営業は属人化を避けるためにプロセスマネジメントをしよう!がテーマ。
第一章プロセスマネジメントについてがとにかく良かった。むしろそれだけで1冊の価値がある。
プロセスマネジメントこそ営業管理の真髄であり、学習していたつもりだったが、見事に言語化されていた。
KPI設計の体系化や「キーアクションの設計」という要素は勉強になった。
BtoBの営業マネジメント本ではあるが、BtoCにも活かせる要素ばかりであり、名著。
▼プロセスマネジメント(行動・プロセスの設計)
営業のマネジメントのプロセスを7つ(アプローチ→案件化→提案実施→受注交渉→受注→契約→計上)に分け、そのメソッド一つひとつでどう対処すべきかが示されている。
プロセスを切り分けることで、どこに問題があるのかが発見しやすくなるとともに、抽出した課題に対して効果的な施策が打ち出しやすい。さらに、再現性高くパフォーマンスがだせるよう営業活動を標準化できる。
#プロセスマネジメントを落とし込むために
①全体を俯瞰する
②ゴールから逆算する
③重点を決める(影響度が大きく短期間で成果があがる領域を決める)
④KPIを設定する(成果を測るためではなく、過程を正すために必要不可欠)
#KPIの設計方法
プロセスマネジメントでは、量のマネジメント × 質のマネジメント を行う。
まずは、KPIを設定するために以下を定める。
ターゲット数 × アポイント率 = アプローチ数(KPI)
アプローチ数 × ニーズ掘り起こし率 = 案件化数(KPI)
案件化数 × 提案率 = 提案実施数(KPI)
提案実施数 × 導入検討率 = 受注交渉数(KPI)
受注交渉数 × 受注率 = 受注数(KPI)
受注数 × 案件単価 = 受注額(KPI)
営業プロセスごとに必要な要素を分解する(左)。プロセスは業種業界商品によって異なるので、全体を俯瞰して出すこと。そこに想定できる率を設定する。
最後に、ゴールから逆算して、適切なKPIだと思われるものをあぶり出す。
現場で営業を回しながら、大きく動かせる変数と変わらない・変えにくい数字を見抜き、適切なKPIへと昇華していく。
#効果的なプロセスマネジメント
プロセスデザインを徹底させるには、プロセスごとの定義とゴール条件を明確にする。誰が見ても認識がずれないようにする。
そして重要なのは、プロセスごとのキーアクションを設定すること。次のプロセスに進むためには、何をすれば確率が高まるかをキーアクションとする。
逆に次プロセスに移行しづらいアクションは改善・変更すべきである。例えばお客様が要望する内容を提案するのはどこでもやっているが、お客様の常識を覆すエビデンスを紹介する、といった行動変容を検討する。
ちなみに、すべての案件が同様のプロセスになるわけではない。
あくまでも全体をみれる地図としてプロセスマネジメントを行い、クライアントごとの管理は顧客マネジメントで行う。
#プロセスマネジメントはメンバーができないと効果的に進捗しない
「①進捗管理」「②行動管理」「③案件管理」「④重点顧客管理」はメンバーが勝手に行えるように教育する。
プロセス管理は進捗を確認するためにあらず、メンバーの自立心を育み、逆算思考を自然に育てるために存在する。
まずは①進捗管理 ②行動管理ができるように落とし込むと、マネージャーはアラートを受け取りゴールに導きやすい。
問題は「行動量」と「質」の観点で捉え、できる限り根性論の行動量以外の要素を助言できるようにする。
▼顧客マネジメント(関係性と案件攻略)
既存顧客と新規顧客のバランスを最適化し、チームの重点顧客と「1年後にどういう理想の関係を築くか」を描く。
また、顧客の「意思決定ユニット(キーマンの繋がり)」や「潜在ニーズ」を把握し、個別に案件を攻略すること。
大切なのは、「案件を評価できるようにすること」「適切なアクションを考えること」「期限設定」「期限までに白黒つけるように進捗させること」
#顧客マネジメントの評価ポイント「BANT-C」
Budget 予算:お客様は費用を確保していますか? もしくは確保しようとしていますか?
Authority 決裁者:接点を持っているお客様は稟議を承認するための決裁権限をもっていますか? もしくは決裁者に強く影響を与えますか?
Needs ニーズ:お客様のニーズは、明確に顕在化していますか? もしくはぼんやりと顕在化していますか?
Timeframe 導入時期:課題を解決するために対策を導入する時期は決まっていますか? もしくはこれから決める予定ですか?
Compelling event 購入必然性:課題を解決することはお客様にとって必然性が明確にありますか? もしくは少しでも必然性がありますか?
