作品一覧

  • 命の家 上林曉病妻小説集
    4.0
    1巻1,320円 (税込)
    これは愛なのか、苦悩なのか……。心を病んだ妻。発病から死に至る足かけ8年、妻を見つめながら書き続けた魂の文学。まさに上林曉を上林曉たらしめた、孤高の私小説集。文庫オリジナル。 ◆上林の妻・繁子は、1939年7月に精神に病を発し、46年5月に死去。8年におよぶ闘病中、3度の入退院を重ねた。この間、上林はひたすら自身と妻をモデルに、私小説を書き続けた。 ◆この8年は、日米戦争を挟む時期であった。3人の子どもたちを郷里の高知に疎開させ、一家は離散。食べるものにも困窮する日々であった。 ◆妻の病は徐々に、しかし確実に蝕まれていった。戦中の栄養失調、行き届かぬ医療、衛生状態の悪化から、視力も失われてゆく。「錠前と鉄格子」のある病院で、妻は孤独に死を待つこととなる。面会も間遠になり、上林が妻の最期を見届けることはできなかった。 ◆本文庫では、過去に刊行された「病妻もの」の収録作を軸としつつ、作品を増補し、発病から死去、そして埋葬に至るストーリーを、さながら長篇私小説としても読めるように構成した。 ◆収録作:林檎汁/夜霊/悲歌/明月記/命の家/風致区/聖ヨハネ病院にて/遅桜/嬬恋い/庭訓/弔い鳥/聖ヨハネ病院にて

ユーザーレビュー

  • 命の家 上林曉病妻小説集

    Posted by ブクログ

     作者上林暁の著作は、これまで本書の編者山本善行氏の編集したものをt何冊か読んできたが、本書は、上林のいわゆる「病妻物」と呼ばれる作品に絞って編集された作品集。

     上林の妻は昭和14年に精神の病を発症(現在に言う統合失調症だったようだ)し、昭和21年に入院先の病院で亡くなったが、本書では初めて入院させる際の様子を描いた『林檎汁』から始まり、病院から一時的に家に戻ったときの子どもたちとの接触の様子を綴った『命の家』、病院で付き添った際の妻とのやり取りが描かれる『聖ヨハネ病院にて』(戦時中ということもあり、乏しい食べ物を巡っての夫婦間の悲喜が印象的)、臨終の死に目に間に合わなかったときから葬儀ま

    0
    2023年11月21日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!