけでは不十分です。

    例えば「5年後売上3億円」と掲げても、

    どの顧客を狙うのか、何の商品を売るのか、どう営業するのか、どの人材を採るのか、どこへ資金を使うのか

    という裏付けがなければ、単なる空想になります。

    したがって本書における戦略とは、

    限られたお金と時間をどこへ使い、どのような仕組みで勝つのかを描いた設計図

    と捉えることができます。

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    4|「集中」が弱者最大の武器

    中小企業にとって最も重要な戦略原則の一つが、集中です。

    大企業の強みは、資源量です。

    小さな会社がその真似をして、

    複数市場へ入り、商品を増やし、営業先を増やし、新規事業を同時に走らせる

    と、一つひとつに投入できる資源が薄くなります。

    例えば、一人の社員が複数の商品や事業を担当すれば、どの領域でも専門性は十分に高まりません。

    一方で、

    特定の商品、特定顧客、特定地域、特定用途

    に集中すれば、限られた人員でも知識・経験・顧客理解が蓄積されます。

    つまり、

    集中 → 専門性 → 顧客価値 → 評判 → 受注 → さらなる集中

    という循環が生まれます。

    本書における「集中」とは単なる業務効率化ではなく、弱者が強者へ勝つための唯一に近い戦い方として位置づけられています。

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    5|ナンバーワン戦略――広い市場で戦わない

    ランチェスター戦略で重要なのが、

    小さくてもよいから、特定領域でナンバーワンになる

    ことです。

    ここでいうナンバーワンは、全国一位である必要はありません。

    特定地域、特定商品カテゴリー、特定顧客層、特定用途など、自社の規模に合わせて市場を細かく定義します。

    重要なのは、その市場の中で「一番」と認識されることです。

    著者は、1位と2位の差は単純な順位差ではなく、利益構造の差になると説明します。

    市場シェアが高くなると、

    指名、紹介、口コミ、広告効率、営業効率

    が改善します。

    顧客も「一番有名な会社なら安心だ」と考えやすくなります。

    一方、2位以下は1位に顧客が自然流入するため、同じ受注を取るにも営業費・広告費が多く必要になります。

    したがって、

    売上規模よりも、まず「どこで1位を取るのか」を決める

    ことが重要になります。

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    6|差別化――「何をやるか」以上に「何をやらないか」

