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  • 日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

    日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻1,166円 (税込)
    戦後、日米政府間で誰にも知られず交わされた密約。 政府首脳だけが把握し、日米安保のかげで、両国間の構造に深く組み込まれてきた。 ①米兵の裁判権放棄、②日本への核持ち込み、③基地からの米軍の自由な出撃、④沖縄への核持ち込みという四つの密約の正体とは何か。 なぜ密約が生まれ、日本に何をもたらしたか。 米国側の史料・新事実を踏まえ、裏交渉の全容を解明。 ヴェールを剥ぎとり、対米依存の真相に光を当てる。 【目次】 まえがき 序 章 なぜ密約が交わされてきたのか 「表」の条約・「裏」の密約  密約とは何か  なぜ密約は問題になるのか  本書の目的と方法  本書の構成 第1章 なぜ米兵を裁けないのか――刑事裁判権放棄密約の実態 1 刑事裁判権の原理 旗国法原理  領域主権論  NATO軍地位協定 2 日米行政協定の改定 日米の主張  交渉開始  解決の糸口  津田陳述 3 密約の成立 津田陳述の密約性  オランダ方式・ドイツ方式  密約の実務 4 密約の検証 津田陳述の非公表性  統計データによる起訴率  オランダ・ドイツの裁判権放棄事例  刑事裁判権放棄の透明性の確保 第2章 日本への核持ち込み――一九六〇年核持ち込み密約 1 米国の核政策・日本の非核政策  米国の核保有数の急増  アイゼンハワー政権のニュールック政策  NCND政策  重光・アリソン口頭了解 2 安保改定の舞台裏 岸首相の訪米(1957年6月)  藤山外相の訪米(1958年9月)  米国の核戦略  フォーミュラ案 3 秘密交渉の内幕 岸・ハーター交換公文  フォーミュラをめぐる日米交渉  藤山外相の口頭了解  秘密了解をめぐる攻防  日本側の譲歩  「討議の記録」 4 対米依存構造 密約調査と外務省報告書  「東郷メモ」  非核二・五原則  核持ち込み密約 第3章 米軍が自由に出撃するために――一九六〇年朝鮮議事録 1 国連軍と日本 「国連軍」の創設  「吉田・アチソン交換公文」  国連軍と戦闘作戦行動 2 国連軍と事前協議制度 「吉田・アチソン交換公文」の効力  日本案の内容  日本案への反応  統合参謀本部(JCS)の意見  朝鮮半島有事における例外規定 3 密約締結の真相 朝鮮半島有事の検討と米側の要請  日本側の対応  「好意的考慮案」  表向きと裏の取り決めの二重構造 4 朝鮮議事録 吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文  朝鮮議事録  朝鮮議事録への署名  「事前協議なき出撃」  事前協議制度の形骸化 第4章 沖縄返還と基地の自由使用――朝鮮議事録の行方 1 沖縄返還への道のり 「潜在主権」  ブルースカイ政策  ハルペリンとスナイダー  密使・若泉敬  佐藤・ジョンソン会談(1967年11月) 2 沖縄返還の対処方針 「核抜き・本土並み」  ニクソン政権下のNSC  NSSM5号  NSDM13号 3 作戦使用と事前協議 愛知・ロジャーズ会談(1969年6月)  共同声明抜粋案と総理の一方的発言案  米側共同声明案  韓国・台湾・ベトナム 4 共同声明・総理の一方的発言 安保条約の原則  韓国条項  台湾条項  ベトナム条項  朝鮮議事録の存続 第5章 沖縄への核持ち込み――一九六九年沖縄核持ち込み密約 1 沖縄返還交渉と核問題 日米の立場  第二次日本案  苦悩する佐藤首相  「会談録」  日本側最終打合せ 2 密使・若泉敬の再起用  政治的ホットライン  佐藤首相の曖昧な返答  繊維問題  スタンズ・ペーパー  ホイーラー・ペーパー 3 核抜き交渉  佐藤首相案と若泉案  手続きに関する申し合わせ(シナリオ)  「核抜き」合意 4 核と繊維  合意議事録草案  草案の確定  合意議事録への署名  難航する繊維問題  軍部の説得 終 章 密約が交わされる構造と深層 密約の特徴  密約の残した影響  密約が明らかにした課題   密約の教訓  日米密約の根源 あとがき / 密約資料 / 参考資料 日米密約史 関連年表

ユーザーレビュー

  • 日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

    Posted by ブクログ

    新書にしておくのはもったいない。日本の外交史の資料として永久保存版にするべき良書である。日米の公開文書から密約に関する史実をまとめているのだが、著者のリサーチの努力には頭が下がる。大量の文書を読み解き、整理し、我々に分かりやすく、戦後の外交で何が起こっていたのかを解説している。分かりやすくというのは著者も新書であることを意識したのだと思うが、大成功である。久しぶりに読んでいて興奮した本だった。そして、国会等での答弁が薄っぺらくなる原因も分かったような気がする。密約は他にもあるのだろう。つまり、日本はまだ米国の占領下にあるのだ。

