藤川直也のレビュー一覧

  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    これは読み応えのある凄い本だ。

    取り上げる言葉の事例は日常生活にある馴染みのあるものばかり。
    会話の中で繰り広げられる言葉の応酬から、「誤解」を引っ張り出し、
    これらを多面的に分析している。
    非常に興味深い。
    ものすごく学術的だが、何とかついていける。置いていかれずに済む。
    日常使っている言葉だからだ。
    その言葉にこういう意味合いがあろうとは、、、

    2006年に惑星の定義が変わり、冥王星が惑星でなくなったくだり。
    冥王星が惑星で亡くなったのはニュースで知って、
    すいてんちかもくどってんかいめい が言えなくなる、と驚いたが、
    その原因が定義の変更とは知らなかった。
    もっといえば、定義を変更し

    0
    2025年11月12日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    タイトル表紙から受けるライトな印象とは裏腹に、言語哲学とかの話になるので慣れていない人は読みにくいかも。
    個人的はギャップに恐れ慄きつつ、読み進めれば後半は腹落ちしやすい結論に導いてもらえるのでとても良かったです。
    言語コミュニケーションってとっても複雑で多様な様相を持ちつつ全人類が普遍的に運用してるの凄いなと思います

    0
    2025年07月17日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    佐藤信夫のレトリック論を思い出しながら読んだ。生成AIはやはり大きい。聞きたいことを聞かせようとするネットと、どう付き合えばいいのだろう?政治の言葉でこれが書かれるのが今ならではか。P276連帯させるためか分断させるためか。細かな違いに気づかせるか一緒くたにするか。反省を促すか邪魔するか。どっきりかうっとりか。弱いものが異議申し立てをするためか強者がヒトをコントロールするためか。申し立てとしての揺さぶり、誤用的な使い方。

    0
    2025年06月11日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    政治の場面でよく見受けるこの言葉に違和感を持つ人は多いかと思う。立場上、事実を肯定出来ない場合に用いられる「条件付き謝罪」であるからだ。会話における含みや余地を丁寧に解いた本書はリスクマネジメントの一助ともなるだろう。

    1
    2025年04月13日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    第一章 「そんなつもりはなかった」
    これだけは押さえておきたい本章のポイント
    ・「そんなつもりはなかった」という言い訳は、言質を回避する無敵の言い訳ではない。他方で、そうした言い訳が通用する場合もある。謎は、その違いがどう生じるかだ。


    第二章 言質を与える――現行一致の責任
    ・意図していないことを意味することはない、というのは一般論としては間違っている。人は意図しないことを意味することがあり、その種の意味については「そんなつもりはなかった」という言い訳によって言質を逃れることはできない(第三章)。
    ・他方で、意味したかどうかが意図したかどうかに左右される場合もある。そうした場合の典型例とし

    0
    2025年08月23日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    著者は「言語哲学」を専門とする文学博士で、東大大学院の准教授。
    実際にこんな内容の授業をしており、その内容を基にこの本を作り上げたそうだ。

    日頃から感じていた「政治家たちの無責任な発言」と「責任を取らない振る舞い」に焦点を当てている。

    著者の主張は「発言には責任が伴う」ということだ。
    政治家は責任逃れの常套句を使う、もしくは、最初から発言を拒否する。

    トランプ大統領は批判に対して一言「フェイクニュース!」と発し、強引に排除するだけだが、日本人の多くは発言の否認を試みる。

    その代表が「誤解を招いたとすれば申し訳ない」だ。
    誤った発言内容の責任逃れのため、「誤解を招いた」ことに問題をすり替

    0
    2025年07月05日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    言語哲学者の書いた本なので抽象的なところや理論的なところが多く、タイトルから想像するような面白い本ではない。
    「誤解を招いたとしたら申し訳ない」については「条件つき謝罪」であり「謝罪」ではないとしている。
    無条件の謝罪は、①ある種の事実認定②感情の表明③改善の約束④それにふさわしい立場を受け入れる、ということ。条件つき謝罪は、自分がある種の道義を通す人だということに対する言質。
    第14章のこの部分はすっきりしていてわかりやすかった。

    【目次】
    はじめに
    第一章 「そんなつもりはなかった」
    第二章 言質を与える――言行一致の責任
    第三章 意図しない表の意味・ほのめかされる裏の意味
    第四章 なぜ

    1
    2025年04月24日
  • 誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治

    Posted by ブクログ

    著者のあとがきに専門家を対象にするものでなく、普通の人を対象にしたと書いているが、一般人にとっては十分に難解であった。ただ、多種多様な例文が出ているので、結構楽しめた。題名の『誤解を招いたとしたら申し訳ない』というのは近年政治家が責任逃れのために多用しているが、政治家がこの本を読んで理解できるはずもなく、その使用が下火になることは期待できないのは確実だろう。

    1
    2025年04月20日