    小さな会社が1位を取るためには、強者と同じことをしてはいけません。

    そこで必要なのが差別化です。

    ただし、本書でいう差別化は、

    「少しサービスを良くする」
    「デザインを変える」

    という程度ではありません。

    本質は、

    大手が非効率だからやりたくないことを、小さな会社が徹底的にやる。

    ということです。

    例えば大量販売に適した汎用品は、大企業が有利です。

    一方、

    個別加工、少量対応、細かな注文、専門性の高い対応、短納期などは

    大企業にとって非効率になりやすい領域です。

    ここに小さな会社の余地があります。

    重要なのは、

    「何を扱うか」以上に「何を扱わないか」の基準を明確にすること

    です。

    差別化とは、競合と違うものを付け足すだけではなく、戦う土俵そのものをずらすことでもあります。

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    7|特需ではなく、長期利益を生む仕組みをつくる

    一時的に大きく売れることと、強い会社になることは違います。

    例えば災害、社会現象、感染症、制度変更などによって一時的に需要が急増することがあります。

    そのとき大きな利益が出ても、それが流行とともに消えるなら競争優位ではありません。

    著者が重視するのは、

    一時的な売上ではなく、何年も利益を出し続ける仕組み

    です。

    ここでも集中と差別化が重要になります。

    限られた領域へ集中し、そこに専門知識・顧客対応・ノウハウを蓄積すると、後発企業が簡単には追いつけない壁になります。

    つまり差別化とは、派手な発明以上に、

    日々の積み重ねによって模倣困難性をつくること

    でもあります。

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    8|情報――戦略を描く前提

    良い戦略には、良い情報が必要です。

    本書では情報の重要性が強く指摘されています。

    情報とは単なる業界ニュースではありません。

    とりわけ重要なのは、

    顧客に関する情報

    です。

    顧客が何に困っているのか。何を求めているのか。競合をどう評価しているのか。何に不満を感じているのか。

    著者が紹介する調査では、戦略策定に必要な情報の優先順位として、顧客情報が最も大きな比重を占めています。

    ここで重要なのが一次情報です。

    インターネットや報告書から得る二次情報は便利ですが、途中で解釈が入り、事実が歪むことがあります。

    だから社長自身が、

    顧客へ会う、現場へ行く、生の声を聞く

    必要があります。

    著者は、経営判断の土台になる情報を、

    自分の耳で聞き、自分の目で見て、自分の肌で感じる

    ことを重視しています。

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    9|経営者自身が顧客になる

    さらに強力なのが、顧客体験そのものを自ら経験することです。

    実際に自腹で競合の商品を買う。競合サービスを利用する。顧客と同じ立場で注文する。

    そうすると、

    「注文しにくい」
    「説明が分かりにくい」
    「対応が冷たい」
    「ここは便利だ」

    といった感覚が分かります。

    報告書に書かれた「クレームが1件ありました」という情報と、実際に自分が不快な経験をするのとでは、経営者の危機感は大きく異なります。

    本書ではこのような、加工される前の顧客体験を0次情報とも捉えています。

    情報の量だけでなく、情報の距離と質を重視している点が重要です。

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    10|組織――戦略に人・金・時間を整合させる

    戦略は、社長の頭の中にあるだけでは成果になりません。

    組織の資源配分へ反映されて初めて実行されます。

    つまり、

    戦略と組織構造、人員配置、時間配分、資金配分を一致させる

    必要があります。

    例えば、

    「この商品へ集中する」

    と決めながら、社員の大半が別事業に時間を使っていたら、その戦略は実行されていません。

    「この顧客層を狙う」

    と言いながら、営業担当者の評価指標が単純な売上額だけなら、戦略外の顧客も取りに行きます。

    戦略とは意思表明ではなく、

    資源配分に表れて初めて本物になる

    のです。

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    11|教育――最優先で鍛えるべきは社長

    採用の次に重要なのが教育です。

    ただし著者は、中小企業において社員教育を外部へ丸投げすることに慎重です。

    社員数がまだ少ない段階では、

    教育費の多くを社長自身へ使うべき

    だと考えます。

    理由は単純です。

    中小企業では社長の判断が、

    市場選択、商品、価格、採用、投資、組織、営業

    など会社全体へ直接影響するからです。

    社長一人の判断力が高まれば、全社へレバレッジがかかります。

    外部研修で得られるのは原理原則です。

    それを、

    「では自社では何をするのか」

    へ翻訳するのが社長の仕事です。

    社長自身が外で学び、自社で試し、自分の言葉に変換し、社員へ繰り返し伝える。

    その結果、戦略が社長個人の知識から、組織の共通判断基準へ変わっていきます。

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    12|経営の目的は「顧客の創造」

    本書終盤で、著者は経営の根本へ立ち返ります。

    戦略、利益、組織、イノベーション。

    これらはすべて目的ではありません。

    著者が置く経営目的は、

    「お客様をつくること」

    です。

    これはドラッカーの「事業の目的は顧客の創造である」という考え方とも一致します。

    利益は重要です。

