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「天野衛」の「引き裂かれた自己 ――狂気の現象学」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「天野衛」の「引き裂かれた自己 ――狂気の現象学」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
統合失調症及びその前段階の統合失調気質について、実存的に、つまり無意識やリビドーなどの概念で一方的に論ずるのではなく、我々及び当事者が理解・追体験可能な現象として分析している点が優れている。ただし、異常な状態をそのまま受け入れるのではく、病理は病理としてはっきりと問題視する。
レインは統合失調(精神分裂)の状態として特に、自己(自意識)と肉体の間の分裂を重視する。正常な人間は「(自己/肉体)⇄他者」であるが、統合失調気質では「自己⇄(肉体/世界)」であるという図式は、明快であり鮮烈である。
他にも、「存在論的安定」と「存在論的不安定」の区別、存在論的不安定の形態である「呑み込み」「石化」
Posted by ブクログ
「引き裂かれた自己」には、一方で「世界」との間に、他方で「自分自身」との間に二重の亀裂がある。その結果、他者「とともに」ある自己として生きることができず、世界の中でくつろぐ自己を実感することもできない。世界との亀裂、即ち他者との断絶は、「本当の自己」を守ろうとする絶望的なあがきと言ってよい。彼/彼女にとって他者とは自己の存在を脅かす恐ろしい存在なのだ。だがそれは同時に自己が自己であることを承認してくれる存在でもある。他者から孤立した自己は自己を自己として確証することができない。即ち他者からも自己からも切り離された存在、それが統合失調症である。
比喩的に言えば、他者によってただの物に貶められる
Posted by ブクログ
星5つでは足りないくらい素晴らしい。
本を読み慣れていない人、学術的な文章に慣れていない人には難しいだろうけれど。。自信のない人はネットで買う前に実物をパラパラ捲ってみたほうがよい。逆にこういうのが好きな人、理解できる人には名著と感じられるはず。
「存在論的に不安定な人」
これは統合失調症だけでなく、うつ病患者などにも当てはまるところが多いと思う。
その表現は的確で無駄がなく、また「存在論的に安定した人」との対比も非常にわかりやすい。読みながら何度も頷いてしまう。
たとえば
「存在論的に不安定な人は、自己を満足させることよりも、自己を保持することに精一杯なのだ。普通の生活環境が彼の安定性