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「ダニエル・アラス」の「なにも見ていない ――名画をめぐる六つの冒険」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ダニエル・アラス」の「なにも見ていない ――名画をめぐる六つの冒険」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
これは面白い!
本書は、美術史家の著者が、名画の「細部」にこだわりにこだわり、その意味するところは何なのかを自在に論じたエッセイ風の論考である。
具体的には、ティントレット《ウルカヌスに見つかったマルスとウェヌス》、フランチェスコ・デル・コッサ《受胎告知》、ブリューゲル《東方三賢王の礼拝》、ティツィアーノ《ウルビーノのヴィーナス》、ベラスケス《ラス・メニーナス》の五作品と、あわせてマグダラのマリアの髪はなぜ長いかを論じた一編の計6編の論考が収録されている。
例えば《受胎告知》では、絵の縁をカタツムリがツノを出して歩いているのが紹介され、このような神聖な場面でなぜカタツムリが登場しているのか、それは何を含意しているのかが考察され、《東方三賢王の礼拝》では、バルタザールやメルキオールがややコミカルに描かれているのに対し、黒人のガスパールは堂々と威厳をもって佇まいで画面右端に立ち、強い眼差しで何かを見ているのだが、その描き方は何を意味しているのかが順々と検討されていく。また《ウルビーノのヴィーナス》では、マネの《オランピア》と対比させながら、その画面構成の革新性を鮮やかに解き明かしていく。
これまで自分が、名画と言われるものを、素通りに近い形で絵を見てたきたのかをまざまざと思い知らされてしまった。
本文は、書簡体、対話調、独白形式と様々だが、全体に軽いタッチで論じられていて、訳文もかなりくだけているので、とても読みやすい。ただ、最後の《ラス・メニーナス(女官たち)》は、フーコーの議論も取り上げられているのだが、論旨が良く分からなかったのが残念。