    利益がなければ、給与も払えず、投資もできず、会社も存続できません。

    しかし利益は、

    経営目的ではなく、存続するための条件

    です。

    顧客へ価値を提供する。顧客が喜ぶ。顧客が増える。その結果として売上と利益が生まれる。

    この順序を逆転させてはいけません。

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    13|利益を目的化すると会社は弱くなる

    短期利益を第一目的にすると、経営判断が歪みやすくなります。

    例えば、

    安い素材へ変える、顧客対応を減らす、人員を削る、無理な営業をかける。

    短期的には利益率が改善するかもしれません。

    しかし顧客が、

    「品質が落ちた」
    「サービスが悪くなった」

    と感じれば離れていきます。

    結果として、

    短期利益の最大化が、長期利益を破壊する

    ことになります。

    だから判断基準として重要なのは、

    「この意思決定は、中長期的にお客様を増やすか」

    という問いです。

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    14|イノベーション――改善の延長を超える

    戦略によって会社を安定させ、利益を出せるようになっても、やがて成長は鈍化します。

    既存商品・既存顧客・既存市場の改善だけには限界があるからです。

    そこで必要になるのがイノベーションです。

    ただし、本書でいうイノベーションは世界初の技術発明だけを意味しません。

    著者の捉え方は、

    お客様が求める、これまでにはなかった新しい価値を提供すること

    です。

    例えば地方で、

    「遠くまで行かなくても24時間買い物できる」

    という価値を初めて提供するコンビニは、その地域の人にとって大きなイノベーションになり得ます。

    技術的新規性より、

    顧客の生活や仕事がどれだけ変わるか

    が重要です。

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    15|イノベーションの価値は「新価値 × 届く人数」

    本書の考え方を整理すると、イノベーションのインパクトは、

    生み出した価値の大きさ × その価値を享受する顧客数

    で考えることができます。

    小さな会社だからといって、大規模研究開発は必要ありません。

    むしろ顧客との距離の近さを生かし、

    「ここが面倒」
    「ここが不便」
    「ここだけ改善してほしい」

    という小さな未充足ニーズを発見する。

    そこから新しい顧客価値をつくればよいのです。

    戦略が「今の勝ち方」をつくるものだとすれば、

    イノベーションは「次の成長余地」をつくるもの

    と整理できます。

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    16|「知っている」と「できる」はまったく違う

    本書の最後に著者が最も強く伝えているのが、

    「知っている」を「できる」に変える

    ということです。

    戦略を理解することは重要です。

    しかし、

    市場を絞るべきだと知っている。
    集中すべきだと知っている。
    顧客を大切にすべきだと知っている。

    だけでは、会社は何も変わりません。

    実際に事業を絞ろうとすると、

    売上低下、社員の反発、既存顧客からの苦情、将来不安

    が発生します。

    その瞬間、多くの経営者は「今回だけは例外で」と元へ戻ります。

    そこで戦略が崩れます。

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    17|戦略実行には一時的な悪化が伴う

    戦略を変えれば、短期的に数字が悪化することがあります。

    例えば、利益の薄い顧客や商品をやめれば売上は下がります。

    しかし、そのことで経営資源が空き、重点市場へ集中できれば、

    利益率、生産性、顧客満足度

    が中長期的に改善する可能性があります。

    したがって、

    「短期的に売上が下がった=戦略が間違っている」ではない

    ということを理解する必要があります。

    戦略変更には移行コストがあります。

    その壁を超えずに元へ戻れば、「知っている」から「できる」へ進めません。

    ⸻

    18|「やらないこと」を守る

    戦略の実行を壊す最大の敵の一つが例外です。

    「この顧客だけ」
    「この案件だけ」
    「今月だけ」

    という例外が積み重なると、戦略は形骸化します。

    したがって、

    戦略とは、やることを決めること以上に、やらないことを守り続けること

    でもあります。

    集中戦略とは、精神論ではなく規律です。

    ⸻

    19|「知る → やる → できる」

    本書全体の最後のメッセージは、非常にシンプルです。

    知っている
    原理原則を理解している状態。

    やっている
    現場で実践しているが、まだ不安定な状態。

    できている
    反復可能な形で成果を出せる状態。

    経営成果を生むのは最後の「できている」です。

    そのためには、

    実践 → 失敗 → 修正 → 再実行 → 検証

    を繰り返す必要があります。

    著者のいう「できる」とは、偶然一度成功することではありません。

    再現性のある力を持つことです。

    ⸻

    20|本書が提示する「経営の循環」

    本書全体を統合すると、経営は直線ではなく循環として捉えられます。

    情報を集める
    → 勝てる場所を決める
    → 戦略をつくる
    → 人・金・時間を集中する
    → 1位を取る
    → 差別化を深める
    → 顧客を増やす
    → 利益を得る
    → 組織・教育へ再投資する
    → 新しい顧客価値をつくる
    → 結果を検証する
    → 再び情報を集め、戦略を修正する

