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ユーザーレビュー

  • 中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」

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    ネタバレ

    中村哲さんのことは2001年に知り、以後このようなたたずまいの人が同じ世界に存在しているという事実が自分の心の支えでもあり続けた。

    第一報が入った時のことは覚えている。最初は負傷したが命に別状はないという報道だったが、それでも心穏やかではいられず無事を祈っていたら数時間後に死去の報道がされた。

    著作もそれなりに読んでいたのでなにが起きてもおかしくない土地という認識はあったが、それでもなぜ、という思いは拭えなかった。ひょっとしたら犯人は中村さんがどんな人か知らなかったのでは…単に目立っている外国人、といった程度の認識で実行に及び、実際中村さんがアフガニスタンにどんなことをしてきたことを知ったら、犯人は罪悪感にさいなまれるのでは…そんな風にすら思っていた。

    しかし本書が導き出した答えは、中村さんの命を狙ったのはアフガニスタンの人間ではない、というものだった。つまり中村さんが尽くしてきた心が報われなかったとか、そうしたセンチメンタルなアングルではない、川の水は誰のものであるかという、生存への危機感に根差した動機であると。それはある意味腑に落ちる動機であったと同時に、より悲劇的な構図でもあった。

    PMS職員はもちろん、護衛をしていた警官にも、政府の人間にも、その後政権を取ったタリバンの高官にも、中村さんの心は確かに届いていた。しかしそれでも事件は起きてしまった。

    いくばくかの謎は残した形にはなっているものの、政情不安定な土地で数年間にわたって粘り強く取材を続け、事件の解像度を高めてくれた著者に感謝したい。ジャーナリストとしての矜持を感じさせる一冊だった。

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    2026年08月09日
  • 中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」

    Posted by ブクログ

    カカ.ムラドナカムラのおじさんを読んで、こんなすごい人がいるんだと驚愕した。その後に、背景となるものも、少しずつ知ったけれど、この本はまた純粋な哲さんの気持ちを思うと、悲しくなった。最後の言葉も、他者を心配する言葉だったのも哲さんの人柄を表している。アフガニスタンの大統領から名誉市民権を与えられたことも、事件の引き金になったのではないかということも、悲しいこと。また、この本では、哲さん以外の運転手だったザイヌラさんたち護衛の方たちの存在も改めて知ることができた。中村哲さんの活動と事件の真相(まだわかっていない)背景など、たくさんの人にも、知ってほしいと思う。

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    2025年09月30日
  • 中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」

    Posted by ブクログ

    よくこんな治安の悪い国で取材したなと思う。ガニ大統領が最前列で棺を担いでる姿や犠牲になったアフガニスタン人運転手や護衛の家族のインタビュー、タリバンですら敬意を持ってコメントしたくだりは何度見ても泣けてしまうが、中村医師の事業がパキスタンから疎まれていたことやアフガニスタン政府が事件の真相をそこそこ突き止めていながらあかしていないのは初耳。私は朝日新聞読者ではないので主犯格の人物が既に死んでいることも知らなかった。タリバン勧善懲悪省幹部へのインタビューは本筋と少し離れるが良かった。タリバン内でも女性に教育を受けさせないのは意見が割れていて、この幹部は海外メディアの取材にたいして「そのうち女性の通学が解禁されると思う」と答えている。女性が夫と死別すると夫の兄弟と結婚させられていたが、タリバンは女性の自由を尊重すべきとしているらしい。誰にでも良心がある。中村医師はアフガニスタンで粘り強く誰とも敵対することなく豊かな国を作ることを目指してた。最後のほうに著者の写真が載っててさわやか男子だった。

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    2024年06月27日
  • 中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」

    Posted by ブクログ

    中村哲殺害事件が起きた当日の経緯から詳細に追っていき、それに対するアフガニスタン当局の動き、主犯格と思われる人物について、また容疑を疑われた者へのインタビューもされている。

    「主犯格と思われる人物」と書いたが、こちらは殺害の主犯というわけではなく、金銭目的での誘拐や脅迫を生業とする者で殺害の意思はなかったようである。当たり前だが、誘拐や脅迫は人質が死んでしまうと目的を達せないし、金銭目的である以上は殺害したところでリスクしか生まないので、一定の説得力はある。著者の推察によると、主犯格の人物は現場の土地勘があるために殺害を目論む者たちに利用されたのではないか、ということである。

    おのずとタリバンについての紙幅も増える。タリバンというと、そのようなひとつの組織があるように思えてしまうのだが、アフガニスタンとパキスタンでいえば、アフガニスタンタリバンとパキスタンタリバンがある。そして、各々のタリバンも一枚岩ではないし、政府当局とのつながりもある。そのあたりのことも書かれているので勉強になった。

    ところで、中村哲の名前が出される時は、医師という肩書きをつけられることが多い。しかし、アフガニスタンにおける中村哲の仕事は主に灌漑作業である。アフガニスタンからの評価の多くも、人々に水をもたらしたことにある。
    この「医師」という肩書きが、国境なき医師団的な印象を与え、危険を顧みず紛争地域での医療行為に従事するも凶弾に倒れた悲劇の人というステレオタイプなイメージを形作り、それがむしろ中村哲に対する解像度を下げる役割を果たしてしまっているのではないかと思っているのだが、本書のタイトルに「医師」は入っていない。どういう理由で入れなかったかは定かではないが、私はこちらのほうが良いと思う。

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    2024年06月06日
  • 中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」

    Posted by ブクログ

    ドクター・ナカムラの灌漑事業は、クナール川の水を分岐させ、利用する事業が殺害の動機。この地域で水や川に関わる者には危険がつきまとう。クナール川の下流に位置する隣国パキスタンにとっては流量が減る恐れがあるので機微に触れる問題。

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    2024年05月31日

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