哲学者って何の役に立つのだろう?いや、哲学って何の役に立つのだろう?
いや、学問を「役に立つ」「役立たない」で、分けることこそナンセンス。人格形成に役立つ学問などいくらもある。とはいえ、哲学ってなに?じゃあ哲学者は、世の中に何をもたらしたの?と正直モヤモヤした部分がある。
で、ライプニッツである。もっとわからない。正直教科書で見た覚えがない。紹介されてたっけ。ドイツの哲学者、数学者、博学者。 あら、すごい肩書だ!「ルネ・デカルトやバールーフ・デ・スピノザなどとともに近世の大陸合理主義を代表する哲学者である。」代表ときたぞ代表。すごい傑物なんだ。
ん、でも、すごいって、誉め言葉として平凡だな。何がすごいんだろう。微分積分の代表的な記号を発明。そりゃ確かにすごい。でも高校時代数学苦手だったから、感想は薄い。ごめんね。2進法の研究もライプニッツの功績、更には機械式計算機を考案。おや、これ、いわゆる、パソコンのはしりだよね?未来を見通す力があったということか。
後出しじゃんけんでずるいとは思うが、ヴォルテールの『カンディード』で批判されている。もとは彼の
「起こりうる世界が無限にある中で最善がこの世界であり、そうでなければ神はそもそも世界を作ろうと決心しなかった」
という説である。哲学者でありながら、あまりにも楽観的というわけだ。もっと現実を見なさい、今の社会、本当に最善と言える?と。
哲学者といえど、霞を食べているわけではない。ハノーファー選帝侯(ブラウンシュヴァイク=リューネブルク家=ハノーファー)ゲオルグ・ルートヴィヒに仕える。ところが、このいち君主が、日の沈まぬ帝国の王になる。イギリスで又従妹のアン女王が崩御してステュアート朝が断絶すると、母のゾフィーがステュアート家の血筋だったことから、54歳でグレートブリテン王国の国王ジョージ1世として迎えられたのだ。おや、これは、晩年のライプニッツにとっては、とんでもないラッキーが舞い込んできた!ブラウンシュヴァイク家は、ライプニッツが廷臣としての職務とは無関係な知的探求への没頭を容認・黙認してきた、稀有な主君だった。国王なら、この上ないスポンサーだ!
…はずであるが、本人も期待していたにも関わらず、大庭帝国に招かれることはなかった。実はヴェルフェン家の家史編纂を命じられていたが、なかなか完成しなかったのだ。依頼者は、単純に、家格を上げて皆に広めたい欲求を、書物で満たしたかった。しかし、ライプニッツは史料と綿密な調査に基づいた、いわゆる完璧な書物を作りたかったのだ。クライアントの欲求を満たしてナンボなのに、自分の欲求に走ってしまったため、生前完成しなかった。学者あるあるだ。
おや、何だか、人間くさくなってきたぞ。哲学者ってお堅いイメージなのに、全然人生をうまく渡れてない。そして、最善な世界のはずなのに、自分にとって、全然最善じゃないぞ。どうやって、自分の人生と最善世界の釣り合いをとったのだろう?
彼の70年の生涯から、岐路となった7日間を取り上げて構成。