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  • 一銭五厘たちの横丁
    4.5
    戦後30年を前にした東京・台東区の下町で、著者は、戦時中に桑原甲子雄により撮られた「氏名不詳」の人びとを探して、ひたすら露地を歩き、家の戸をたたいた。そうして探し当てた彼らが語ったのは、戦場と横丁、それぞれに降りかかった「戦争」だった。写真の留守家族たち、一銭五厘のハガキで出征した横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録したルポルタージュの名著。 解説 鶴見俊輔/児玉也一

ユーザーレビュー

  • 一銭五厘たちの横丁

    Posted by ブクログ


    昭和18年、横丁からラッパと日の丸小旗で送られ出征した兵士(召集令状のハガキに張られた切手にちなみ本書では「一銭五厘」と呼ばれる)たちの留守家族を写した写真を手に、30年後の昭和48年、著者が横丁に分け入り氏名不詳となった人々の足跡をたどるルポ。屈託なく笑う少年、恥ずかし気に微笑むお嬢さん、どういう顔をすればよいのか戸惑うような初老の親たち…一張羅で、普段着で、横丁の玄関口や小学校でアマチュアカメラマン氏の写真に納まる人々の今日では想像も及ばぬほどの波乱万丈な人生の一端が著者の足でコツコツと明らかにされるさまに、読んでいて心がわしづかみにされてしまう。
    「人生とは茫洋としたもの」と振り返る元

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    2025年07月01日
  • 一銭五厘たちの横丁

    Posted by ブクログ

    児玉隆也・著、桑原甲子雄・写真『一銭五厘たちの横丁』ちくま文庫。

    1975年に晶文社より刊行され、同年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したルポルタージュが、2000年刊行の岩波現代文庫版を底本に復刊。

    戦時中の昭和18年、僅か一銭五厘の葉書で東京の下町から出征した戦地の兵士に送るために、在郷軍人会の桑原甲子雄が撮影した留守を預かる家族の写真99枚を手にして、児玉隆也が戦後30年の東京の下町で『氏名不詳』の人びとを訪ね歩いたルポルタージュである。

    驚いたのは30年後に『氏名不詳』の写真を見た下町の住民らが、その人物がどこの誰であると覚えていたことである。テレビの人気番組『ポツンと一軒家』

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    2025年06月20日

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