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「西田博」の「刑務官へのエール」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「西田博」の「刑務官へのエール」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
私は矯正職員だが、刑務官からは遠い位置にいる。だからこそ言えるのだが、刑務官で採用された人は、中等科試験を受けてほしい。そして、『二部』と呼んで揶揄する、法務教官を経験した方がいい。理由は明白だ。受刑者を懲らしめることが目的であった近年までの刑務官像は、すでに崩壊したからだ。
この著者は、未来を案じたと思う。いずれ、立ち直り指導が強化され、刑務官たる者であっても、彼らを威圧して我慢を強いる収容の仕方が潰えていくのを。
法務教官は少年院や鑑別所で、主に未成年の犯罪者を指導する教官である。役目は多岐に渡り、担任の少年の就労や修学などの進路、帰住の調整までしなくてはならない。心理的アプローチも行うため、在院在所者の心情把握は必須スキルとさえ言える。
しかも、法務教官のパフォーマンスは職業指導に顕著に現れる。農作、園芸、溶接等の機械操作、建物の修繕や、施設の景観保護まで、すべて在院者を指導して実施する。これはひとえに、法務教官に求められるスペックがシンプルに高いからと言える。
刑務官、特に看守は、これまでは保安を強化した職員であったが、拘禁刑の導入により、発達障害や知的障害、老齢によって刑務作業が困難な者たちへのアプローチをし、立ち直り指導が必須となったことから、人員把握、視線内戒護だけの存在ではなくなった。犯罪者という括りから「社会内処遇が困難な者」という認識に移行しつつある訳だ。
この本は2014年に発行され、ほとんど世に出回っていないと思われるが、かなり先見の明が光った作品と言える。
刑務官だけでなく、若い法務教官にも呼んでほしい本だった。