【感想】
今から10年前に出版された本です。
当時と今では来日観光客数に大きな差があり、来日する方々の国籍も現在では多種多様。
現在とのギャップはありつつも、外国人から見た日本がどのようなイメージなのか、多くの言葉が心に響きます。
他の方も書かれていることもありますが、欠点として以下。
・国籍が
...続きを読む欧米に偏っている
・対面で日本に対するイメージを聞いているためネガティブな感想が少ない
ただ、この欠点があったとしても、
回答してくれている外国人は、
各々の背景にある文化を元に日本を評価し、
各々の言葉で日本に対するイメージを表現してくれています。
この島国の中に閉じこもっているだけでは分からない、
多くの感想を持ってくれているんだなー、という感想。
気付かないことも外からの指摘で、
たしかに、と納得できることがとても多く、
多角的な視点を養うための勉強になりました。
読んでいて心に響いた日本のイメージを箇条書きに。
・日本は伝統を重んじる。でもそこから逃げたいと思っている。
・普通ではなく、楽しいことをしろ。
・日本人は抑圧されている。
・日本は色々なものを取り入れ、自分たちの文化とミックスして独自の文化を作り上げられる不思議な国。
・日本は変わるな。
・日本は欧米の真似をするな。そのままでいい。
海外から来る人たちは、
日本人の海外文化に対する順応性、自国の文化への取り入れ方を評価しつつも、変わらないでほしい。と考えている人が多いようです。
このあたりはリゾート論ですね。
他国にあるリゾートが近代的なものに変わることに対する失望。欧米の上から目線の意見でもあると思います。
面白かったのは、日本人は伝統(血統も含め)を重んじ、それを守ること、ルールを守ることに対して、海外から見ると抑圧されている、無理をしていると見ている人が少なからずいること。
ふと若い頃を思い出しました。
日本の若者は、若気の至りで社会への取り入れ反発、抑圧された自我を解き放とうと、自己表現を様々な形で行う。
親や学校、社会への抵抗、反抗。
それが自分や周りの友人の中では誇らしく思う一面がある。
ただ、大人になるとルールを強いて、そこから外れる人に対しては厳しい目を向ける。
大人になるにつれて、道徳心や社会的正義、伝統に対しての意識が高まり、これまであったルールにきちんと組み込まれていく。
反体制派がいつのまにか体制派になっていく。そうならない人は社会不適合者や変人として扱われていく。
ルールを守らなければならないのは当然なんですが、
その転向ぶりはもはや変節漢ともいえる。
社会とはそういうものだ、みんなそうするから、という日本人独特の村社会ぶりが発揮されるのが大人なルールを重んじる国、ニッポン、なんだな、と思うに至りました。
背景には権威に弱いという国民性があると思います。また、家族を守るためにはそうするべき、という社会的通念もあると思います。その中で自分のアイデンティティを育み、表現しなければならない日本人は、物や情報は豊かになりつつも「人」としての幸福の追求が果たしてできているのだろうか、と思ったりしました。
海外の人はこのあたりはどうなんだろう?
外国人から見たアメリカ人、中国人、などなど、
他の国の同様な本にも目を通して見たくなりました。