ローマ帝国が分裂し、東ローマ帝国はビザンツ帝国と
呼ばれるようになり、千年余に亘って存続した。
そのビザンツ世界に生きた人々の姿を豊富な史料から読み解く。
・カラー口絵8ページ
・はじめに
第1章 皇帝 第2章 宦官 第3章 修道士
第4章 大土地所有者 第5章 知識人 第6章 庶民
第7章 隣人がみたビザンツ
・あとがき
付録 人名索引、史料索引、略年表、ビザンツ皇帝一覧、
コンスタンティノープル総主教一覧、文献一覧、
史料解題有り。
ビザンティンドリーム。
努力、運とチャンス、行動力があれば、農家出身であれ、
奴隷であれ、皇帝やコンスタンティノープルの総主教、
テマ長官への道は実現可能だった。
究極の夢の、皇帝。
地上における神の唯一の代理であると同時に独裁者たる現実。
賢帝あれど愚帝あり。だが皇帝に成れども暗殺、
処刑などにも至る。特に両眼をえぐり取られる刑は悲惨。
宦官は、ビザンツ社会では当たり前の存在。
一般上流家庭にも使用人として雇用されていた。
宮廷宦官は、侍従になれば奴隷は自由身分に。
皇帝の信頼と寵愛で出世。奴隷でも貴族に。
キングメーカーにも成れる。自由市民の宦官志望もあった。
聖職者の修道士宦官は、宮廷宦官とは対極的に
聖なる人として尊敬された。総主教や聖人と成るものも。
修道士は、現世から離脱し厳しい環境で修行し、神と対話。
カリスマ性と民衆から認められた権威を持つ。
集団での修道院の共同生活と修業は世俗化の問題が。
重税から逃れるために修道士になった者もいた。
一方で総合福祉施設への変容も見られた。
大土地所有者は、納税で国家を支える。政府の要職に就き、
皇帝座を射止める者も輩出した。
知識人は、層が厚く幅広い。様々な教員と学者たちの存在。
古典ギリシャの学芸全般の知識と古典ギリシャ文化への
理解が要。独自のビザンツ文化が形成されてゆく。
庶民は、自然現象が神の意向。神の怒りの地震と大噴火、
ペスト、戦乱が日常を脅かした。身を守るためのお守りと占い。
それでも日々の楽しみはある。祝祭と市、ローマ風呂、
ダンスにパントマイム、売春による性交渉、居酒屋と賭け事。
千年余に亘って存続の国を隣人はどう見てたのか。
北方は、バルカン半島の異民族で異教徒。
進んで先進国のビザンツ帝国の影響化に。
東方のペルシャ人は同等の支配者と認め合っていた。
アラブ人は戦闘を繰り返しながらも平和的交流もあった。
トルコ人からはビザンツは征服の対象。
西方の多くはビザンツとの交流を欠き、
教会分裂の元凶と見なしていた。
ビザンツ帝国の人々に焦点を当てたという視点が良かったです。
記録に残る様々なエピソードが面白かったし興味惹かれました。
しかしながらビザンツ帝国は千年余に亘って存続。
同じような名前が多いこと、自分の知識が追いつかないこと、
貸出延長しても難解でした。せめて、テマ制度については
解説が欲しかったです。