作品一覧

  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治
    値引きあり
    4.1
    1巻1,655円 (税込)
    そんな言い訳通用しません! 「そんなつもりはなかった」という言い逃れ、「誤解を招いたとしたら申し訳ない」「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」という謝罪もどき、「広く募ってはいたが募集はしていない」のような言葉の意味を捻じ曲げる試み、「選挙が盗まれた!」「フェイクニュース!」という挙証なき放言、「うちでネットフリックスでも見ない?」などの言外の意味や隠語による駆け引き、「差別するつもりはないんだけど…」「これはオフレコだけど…」「小説家のSFと考えてください」と予防線を張ったうえであからさまな差別発言をする〈イチジクの葉〉……言葉と責任の関係をあやふやにしようとする企みは、事例に事欠くことがない。 こうした発言の何が問題なのか、言葉と責任の関係はどうなっているのか、そしてそれらの発言が図らずも明るみに出す言葉とコミュニケーションをめぐるある真理の裏面とは何であるのか――。 言葉が溢れ、さまよい、傷つける時代に、気鋭の言語哲学者がデザインする、本当に豊かなコミュニケーションのかたち。 [目次] はじめに 第一章 「そんなつもりはなかった」 第二章 言質を与える――言行一致の責任 第三章 意図しない表の意味・ほのめかされる裏の意味 第四章 なぜ言わなくても伝わるのか――グライスの語用論 第五章 なぜ思いもよらないことが伝わってしまうのか――誤解と文脈 第六章 誤解じゃないって本当にわかるんですか?――知識と意味の否認可能性 第七章 「いいね」と「そんなつもりはなかった」 第八章 多様化する意味の否認可能性 第九章 犬笛とイチジクの葉 第十章 揺らぐ表と裏の境界線 第十一章 誤解だけど誤解じゃない――聞き手の意味 第十二章 言葉の意味を捻じ曲げる 第十三章 意味の遊びと意味の交渉 第十四章 「誤解を招いたとしたら申し訳ない」 おわりに 注 文献表 あとがき

ユーザーレビュー

  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    これは読み応えのある凄い本だ。

    取り上げる言葉の事例は日常生活にある馴染みのあるものばかり。
    会話の中で繰り広げられる言葉の応酬から、「誤解」を引っ張り出し、
    これらを多面的に分析している。
    非常に興味深い。
    ものすごく学術的だが、何とかついていける。置いていかれずに済む。
    日常使っている言葉だからだ。
    その言葉にこういう意味合いがあろうとは、、、

    2006年に惑星の定義が変わり、冥王星が惑星でなくなったくだり。
    冥王星が惑星で亡くなったのはニュースで知って、
    すいてんちかもくどってんかいめい が言えなくなる、と驚いたが、
    その原因が定義の変更とは知らなかった。
    もっといえば、定義を変更し

    0
    2025年11月12日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    タイトル表紙から受けるライトな印象とは裏腹に、言語哲学とかの話になるので慣れていない人は読みにくいかも。
    個人的はギャップに恐れ慄きつつ、読み進めれば後半は腹落ちしやすい結論に導いてもらえるのでとても良かったです。
    言語コミュニケーションってとっても複雑で多様な様相を持ちつつ全人類が普遍的に運用してるの凄いなと思います

    0
    2025年07月17日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    佐藤信夫のレトリック論を思い出しながら読んだ。生成AIはやはり大きい。聞きたいことを聞かせようとするネットと、どう付き合えばいいのだろう?政治の言葉でこれが書かれるのが今ならではか。P276連帯させるためか分断させるためか。細かな違いに気づかせるか一緒くたにするか。反省を促すか邪魔するか。どっきりかうっとりか。弱いものが異議申し立てをするためか強者がヒトをコントロールするためか。申し立てとしての揺さぶり、誤用的な使い方。

    0
    2025年06月11日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    政治の場面でよく見受けるこの言葉に違和感を持つ人は多いかと思う。立場上、事実を肯定出来ない場合に用いられる「条件付き謝罪」であるからだ。会話における含みや余地を丁寧に解いた本書はリスクマネジメントの一助ともなるだろう。

    1
    2025年04月13日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    第一章 「そんなつもりはなかった」
    これだけは押さえておきたい本章のポイント
    ・「そんなつもりはなかった」という言い訳は、言質を回避する無敵の言い訳ではない。他方で、そうした言い訳が通用する場合もある。謎は、その違いがどう生じるかだ。


    第二章 言質を与える――現行一致の責任
    ・意図していないことを意味することはない、というのは一般論としては間違っている。人は意図しないことを意味することがあり、その種の意味については「そんなつもりはなかった」という言い訳によって言質を逃れることはできない(第三章)。
    ・他方で、意味したかどうかが意図したかどうかに左右される場合もある。そうした場合の典型例とし

    0
    2025年08月23日

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