アート脳
著:スーザン・マグサメン アイビー・ロス 訳:須川綾子
PHP研究所
健康・メンタル・集中力・記憶力・やり抜く力を引き上げる「アートの効用」
45分の捜索でイライラがすっきり解消
美術館が良いが認知症発症リスクを下げる
緊張したらドとソをの音を鳴らせ
瞑想と同じ効果を得られる塗り絵
記憶の定着には笑いが不可欠
20分の落書きが心を癒し、健康にする
20世紀末に神経科学という分野が誕生し、脳の理解に革命をもたらした。同時に神経美学という分野が発展したことで、脳とアートの関係を示す重要なエビデンスが次々と発見されつつあり、今後も増え続けるだろう
ほんの20分でも落書きやハミングをするだけで、心身の状態を改善できる。
美的マインドセット
身の回りのアートや美の存在に気づき、目的をもって自分の生活に取り入れる姿勢
1好奇心が強い
2遊び心がある、終わりのない探求を好む
3鋭敏な感覚を持つことを意識する4創造者もしくは鑑賞者として創造的活動に参加する意欲がある
嗅覚 嗅皮質は脳の側頭葉という感情や記憶を広く司る領域に位置している。匂いを嗅いだ瞬間に身体的・精神的な反応が強く引き起こされる
味覚1万以上もある味蕾が刺激されて電気信号を生成し、口内から脳の味覚やへと伝達する。脳のこの領域は直観的・情動的体験に関わるとされ、味覚が最も効果的に記憶をエンコード(符号化)する感覚の1つであることを説明する手掛かりになる
聴覚・視覚・触覚
ニューロンが刺激を受けて交信し、しかもシナプスの結合につながるほどのエネルギーでそれがおこなわれるかどうかは、感覚刺激の強さに依存する
サリエンシー顕著性
アートと美に関する経験がそのように特異なものであるのは、脳の接続パターンが人それぞれだからだ
わずか45分間アートの創作に取り組むだけで、大半の人々において、スキルや経験の有無とは一切関係なく、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールの低下が見られた。
自己効力感や対処能力、感情をコントロールする力を高め、心理状態を改善してくれる
ニコチンやアルコール、チョコレートなどを食べることで分泌されるエンドルフィンや神経ホルモンのドーパミン、セロトニンといった心地よさを感じる脳内科学物質によって脳内の化学反応を変え、気分を良くしようとする無益な試みだ。ほとんどの場合、ほんのわずかな間はリラックスできるが、それにもまして健康への悪影響が大きい。
「ドとソ」の音が、冷静さを取り戻してくれる
音というのは、物、空気中の分子、鼓膜の3つの要素から成り立っている
鼓膜が振動し、その振動が内耳のなかのリンパ液を振動させることで聞こえる。
エ・モーション、つまり動くエネルギーと変化を意識すればこそ、自らのコンディションをうまくとtの得ることができる
色もまた振動エネルギーであり、生物学的にも心理学的にも影響を及ぼす
20分間ほど色をぬるという単純な行動によって不安やストレスが和らぎ、充足感が高まり、気持ちが落ち着くのだ。
複数の研究によると、ぬり絵をすると外界の雑音が減って集中力が高まり、脳内で瞑想をしたのと同じような生理的反応をもたらすことがある
色を塗っている間は不安を示すすべての物理的指標が下がり、不安を感じる度合いも低下していることが読み取れた。
それぞれの色が固有の脳波の活動を促す様子を示唆する第一歩
木々や植物、水などの自然要素に接すると即座にアドレナリンの分泌量が減り、血圧と心拍数も低下する。
わずか20分ほど過ごすことで、ストレスホルモンのコルチゾールが著しく減少することが裏付けられた。
世界中で丸みを帯びた形状が好まれるのは、特定の文化や個人の嗜好にとどまるものではなく、人間の感覚運動システムにより生物学的に駆り立てられるからだ
自然欠乏症候群
韓国ではモンテリダが流行っている。韓国語でボーっとするという意味。
詩を読むとチル(=穏やかな感情)に浸れる
社会的処方
医師、心理学者、ソーシャルワーカーなどが、ストレスには歌のレッスン、不安には美術館やコンサートのチケット、燃え尽き症候群には自然のなかで散歩などを処方しているー予防と介入を行っているのである。
落書きやぬり絵、思いのままに絵を描くことは、いずれも前頭前野皮質を活性化させる。
落書きをすると、同じ職場で落書きをしない同僚たちよりも、分析力、情報の保持能力、集中力がいずれも高くなることが鵜明らかになっている
トラウマには明確な2つの要素があります。1つは身動きが取れない状態であること。もう1つは同時に切迫感があること。
トラウマは困難な出来事そのものではなく、出来事が脳と体に刻まれた状態だ。制御できないほど強い感情的な反応を経験したときに生じる。そしてさまざまな形であらわれる。
アートを利用して瞑想に近い状態を育むと、脳の前頭前野皮質の批判や個人攻撃を司る領域の活動が抑えられ、普段より寛容で大局的な視点を得ることができるのである。
絵が完成するたびに写真を撮って「手放す」