▼人材マネジメント(育成とマネジメント手法)
部下の特徴や状況に合わせて、育成計画を個々でカスタマイズして、「プッシュ型(主導・指示)」と「プル型(引き出し・コーチング)」のマネジメントを使い分け、自立して成果を上げられるよう育成する。
重要なのは以下。
・メンバー1人ひとりの価値観と、営業を通じた仕事の “よろこび” を同期する
・メンバー1人ひとりと向き合い、個々の成功にコミットすることで成果を最大化する
・メンバー1人ひとりと向き合い、伴走しながら各人が持つ可能性を最大限に引き出す
そのために以下を狙ってアウトプットすることが重要
・ピグマリオン効果(他者から期待されると、その期待に沿った成果を出す傾向にある)
・ストローク(あなたがそこに存在していることを、私は認識している)
▼市場マネジメント(ターゲットの選定)
限られた営業リソースをどこに集中すべきか、攻めるべき市場や担当配置の考え方を最適化し、効率よく成果を最大化する。
「市場分析」→「セグメンテーション」→「ターゲティング(市場)」→「ポジショニング」→「ターゲティング(顧客)」という順で市場を見る。
▼戦略マネジメント(戦略の立案と実行)
組織としての売上目標や方針を、単なる数字の押し付けではなく、現場のメンバーが具体的な行動に落とし込めるレベルの「実行可能な戦術」へと翻訳する。
売り先、売り物、売り方、メンバー、仕組み、マネジメントの6要素から検討する。
▼組織マネジメント(チームの活性化)
個々の営業が孤立して戦うのではなく、チーム全体でノウハウを共有し、お互いに高め合える「強いチーム(組織)」としての体制やカルチャーを構築する。
重要なのは、「チームビジョンを定める(目標数値だけではなく意義付けや方向設計)」「チームNo.2を育成すること」。
営業組織においてマネジャーが意識すべきは、人材マネジメントで見た「個の力を伸ばして貢献するメンバーを育てること」に加えて、「個の力をさらに伸ばすために、チームのシナジーを創出すること」の両方。
組織マネジメントとは、自チームのビジョン・戦略に基づいて組織を導き、人と人の「関係性」や「相互作用」を強化することでチームのポテンシャルを最大限に引き出すことである。
表面には表れていない深層的な理解を深めるには、2人が対話を重ねて、仕事で大事にしていることを知る丁寧なコミュニケーションが欠かせない。
そうすれば、相手に対して無用な不信感やネガティブなイメージを持たずに済む。
他のメンバーがどんなことを考え、どんな気持ちで仕事をしているのか、相互理解を深めることが大事。
しかし、理解するだけではチームの本質的な協力は生まれにくい。その上にある「相互尊重」ができるメンバーを増やし続けることが肝要。
相互尊重とは、他者の個性や価値観を認め、違いを受け入れること。他者を尊重する姿勢が広がることで、どんな意見にも肯定から入りやすく一体感が高まる。
優秀な社員がいることが組織の成功を導くのではなく、価値観の共有が組織力を強める最大の要因である。
#期待役割を明確にする。
まずは、No.2の期待役割(期待成果)を明確にして、次にメンバー全員の期待役割を明確して伝えること。
人は期待に答えたい生き物なのはもちろん、何を頑張ればよいのか明確になったほうが人は伸びる。
期待役割が明確になれば、お互いに現状認識や改善も行いやすい。
#心理的安全性
組織マネジメントで気をつけたい心理的安全性について。
Google社が行った調査では、組織の中で自分の考えや意見を、誰に対しても発言しやすい「心理的安全性の高いチーム」の方が、より高いパフォーマンスを出せると公表後、すでに多くの人に認知された組織論になった。
しかし、心理的安全性ともてはやされた結果、職場によっては心理的安全性を拡大解釈し、いわゆる「ヌルい組織」になっているケースが散見される。
大切なのは、心理的安全性を目的としないこと。そもそも心理的安全性とは、学習する組織をつくるための用語の1つにすぎないため、目的は悪魔でも学習する組織づくりである。
・チームとしての戦略を定義
・メンバーの役割を定義
・メンバーの現状と理想のギャップを認知させる
・目的と到達する強い意志を見せ続け共感させる
ことを踏まえ、傾聴してティーチングやコーチングができるのであれば、心理的安全性など気にする必要はない。
学習する組織を創る過程で、自然と出来上がるのが心理的安全性である。
▼ビジョンマネジメント(方向性と動機付け)
チームが目指すべき長期的なビジョンを掲げ、メンバーのベクトルを同じ方向に合わせる。
ただ数字を追うだけでなく、「なぜこの仕事をやるのか」という動機付けを行うべき。なぜなら、人は理や感情だけでは動かないから。
「営業活動の先に何があるのか」「会社や組織はどうなっているのか」を見せたり、「自分たちが今やっていることは、将来の何につながり、どんな経験や成長を得られるのか」を掲げて、できる限り個と組織のベクトルを一致させるべきである。
逆境に直面したとき、「なぜ私たちは、自らを厳しく律して営業活動をしているのか」について、根源となるビジョンに立ち返ることで、息切れしそうな局面を乗り越えることができるはず。
ビジョンとは「将来における理想の状態」を指し、「いつまでに、どのような姿を目指すのか」を描くものです。
ビジョンの効果を高めて成果を上げるには「目指したい姿」を明確にし、期限をもうけ、組織全体で共有し続けることが不可欠。