    というループです。

    したがって、「戦略が9割」というタイトルも、

    一度正しい戦略を考えれば終わる

    という意味ではありません。

    むしろ、

    正しい戦略を軸として、学習・実行・修正を繰り返す経営そのもの

    を意味していると理解できます。

    ⸻

    21|本書から導ける経営の10原則

    本書の内容を実務で使うなら、最終的には次の10原則へ収斂します。

    1. 頑張る前に、どこで勝つかを決める。
    2. 小さな会社ほど、何をやらないかを明確にする。
    3. 広い市場のその他大勢ではなく、狭い市場の1位を取る。
    4. 人・金・時間を一点へ集中する。
    5. 大手が嫌がる非効率を、自社の差別化へ変える。
    6. 二次情報だけで判断せず、社長自身が顧客と現場を見る。
    7. 経営目的を利益ではなく、顧客創造に置く。
    8. まず社長自身が学び、その知識を自社用に翻訳する。
    9. 改善の延長だけでなく、新しい顧客価値をつくる。
    10. 知識で満足せず、実践・失敗・修正を繰り返して「できる」まで持っていく。

    ⸻

    22|本書の本質

    本書を単純に「ランチェスター戦略の本」とだけ捉えると、射程を狭く見積もることになります。

    より本質的には、

    限られた経営資源しか持たない会社が、目的・情報・戦略・集中・差別化・組織・教育・イノベーション・実行を一つの論理でつなぎ、継続的に顧客と利益を生み出すための経営原則

    を示した本です。

    その中でも一番重要なのは、

    「努力量」よりも先に「努力をどこへ向けるか」を決める

    という思想です。

    戦略がなければ、優秀な社員ほど忙しくなり、資金を持つほど投資先が増え、売上が増えるほど複雑性が高まります。

    一方で戦略があれば、

    やること、やらないこと、顧客、商品、市場、採用、人員配置、投資

    が一本の軸でつながります。

    ⸻

    23|最終要約

    『小さな会社は戦略が9割』が伝えるメッセージを一文でまとめるなら、次のようになります。

    小さな会社は、大企業より多くの資源を持つことでは勝てない。だからこそ、顧客と市場を深く知り、勝てる狭い場所を選び、そこへ人・金・時間を集中し、ナンバーワンをつくる。大手がやりたがらない領域で差別化し、顧客価値を生み出し続ける。利益は目的ではなく、その顧客創造を継続するための条件である。そして、戦略を知識のまま終わらせず、実践・失敗・修正を何度も繰り返し、「知っている」から「できる」へ変えることこそ、小さな会社が継続的に勝つための本当の戦略である。

    本書全体をさらに圧縮すると、「勝てる場所を選ぶ → 集中する → 1位になる → 顧客価値を深める → 学習して次の勝ち方をつくる」という経営の循環だと整理できます。

    0
    2026年09月15日
  • 小さな会社は戦略が9割

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小さな会社は浅く広くではなく、狭く深くが大事
    採用は社長自身が熱意を持ってやるのがいい、それが難しくなった時は最も優秀な社員をそこに持ってくる
    役職について、監督とキャプテンを混合させてはいけない
    自由を与えることで責任が生まれる

    0
    2026年08月13日
  • 小さな会社は戦略が9割

    Posted by ブクログ

    人も金も時間もない会社が勝ち続けるための秘訣。

    それは強者と弱者では、戦い方を変えるべきという

    『ランチェスター戦略』だった。

    ◇◇◇◇◇◇

    【タイトル】小さな会社は戦略が9割人も金も時間もない会社が勝ち続けるための経営思考
    【 著者 】横井康孝
    【 出版社 】クロスメディア・パブリッシング

