ジョヴァーニ・マルチンスの作品一覧
「ジョヴァーニ・マルチンス」の「太陽に撃ち抜かれて」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
ブラジルのファヴェーラについて、余り知識は無い。映画『黒いオルフェ』を視たことがある程度。
軍と自警団の腐敗ぶりについては、別ソース(主にFacebookの当地のひとたち)から仄聞していた。
……が、ファベーラ内部側からの描写された物語、に遭遇したのはこれが初めてで、衝撃であった。
文句なしの星5つ。
当然ながら大麻、コカイン、クラック、香水やLSDといった違法薬物が登場する。観光地で嗅いだ、あの腐った藁みたいな大麻の匂いが鼻に甦る。
それらを差し引いても、短編各話に現れるファベーラの暮らしには心が震える。
つつましく暮らしたいだけの人々。小学生の無邪気ながらも、彼らなりの世間体を感じる心。売り場(薬物の)の売人にも、非合法は非合法なりにある『ルール』と疎外。
語られる物語に、
「教育を受けていれば解決策を他にも考え付けるのでは?」
という疑問を浮かばせたり、
「このどん詰まりの状況はたとえ教育があっても無理なのでは?」
と絶望を感じたり。
地球のほぼ反対側の、共通する部分がほとんどない社会なのに、似たような通過儀礼やら心の動きに、新鮮な共感を覚えたり。
色々な方向に心を動かされる、とても優れた物語が詰まった短編集であった。
『ロシアンルーレット』のバカガキは、彼、ぜったいまたやると思う。
Posted by ブクログ
短編形式で、1作1作は短いが彼らの人生を感じるようなリアルな1冊。渇きが、ある。
気温が高く、人との関わりも濃い、薬をキメれば熱は増幅し、世界は膨張する。その退廃感、情熱。しかし冷たい。熱を帯びた銃を冷蔵庫で冷やすかのような温度をもつ物語。口語の自由さは、細部の違和感を押し流し、乱雑な世界への没入を強める。
ヤクがなくなればリオデジャネイロは止まる、ヤク中の女は歯が無いのでフェラがうまい、体制の悪夢は死を恐れない、こちらからすれば有り得ない日常を突きつけられ、自分が小さくみえる。もっとおおきく物事を捉えても良いのかもしれない。海外作品に触れる醍醐味を鮮やかに感じられる1冊。
限りなく透明に近いブルーが好きな人には特にオススメ。