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「長坂一郎」の「クリストファー・アレグザンダーの思考の軌跡」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「長坂一郎」の「クリストファー・アレグザンダーの思考の軌跡」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
「こじらせてしまった天才」が好きです。ある道において一流の才能を発揮しているにもかかわらず、世の中の変化や自分の失敗に真摯に向き合って、時にはそれまでの自説すらアッサリと翻しても、新しくたどり着いたと感じたことを発表し続ける天才のことです。
絵画でいえばピカソとか。品質やものづくりの業界でいえば田口玄一博士とか、身近な存在でいえば咳さんとかね。
で、本書が取り扱っているアレグザンダーはそんな天才で、数学者としてやっていける頭をもって建築に挑み、「形は機能に従う」から始め、分解・枚挙・綜合でツリーを使ってシステマティックに世界を表現していたかと思うと、「いやいや、都市はツリーではない」(セミラティスだ)と言い出して認知心理学に行ってみてフォースという概念を作り、パターン・ランゲージにたどり着く。
その後、パターン・ランゲージで失敗したことから、また、思考をはじめ「秩序の本質」について考察し「センター」にたどり着くが、現実世界との闘いになってしまう……。
歴史をたどらないと何を言っているかわからない。
(実際、先日「センター」について1時間くらい飲みながら教えてくださった方がいらっしゃるのですが、さっぱりわかりませんでした)
この本は、そういうアレグザンダーの思考の軌跡を辿りながら平易な言葉で短く教えてくれるのでちょっとわかった気になります。
(たぶん本当の意味で理解はできていないと思う)
Posted by ブクログ
書名が本の要旨を見事に過不足なく言い表しており、正にクリストファー・アレグザンダーの思考の軌跡を辿ることでデザインとは何かを思索する本です。
「形は機能に従う」という言葉は、デザインに関心のある人ならば必ずどこかで聞く言葉であり、素朴にこのことについて疑いを持たず指針にする人もいることでしょうが、アレグザンダーはまずこの言葉を問い直すことから始めます。数学者として研究のキャリアをスタートさせたアレグザンダーは、形の背後にある(前提となる)「機能」をコンテクスト、フォースと意味を洗練させ、分析と綜合のプロセスを認知心理学見地から捉え直し、よく知られた『パタン・ランゲージ』においてはデザインを幾何学のフレームにおいて説明し尽くそうとしたものの挫折を味わい、最終的には超越したものと自己との一致に本質を見出す、ある種神秘主義的な(見方によってはイデア論や禅に近い)到達を得ます。
このように、1964年に『形に関するノート』を発表してから2012年に“The Battle”を発表するまでの約50年の時間における、ただ一人のみから産まれた思考であるものの、近代デザイン哲学史を一気に巡れると言えます。最終的に一見突拍子のない地点に至るように見えますが、編年体で書かれた思考史においては、あくまで科学的に考えるアレグザンダーの一貫した視点が自ずと見えてきます。
クリストファー・アレグザンダーといえば建築の人とのイメージが強く、この本も建築出版で有名な彰国社から出ているために、書店では建築のコーナーに置かれることが多いとは思いますが、デザイン学の本としては数年に一冊と言える出色の出来です。モダニズムを相対化させるヒントを多く受けることでしょう。