    ◇◇◇◇◇◇

    ランチェスター戦略。
    それは小さくてもいいから、特定の領域でナンバーワンになること。

    最初はこの戦略を学んだときは外部にはもらしたくないと思ったほどだったんだって。

    ◇◇◇◇◇◇

    会社には会社の勝ち方がある。

    それは規模や状態によってそれぞれに違う戦略になる。

    だから一概にこの『戦略』がいい!というのを鵜呑みにして、行っていては、

    成長ではなく、膨張になるだけで、

    未来に繋がらなかったりする。

    ◇◇◇◇◇◇

    そんな時に学んだ、ランチェスター戦略。

    『弱者は、戦略を分散させてはならない。
    一点に集中し、局地戦で1位を取らなければならない』ということ。

    これには、

    ●1次情報が大事。⇨0次情報はもっと大事!

    ●良い戦略を立てることとそれをやり切ることは全く別物

    ●イノベーションの大切さ

    ◇◇◇◇◇◇

    『イノベーション』と聞くと、
    難しく感じてしまう。

    けれども、内容的には、
    『これまでになかった、お客様が求めている新しい価値を提供すること』

    ●イノベーションの価値=「生み出した価値の大きさ」×「その価値を享受するお客様の数」

    ●困りごとの解決⇨マイナスをゼロにするイノベーション
    ⇩
    期待を超えるイノベーション⇨ゼロをプラスにする、プラスをさらに大きくする

    ⇨ここが使いにくい、もっとこうだったらいいのに

    ☆まず足元にある「不」の解決をすること。
    なのだそう。

    ◇◇◇◇◇◇

    他にも、

    ●社長自ら学び、翻訳し、「しつこい」と言われるくらい、同じ事を繰り返し伝える

    ●強い組織の器(ハード面)を作るために
    エンゲージメントを構成する4つのP
     
    ●「仲良しクラブ化」を防ぐ

    など。
    取り入れるための考え方や順番が載っているから、学びを受け止め自分の組織と対応させて考える力がつく。

    しかも、

    YouTube『ユニネク・ビズチャンネル』では、
    ランチェスター戦略を毎日少しずつ勉強するための動画を配信中だそうです。

    これはより理解を深められるチャンスです✨️

    ◇◇◇◇◇◇

    成長と膨張の違いなんて考えたことがなかったから、あらためて意識して整えていきたいと思う、そんな1冊になりました✧

    0
    2026年07月30日
  • 小さな会社は戦略が9割

    Posted by ブクログ

    「頑張ること」と「勝つこと」は違う。本書を読んで最も印象に残ったのは、この考え方だった。

    やることを増やすのではなく、「やらないこと」を決めることが戦略の本質。手を広げるほど専門性は薄れ、価格競争に巻き込まれる。だからこそ、自社が勝てる小さな市場を見つけ、徹底的に深掘りして1位を目指すことが重要だと学んだ。

    特に共感したのは、「横展開」よりも「深掘り」を優先する考え方。新しいことは楽しいが、本当に価値を生むのは地味で成果が見えにくい改善を積み重ねること。社長の仕事は現場で忙しく動くことではなく、「普通の人が普通の努力で成果を出せる仕組み」をつくることなのだと感じた。

    また、経営の目的は利益ではなく、お客様を増やし続けること。利益は価値を提供した結果としてついてくるものであり、人材も優秀な人を集めるのではなく、時間をかけて育てることが大切だという考え方にも共感した。

    そして最も心に残ったのは、「会社の限界を決めるのは経営者の謙虚さ」という言葉。正しい戦略を描くだけでなく、現実を受け止めて学び続け、やり切る姿勢こそが成果につながるのだと思う。

    仕事でも新しい施策を考える前に、「どこで戦うか」「何をやらないか」を明確にし、まずは今ある強みを深掘りして成果につなげていきたい。

    0
    2026年06月26日

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