まずは描いて。完成したと思ったら写真を撮る。それからキャンバスを白く塗りつぶす。
自己批判も手放すことができる。
エクスプレッシブ・ライティングを行う
クリエイティブ・ノンフィクションもまたその一種
子どもたちのために用意された静かな場所
アートによる癒しと教育を行うプログラムHEART
3つの柱
1つ目は呼吸法や筋肉の緊張をほぐすといったテクニック。2つ目は大人の進行役による指導のもと、アートの制作をグループで行う体系的な活動。3つ目は各自がさまざまな創造的表現に取り組むフリーアート。絵を描いたり、踊ったり、粘土や布で何かをつくったりするなど、自由にアートに取り組む。
1つは6歳児が描きそうなトラ猫のまじめな絵。もう1つはなぐり描きの支離滅裂な猫の絵。両方とも素晴らしい。どちらも猫です。描いた私が猫だと言っているのだから。すべてのアートは良いアートなのです。
正しいとか、まちがっているという評価軸はありません。大切なのはできあがったものではなくその過程です。
おままごとも立派なアート活動
ギターのチューニングをしたり、1弦ずつ弾いて響きを聴いたりするだけでも集中力が高まり、その習慣とさらに調和することができます
アドヒアランスは医療現場でよく耳にする言葉で、ある人物が自分自身のケアをどれだけ主体的に行っているかを意味する
取り戻せないものや、修復できないものを失ったときは、価値観をはっきりさせることがひじょうに重要だ
音楽、歌、ダンス、演技、スケッチ、油絵、彫刻、詩、小説、エッセイ、るポタージュなど、なんでもいいからアートを実践すること
音楽の演奏は、記憶や空間認識、読み書きの能力を高める
若き音楽家たちは知的作業を行っているとき、実行機能と意思決定にかかわる脳のネットワークの活動が高まることを研究チームは明らかにしている
音楽の訓練はm、音の処理や言語発達、発話知覚、読解力を司る脳の領域の成熟を加速している
アートが若い時期の学習に関する社会的、感情的、認知的要素を増幅する
音楽家は楽器を練習してアートを習得したことで、より強いシナプス結合を築いた
純粋な笑いは、あなたの管制塔である前頭葉をはじめ脳の複数の領域を明るくし、面白いかどうかを見きわめるため、入って来る情報を開封する
ドーパミン、ソロと任、エンドルフィンと似た種類の物質が分「いつされる
ドーパミンは学習においてきわめて重要だ。目標がはっきりとしたモチベーションの維持を助け、記憶の保持に欠かせない長期記憶を蓄えるうえで役に立つ、ユーモアは学習の巨大な力である。
子どもたちが本当に学ぶべきは「6つのC」
協力、コミュニケーション、コンテンツ、批判的思考、創造的イノベーション、自信
幸福度を測る5つの指標
古代ギリシャ人は存在の豊かな状態を定義しようと試み、それを「ユーダイモニア」と呼んだ。簡単に言えば「幸福」という意味だ
5つの指標
幸福感と人生の満足感、心身の健康、意味と目的、性格と美徳、親密な社会的関係
人生に目的意識を持つと、慢性的ストレスからくる負の影響が軽減される
人生においてより高い目的があると「高齢者はストレスから速やかに回復することが予測され、これは唾液中のコルチゾール濃度により測定可能である」
レジリエンスが高まり、健康的な行動が助長され、脳と末梢の生態に有意義な変化をもたらす
持続的幸福の6つの基本的な特性について見ていく。好奇心と感嘆、畏怖、豊かな環境、創造性、儀式、斬新さと驚きである。
ポジティブ心理学PERMA
Pポジティブな感情E没頭Rポジティブな人間関係M意味A達成感
感嘆の念は複雑な感覚であり、意識と感情が高まった状態を生む
悪い出来事は肯定的な出来事よりも5倍の速さで記憶され、5倍の期間記憶として残る
ラッパーや漫画家、演劇やコメディでアドリブを行う人々の脳に同様の反応
俳優やコメディアンはステージに上がるとその瞬間に身を委ね、既成概念を手放してひたすら流れに任せる。神経生物学的にも感情的にも、フロー状態に入る。このフロー状態は前頭前皮質の活動を低下させ、脳のアルファ波を増幅させる。これは瞑想状態やリラックスしているときに生じる現象
アートが文化を創造する。文化がコミュニティを創造する。そしてコミュニティが人間らしさを創造する。
土を掘るだけで人の幸せが高まります。実際に、土を掘り起こすなどしてそこに住む微生物を吸い込むことで、脳の機能が高まり、気分が高揚することが科学的研究から明らかになっている。ガーデニングは実用的な活動だが、気分を安定させ、幸福感を生み出すホルモンとして知られるセロトニンの濃度を高める創造的表現の一種でもある。ガーデニングは想像する側にも、見る側にも効果のある、ハイブリット形式の輝かしい美的表現にほかならない。
マーチングバンドや軍楽隊、スクエアダンス
身体をシンクロして動かすと社会的絆が強化され、より強い所属感が生まれることにも言及している。研究から、人は互いにシンクロしているとき、寛容さや信頼、受容性が増す
感覚刺激と、気分と感情によって発生した神経ホルモンの混合物を通じて世界を取り込むようにじつに見事にデザインされている。