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    2026年07月18日
  • 日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

    Posted by ブクログ

    ●現在の国際秩序は、17世紀半ばに成立した主権国家体制を基礎としている。

    【1.刑事裁判権放棄密約】
    日米の密約の一つとして、刑事裁判権放棄密約が挙げられる。日本政府は、米兵に対する裁判権の行使に例外があることを国民に十分説明せず、批判を避けるため政治的な秘密として扱った。

    アメリカ側は、いわゆる「砂川陳述」の公表を日本側に求めていた。日本で米兵が裁かれる事件が限定されていることを明らかにできれば、他国との地位協定交渉でも有利に働くと考えていたためである。

    一方、日本側は野党からの批判や政権運営への影響を恐れ、公表に応じなかった。したがって、この非公表の取り決めが、密約の存在を外部から確認することを困難にした要因の一つになったと考えられる。

    また、過去10年間の日本人と米兵の起訴率を比較すると、日本人の起訴率が39%である一方、米兵は16.7%であり、2倍以上の開きがある。

    【2.1960年の核持ち込み密約】
    1960年の日米安保条約改定に際し、日本政府は表向き、核兵器の日本への持ち込みには事前協議が必要であるとの立場を示した。

    しかし、アメリカ側は、核兵器を搭載した艦船の日本への寄港や領海通過については「持ち込み」に当たらず、事前協議の対象ではないとの立場を取っていた。

    日本側は、このアメリカ側の解釈を認識しながら明確な対立を避け、結果として核搭載艦船の寄港などを黙認する形で運用していた。このような日米間の暗黙の了解が、核持ち込み密約と呼ばれている。

    【3.1960年の朝鮮議事録】
    1960年の安保改定に関連して、朝鮮半島有事の際に在日米軍が日本国内の基地をどのように使用できるかについても、日米間で秘密の了解が形成された。

    当時、朝鮮戦争の休戦協定からまだ数年しか経過しておらず、戦争の再発は現実的な危機として認識されていた。そのため、米軍が在日基地を自由に使用できることは、アメリカの極東戦略上、譲れない条件であった。

    日本防衛を目的として在日基地を使用する場合には、補給活動であっても戦闘作戦であっても、事前協議は不要とされた。

    また、極東の平和と安全を目的とする行動の場合でも、補給や輸送などのロジスティックな活動については事前協議は不要とされた。

    一方、極東の平和と安全を目的として、在日基地から直接戦闘作戦に出撃する場合については、一応、事前協議が必要であるとの立場が取られた。

    つまり、在日米軍の行動を広く認めながら、直接的な戦闘作戦についてのみ事前協議を必要とする仕組みであった。

    【4.1969年の沖縄核持ち込み密約】

    沖縄返還交渉における最大の争点の一つが、沖縄から核兵器を撤去する「核抜き」の問題であった。日本政府は、「核抜き・本土並み」を沖縄返還の原則として掲げていた。

    一方、アメリカが重視していたのは、単に核兵器を撤去することではなく、非常時に再び沖縄へ核兵器を持ち込める余地を確保しておくことであった。

    その結果、平時には沖縄から核兵器を撤去する一方、重大な緊急事態には、事前協議を通じて核兵器を再び沖縄へ持ち込むことを可能にする秘密了解が形成された。

    この秘密了解は、佐藤栄作首相とニクソン大統領との間で極秘に交わされたものであり、一般に1969年の沖縄核持ち込み密約と呼ばれている。

    【まとめ】

    戦後の日米関係には、「表」と「裏」という二つの側面が存在し、密約はその「裏」として機能してきたと考えることができる。

    表向きには、条約や協定といった公的な枠組みが整備される一方、その水面下では、限られた政治家や官僚だけが把握する取り決めが交わされていた。

    密約は、いわば外交上の便宜や現実的な必要性から生み出されたものである。

    アメリカにとっては、自国の軍事戦略に沿って、米兵の法的保護や軍事作戦の自由度を確保し、極東における安全保障秩序を維持するための手段として機能した。

    一方、日本にとって密約は、表向きには日米の対等性や非核政策などを国民に示しながらも、現実にはアメリカの戦略的要請を受け入れ、日米同盟を安定的に維持するための調整装置として機能してきたと考えられる。

    つまり、戦後の日米関係における密約とは、日米同盟の現実的な運用と、国内向けに掲げられた原則との矛盾を埋めるための仕組みであった、とまとめることができる。

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    2026年08月17日

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